糖尿病による暁現象とは?|原因と対処法もご紹介

公開日: 2024/01/05 更新日: 2024/05/22
糖尿病に罹患している人は、血糖コントロールに悩まされることもあるのではないでしょうか? 特に何も食べていない、飲んでいないのに朝方から血糖値が高いと思うこともあるでしょう。 この現象は、暁現象とソモジー効果の可能性があります。 一言で暁現象やソモジー効果と言っても、どんな現象なのか分からない人もいるかもしれません。 この記事では、糖尿病による暁現象とは何か、ソモジー効果との関係や原因、対処法までご紹介します。

糖尿病の暁現象とは?

糖尿病の暁現象とは、夜中の3時頃から朝方にかけて血糖値が徐々に上昇していく症状のことです。原因は、睡眠中に成長ホルモンが分泌しているためです。

糖尿病の中でも種類があり1型糖尿病だけでなく、2型糖尿病、インスリン依存型糖尿病に罹患した人も起こりえます。

特にインスリン依存型糖尿病の人は、血糖コントロールが不安定なため暁現象が起こりやすい傾向にあります。

成長ホルモンの分泌は本来誰にでもあることですが、糖尿病患者の場合インスリンが低下しているので、明け方頃に血糖値が上昇してしまうのです。

血糖値が明け方に上昇するので、暁現象と名づけられました。

暁現象とソモジー効果の違いとは?

糖尿病の暁現象の他に、ソモジー効果という言葉があります。

暁現象は、血糖値が朝方に向けて自然に上昇していく事ですが、ソモジー効果は低血糖のあとに血糖値が上昇することです。

個人差はありますが、インスリンの量が多い時や食事の時間帯のズレが原因で低血糖を起こすことがあります。

その時低血糖を起こさないために糖が作り出され、逆に高血糖になってしまう悪循環が生まれます。

寝起きに多くの寝汗をかいていたり、体がだるく重いという症状がある場合は、ソモジー効果が起きている可能性が高いです。

暁現象なのかソモジー効果なのか見極めるポイントとして、夜中3時頃に血糖値を測定してみましょう。

夜中の3時〜4時に低血糖を起こしていればソモジー効果となり、低血糖でなければ暁現象の可能性があります。

暁現象もソモジー効果も早朝に血糖値が高くなる現象ですが、対処法が異なります。

まずは夜中の3時頃に血糖値を測定してみるといいでしょう。ちなみにソモジー効果のソモジーは、発見者の名前が由来です。

糖尿病の暁現象は空腹時に起きやすい

糖尿病の暁現象は空腹時になりやすいと言われますが、日中の空腹時でも症状が現われるということではありません。暁現象は、朝方に向けて血糖値が上がる現象です。

例えば午前4時頃から何も飲まず食わずで、だいたい10〜20mg/dlくらい上昇し、午前8時頃から血糖値がピークを迎えます。

暁現象が起こっているかは、早朝に血糖値が上昇するということがポイントです。

あくまでも糖尿病患者に起こり得る暁現象なので、健常者の場合はインスリン機能が正常である以上、空腹時だからと言って暁現象が現われることはないでしょう。

糖尿病の暁現象の原因とは?

糖尿病による暁現象には、原因があります。

  • インスリン不足

  • アルコール

  • ストレス

暁現象は、主に、1型糖尿病に罹患した人に多い現象です。

原因を解決し、血糖値をコントロール出来れば、暁現象も改善されるでしょう。当てはまる原因はないか、確認しましょう。[1]

インスリン不足

暁現象が起こり得る最も多い原因が、インスリン不足です。血糖値は早朝3時頃から血糖値が上昇し、午前8時頃にピークを迎えます。

アルコール

糖尿病の患者は、飲酒を避けましょう。アルコールは、血糖値を上げる直接的な原因になりにくいですが、炭水化物を含む飲料なので高カロリーな食品とも言われています。

血糖コントロールができていて医師の許可を得ている糖尿病の人であれば、ほどほどにお酒を嗜んでもよいでしょう。

ストレス

糖尿病による暁現象は、ストレスによっても引き起こされます。患者数が多い大きな病院では待ち時間が長いことへのストレスがかかりやすい傾向にあるのです。

例えば空腹時血糖を測定するために病院を訪れた糖尿病患者が、病院でインスリンを注入すると効果が十分にあらわれない可能性があります。

病院では測定した空腹時血糖が優先される事も多いです。インスリン注射をする時は、自分が緊張しない場所やストレスを感じない場所でするようにしましょう。

暁現象は2型糖尿病の人も発症する?

糖尿病による暁現象は、2型糖尿病の人でも発症します。2型糖尿病は、主に食事や運動といった生活習慣が深く関係しています。

過度な食事や高脂質な食べ物、運動不足、飲酒等を行っていると、2型糖尿病になるリスクが高まり非常に危険です。

2型糖尿病を発症すると、脂肪も蓄積しやすくなりインスリンの動きが低下してしまいます。そのため、ブドウ糖の働きが行われず、血糖値が上昇していくのです。

2型糖尿病の暁現象の主な原因はインスリン不足なので、膵臓からのインスリンが不足している2型糖尿病に罹患していれば、暁現象が起こる可能性が極めて高いでしょう。

糖尿病による暁現象の対処法

糖尿病による暁現象の対処法は、4つあります。

  • インスリンポンプを着用する

  • 食事管理を徹底する

  • 食物繊維を十分に摂取する

  • 禁酒と適度な運動

暁現象を起こさないために、血糖コントロールを心がけましょう。

対処法を試すだけで効果がある人も少なくありません。自分にできることから対策を考え、改善することが不可欠です。

インスリンポンプを着用する

暁現象を発症している方は、インスリンポンプを使用して、インスリンの適量と血糖値が高い時間帯のタイミングを合わせると効果的だと言われています。

その結果、血糖値が安定し重度の低血糖がほとんどなくなったという報告もあります。[2]

インスリンポンプを使用することで、重度の低血糖や高血糖など人の助けが必要な症状を、発症する前に自分で改善することが大切です。

前もって症状を防ぐことで、合併症やHBA1cの数値も安定し改善されるでしょう。

食事管理を徹底する

日常的に安定した血糖値を保つことができるような食生活を心がけましょう。

インスリンポンプの使用だけでなく、食事管理を徹底することによりその後の合併症や重篤な病気になりにくいです。

管理栄養士と相談し、適切な1日の炭水化物を均等に配分した食事の糖質計算計画を立てることにより血糖値を安定させることができます。

また、糖分を抑える方法も指導してくれるため、効果的な方法と言えるでしょう。[3]

食物繊維を十分に摂取する

食物繊維には豊富な栄養素が含まれており、腸の働きを良くしたり、糖質の吸収を最小限に抑える役割があります。

満腹感を出すため、よく噛んだりゆっくり食べたりすると肥満予防になります。肥満予防をすると、合併症として現われやすい動脈硬化の発症も軽減されるのでおすすめです。

また夕食の時間帯に脂肪分が少なく、食物繊維が豊富な食事をしましょう。

血糖値が下がりやすい夜中のインスリン抵抗性を最小限に軽減することができるため、2型糖尿病の方にも有効です。[3]

禁酒と適度な運動

糖尿病に罹患した場合はできるだけ、禁酒をしましょう。

アルコールは、適度な摂取であれば糖尿病の予防になることもありますが、過度の飲みすぎや糖尿病に罹患してからの飲酒は避けることが重要です。

また健康的な毎日を過ごすことで、体全体の健康や病気になるリスクを軽減することができます。

無理をしない適度な運動をしましょう。軽いウォーキングやジョギングをするだけでも糖尿病発症の予防になります。

糖尿病に罹患しなければ、暁現象も現われないという事です。アルコールなどを控え、睡眠は7〜8時間、ストレスを溜めないように日々心掛けましょう。[3]

暁現象にはトマトジュースがおすすめ

暁現象を抑えるには、トマトジュースがおすすめです。

トマトには、老化の原因となる体の酸化を防ぐリコピンが多く含まれており、血糖値を下げるのに十分な効果があります。

食物を吸収する朝にトマトを食べると、リコピンが吸収されやすいので朝起きたときに食べる習慣をつけましょう。

トマトジュースがおすすめといっても、トマトの甘さとなる糖質はどうなるのか気になる人も多いでしょう。

糖尿病のHBA1cに影響がありそうですが、トマトの糖質は1個分あたりが3.7gであり、野菜全体で見てみると血糖値を上げにくいとされています。

だからと言ってトマトジュースを飲みすぎると、逆に血糖値を上げてしまう可能性があるので注意が必要です。

1日あたり200ml程度を摂取することを目安としましょう。飲むタイミングは朝がおすすめです。[4]

Q&A

暁現象はなぜ起こるのですか?

暁現象は、成長ホルモンの分泌よって血糖値が上昇するためにインスリンが不足する現象です。

1型糖尿病では成長期の若者に多くみられますが、すい臓からのインスリン分泌が不足している2型糖尿病でも暁現象が見られます。

夜間に寝汗をたくさんかいていたり、朝起きたときに体がだるかったりするときは、夜間低血糖を疑い、暁現象が起きているか確認しましょう。

1型糖尿病の暁現象の対策は?

1型糖尿病の暁現象の対策は、長時間持続するタイプのインスリンの機械を利用すると、血糖値の上昇を抑えることが可能です。

その他の対策として、インスリンの量を調整したり、食物繊維が豊富な食べ物を摂取したり工夫すると、血糖値が抑えられます。

インスリンポンプの暁現象とは?

夜中や早朝の時間帯に、何も食べていないのに血糖値が上がる現象です。時間帯によってインスリンの効き目が異なるため起こります。

特に1型糖尿病の人は、インスリンのホルモンに対応できず早朝にかけて血糖値が上昇することが多いです。

糖尿病をほおっておくとどうなるのか?

糖尿病をほおっておくと、様々な合併症を引き起こします。例えば糖尿病性網膜症や腎症、神経障害、動脈硬化などです。

合併症を引き起こさないためにも、血糖値の管理や食事管理を徹底し、医師の指示に従い治療を行いましょう。

まとめ

糖尿病に関する暁現象は、夜中3時頃から徐々に血糖値が高くなり、午前8時頃を目安に血糖値がピークになります。

何も食べていない、飲んでいないのに朝起きたら血糖値が高い場合は、暁現象を疑いましょう。

対してソモジー効果という言葉は、低血糖後に反動して血糖値が上昇することを言います。

インスリンの量が多いときや食事の時間がバラバラであることが原因のひとつであり、低血糖になるリスクが高まります。

そのため、決まった時間に食事をすること、寝る前にブドウ糖を摂取するなどの対策を行う必要があります。

暁現象の対策はインスリンポンプを使用したり、食事管理を徹底したりすることです。

また暁現象なのか見極めるため、夜中の3時~4時頃に、血糖値を測り様子を見ることをおすすめします。それでも心配や不安がある場合は、医師に相談すると良いでしょう。

参考文献

[1]メディカルトピア草加病院

[2]糖尿病ネットワーク

[3]nutribullet.jp

[4]シンクヘルス株式会社

 

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