採血・注射は痛くなくできる!痛み止めを使用した採血・注射攻略法

公開日: 2024/01/20 更新日: 2024/01/20
採血や注射は痛いもの、そう思っていませんか?近年、病気やケガなどの痛みは我慢せず、早期に取り除くことで心身への負担が最小限にできると、“痛みを我慢しない”という考え方が広まっています。 それは、病気の診断・治療に欠かせない採血・注射に対しても同様で、痛み止めを使った採血・注射法が広まりつつあります。 本記事では、痛み止めを使う採血・注射攻略法の5つの特徴を解説します。 使用する痛み止めについても、詳しく紹介します。 なお、採血や注射の痛みに悩んでいる方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

痛み止めを使う採血・注射攻略法|5つの特徴

痛み止めを使うといっても、一般的に頭痛や生理痛などで使用するアセトアミノフェンやロキソプロフェンナトリウムを服用するのではありません。

採血や注射の痛み止めには、次の5つの特徴があります。

  • “局所麻酔薬”を使う
  • 費用がかかる(保険適用外)
  • 針を刺す痛みが軽減できる
  • 事前に貼っておく必要がある
  • 痛み止めを使用しても採血結果・治療効果には影響がない

順に解説します。

1.“局所麻酔薬”を使う

採血や注射で使用する痛み止めは、“局所麻酔薬”と呼ばれる種類の痛み止めです。

注射を打つ部位に30分~2時間前に貼ったり塗ったりすることで、皮膚表面から麻酔薬が吸収され痛みが和らぎます。

局所麻酔薬や比較的小さなお子さんでも使用できますし、副作用も少なく、依存性もありません。

2.費用がかかる(保険適用外)

局所麻酔薬を採血や注射の痛み止めに使用する場合、健康保険は適用できません。

そのため、局所麻酔薬代は全額自己負担になります。

また、処方の際は局所麻酔薬代以外にも、診察料や処方料などが加味されます。

3.針を刺す痛みが軽減できる

局所麻酔薬は麻酔薬で皮膚表面の痛点を麻痺させて、針を刺す痛みを軽減させます。

反対に薬剤を注射する痛みや、針を抜いた後の痛みには効果はあまり期待できないかもしれません。

局所麻酔薬は採血・注射に関する全ての痛みが軽減するわけでないこと、また針を刺す痛みがゼロになるわけではないことを知っておきたいですね。

4.事前に貼っておく必要がある

局所麻酔薬の効果を最大限引き出すためには、局所麻酔薬を事前に貼っておく必要があります。

使用する薬剤によりますが、30分~2時間程度前に注射部位に貼るようにしましょう。

5.痛み止めを使用しても採血結果・治療効果には影響がない

まれに痛み止めの薬によって、採血結果や治療効果に影響を与えないか、心配される方もいますが、そのような心配はなく、影響を与えることはありませんので、安心して使用してください。

採血・注射で使う痛み止め(局所麻酔薬)3種類

採血・注射で使える痛み止め(局所麻酔薬)には、現在次の3種類があります。

  • エムラパッチ
  • エムラクリーム
  • リドカインテープ:ペンレス・ユーパッチ 

それぞれの特徴を解説します。

1.エムラパッチ

エムラパッチはリドカインとプロピトカインの混合物を、白いセルロースシートに湿潤させた貼付剤で、2017年に認可された比較的新しい薬です。

写真の中心、白いセルロースシート部分に、リドカインとプロピトカインの2種類の麻酔薬が含まれています。

2種類の作用の異なる麻酔薬を配合することで、より痛みを緩和する効果がより期待できます。

さらに、2種類の麻酔薬が皮膚の奥深くまで到達するため、針を刺した後の痛みを緩和する効果が確認できたという報告もありました。

針を刺す痛みだけでなく、針を刺した後の痛みも緩和したい方にエムラパッチはとてもおすすめです。

なお、エムラパッチは注射針・静脈留置針を刺す予定の場所に60分間貼付します。

大人の場合、1回あたりに貼れる枚数は10枚までです。

貼る時間は120分を超えないようにしましょう。

子どもの場合は、1回あたりに貼れる枚数と最大貼付時間は月齢・年齢ごとに異なります。

詳しくは以下の表をご参照ください。

年齢(月齢)体重最大貼付枚数最大貼付時間
0~2ヶ月 1枚60分
3~11ヶ月5㎏以下1枚60分
5㎏超2枚60分
1~14歳5㎏以下1枚60分
5㎏超10kg以下2枚120分
10㎏超10枚120分

エムラパッチは1枚当たり、477.7円です。

参考資料

医療用医薬品 エムラ

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066895

エムラクリーム、エムラパッチ 適正使用ガイド 佐藤製薬株式会社 

https://medinfo-sato.com/emla-cream/material/pdf/guide_202206.pdf

2.エムラクリーム

エムラクリームは、チューブ型の塗り薬の局所麻酔薬です。エムラクリーム1gあたりリドカイン25㎎、プロピトカイン25㎎が含まれています。

大人の場合は10㎠あたり、1gのエムラクリームを針を刺す60分前に塗布します。

塗っておく時間は、120分を超えないようにし、最大10gまでは塗ることができます。 

子どもの場合は、1回あたりに塗れる量と最大塗布時間は月齢・年齢ごとに異なります。

詳しくは以下の表をご参照ください。

年齢(月齢)体重最大塗布量最大塗布時間
0~2ヶ月 1g60分
3~11ヶ月5㎏以下1g60分
5㎏超2g60分
1~14歳5㎏以下1g60分
5㎏超10kg以下2g120分
10㎏超10g120分

エムラクリームは、1gあたり185.3円です。

1本あたり5g・10gと含まれている量が異なるため、使用する製剤によって費用はことなります。

参考資料

医療用医薬品 エムラ

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060243

エムラクリーム、エムラパッチ 適正使用ガイド 佐藤製薬株式会社

https://medinfo-sato.com/emla-cream/material/pdf/guide_202206.pdf

3.リドカインテープ(ペンレステープ)

リドカインテープは、テープ1枚あたりにリドカインが18㎎含まれています。

1994年と30年近く前に発売された局所麻酔薬で、多くの患者さんが使用しています。

エムラパッチ・エムラクリームと異なり、1種類の麻酔薬しか含まれていないため、効果はやや劣る可能性があるのが特徴です。

また、エムラパッチと比べて、やや大きさが小さいです。

リドカインテープは、針を刺す約30分前に貼る必要があります。

ペンレステープは1枚あたり36.1円で、ほかの局所麻酔薬よりも安価です。

参考資料

医療用医薬品:ペンレス

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055660

まとめ

今回は、採血や注射の痛みを緩和するために、局所麻酔薬を使用する方法を紹介しました。

局所麻酔薬は医師の診察の上、処方箋をもらい薬局で処方を受けなければなりません。

事前に処方してもらい、貼っておかなければならないという手間がかかりますが、針を刺す痛みを低減できます。

採血や注射の痛みに苦痛を感じている方、痛みが理由で採血や注射を避けている方は、ぜひ一度局所麻酔薬を試してみませんか?

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