子宮内膜炎の症状について|原因から治療法まで解説!

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/13
女性特有の病気とは、男性特有の病気に比べてとても多いことが分かっています。 子宮内膜炎という病気は女性にしかない病気で、後の妊娠や出産に大きく関わる病気です。 また子宮内膜炎と子宮内膜症は、異なる病気です。子宮内膜症の方は誰もが知っている病気ですが、同じ病気ではないので注意しましょう。 子宮内膜炎という病気がどんな症状で、どんな特徴なのか知っておくと将来の為になります。 検査方法や治療法など病院によって違いはありますが、将来の為に子宮内膜炎について学びましょう。
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子宮内膜炎の症状について

子宮内膜炎の症状は、子宮内膜の粘膜が細菌感染して、炎症を起こすことです。感染の状況により、急性子宮内膜炎と慢性子宮内膜炎に分類されます。

子宮内膜は、月経が来るたびに剥がれ落ち、体外に排出されます。

子宮内膜が剥がれ落ちると、また新しい子宮内膜が繰り返し形成されるので、例え炎症が起きていても継続することはほぼありません。

しかし軽い炎症が続き、子宮の中に何かしらの細菌が入り続けると慢性化する場合があります。

また年齢を重ねるにつれてホルモン分泌が減ると、細菌が子宮内に侵入しやすくなります。

膿のようなおりものが出た場合や下腹部痛がある場合は、単なる炎症なのか子宮がんの疑いがあるのか、見分けることが重要です。

子宮内膜炎が悪化すると、子宮内膜症と呼ばれることがありますが、全く別の物になります。

急性子宮内膜炎とは?

急性子宮内膜炎とは、偶然的に細菌が侵入して発症します。

自覚症状はほぼありませんが、下腹部痛や発熱、おりものの増加などの症状が現われることもあります。炎症が酷くなると、卵管や卵巣まで広がるケースも。

しかし急性子宮内膜炎は、自然治癒が可能なので、自覚症状なく発症し知らないうちに完治している場合がほとんどです。

慢性子宮内膜炎とは?

慢性子宮内膜炎とは、軽い炎症が子宮内膜の中で発症しそれが慢性的になることです。生理不順や無月経の方に多く、着床不全や不妊症の原因の一つと考えられます。

また急性子宮内膜炎と同じで自覚症状がほぼないので、発見が遅れることもあります。症状はあっても軽い腹痛や性行痛などです。

慢性子宮内膜炎は自然治癒が不可能なので、抗生剤などを使用し完治を目指します。

子宮内膜症の症状をチェックする方法は?

子宮内膜症を発症していないか、セルフチェックすることができます。生理時の症状で簡単に確認できるので、チェックしましょう。

例えば、次の10項目をチェックし当てはまるものがあると子宮内膜症の可能性があります。

  • 生理痛で鎮痛剤をよく使うのか

  • 日常生活に響くほどの生理痛なのか

  • 生理時に頭痛や吐き気などの症状があるか

  • 徐々に生理痛が悪化していないか

  • 生理期間以外に下腹部痛や生理に似た症状があるか

  • 便をするときに痛みが強いか

  • 性行通があるか?

  • 妊娠しにくい

  • 血尿が出る

  • 血便が出る

気になる症状があれば、医療機関への受診をおすすめします。

子宮内膜炎と子宮内膜症の違いは?

子宮内膜炎と子宮内膜症の違いは、病気の部位です。

子宮内膜炎は、子宮内膜に細菌が入り炎症を起こすものですが、子宮内膜症は、本来子宮の内側にしか存在しないはずの内膜が別の部位(卵管や卵巣)で増殖したり剥離を繰り返したりします。

子宮内膜症ができやすい場所は、卵巣やダグラス窩(子宮と直腸の間にあるくぼみ)、卵管などにできやすいようです。

子宮以外の場所で増殖した子宮内膜はお腹の中に留まり、炎症や痛み、癒着の原因になり不妊になることも。

悪性ではなく良性の病気なので命に問題はありませんが、痛みや症状の状況によってコントロールしながら閉経まで治療が続きます。

おりものも違いがある?

子宮内膜炎と子宮内膜症のおりものの違いは特別ありませんが、膿のような織物が現われた場合、子宮内膜炎を疑った方が良いです。

子宮内膜炎に罹患すると、子宮口や子宮頸管が狭くなるので子宮腔に膿が溜まり、けいれんや腹痛の症状が現われます。これを子宮溜膿腫と言います。

子宮内膜炎の原因はストレス?性行為?

子宮内膜炎の原因は、細菌感染です。子宮内膜炎は、連鎖菌や大腸菌など様々な菌により引き起こされます。

子宮の入口から細菌が侵入し、侵入した細菌が増殖し子宮に到着すると子宮内膜炎を発症します。しかし、細菌が子宮の中に入ることは、普段の生活の中で滅多にありません。

では、なぜ細菌が入ってしまうのでしょうか?

ストレスが原因?

子宮内膜炎の原因が、ストレスである可能性があります。炎症とは、体を守る防御反応の1つです。

ストレスを受けると、体の中で炎症を起こす物質が発生することにより、子宮内膜炎が発症してしまうのです。

また免疫低下し細菌が安易に子宮内へ侵入できるので、ストレスは子宮内膜炎の原因というより、子宮内膜炎を悪化させてしまう可能性があるという事が正しいかもしれません。

性行為が原因?

子宮内膜炎が発症する原因は、性行為だとも考えられます。なぜなら、原因となる細菌の中に淋菌など性行為に関する細菌も含まれるからです。

その淋菌が直接性行為により、膣から子宮頸管と進み、最終的には子宮腔へと進んでいき炎症を起こします。

また月経の時に使用するナプキンやタンポンなど、膣付近が不潔な場合でも炎症を起こす可能性も。

特にタンポンは、膣内に長時間置いたときや不潔なまま膣内にあると、炎症しやすくなります。

性行為なしの場合の原因は?

ストレスでも性行為でもなく、別の感染経路もあります。稀ではありますが、リンパ行性や下行性(腹腔内から卵管を経由して、炎症を起こすこと)などもあります。

下行性感染を起こすものは結核性のものも多く、卵管結核から子宮内膜に侵入し炎症を起こしやすいです。

細菌の種類は、大腸菌や腸球菌、淋菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、結核菌などがあります。

さらに、子宮内膜生検や子宮卵管造影など、子宮検査時に子宮内で操作することによって、細菌が侵入するケースもあり危険です。

子宮内膜炎は慢性化する?

子宮内膜炎は、慢性化する傾向にあります。慢性子宮内膜炎とは、比較的軽い炎症が子宮内で慢性的に続くことです。

自覚症状がないことが多く、なかなか発見されずらいですが着床不全や流産の原因にもなります。

症状があっても、軽い腹痛や性行痛、少量の出血で済むので気に留める方は少ないかもしれません。

また不妊治療の一部である高度生殖補助医療(ART)を受けている女性の方で、約15~20%の方が胚移植しても着床まで至らない方が存在し、反復着床不全(RIF)と定義されています。

反復着床不全になった方14-67.5%に慢性子宮内膜炎の症状があり、流産された方の9.3-67.5%の方にも慢性子宮内膜炎症状があったとされているようです。

そのため慢性子宮内膜炎に罹患すると、反復着床不全や流産を繰り返す1つの原因だとも考えられます。

しかし、慢性子宮内膜炎が着床不全を起こすハッキリとした原因は分かりません。

ただ医療の進歩は進み、子宮内膜が着床する環境を整えるのに重要なエストロゲンとプロエストロゲンに反応する受容体が減少することが、

慢性子宮内膜炎によって着床不全になるのではないかと研究で指摘されています。

子宮内膜炎で不妊症になるケースも!

子宮内膜炎は、ほとんど自覚がない病気なので発見されずらいです。症状があったとしても、少量の出血や骨盤痛などです。

自覚症状がないのが特徴で、生理不順や無月経、卵管などにまで炎症が起こったりすると不妊症のリスクが高まります。

さらに、卵子の質が低下したり受精率なども低下する恐れも。

また卵巣内で育った子宮内膜症、通称チョコレートのう腫は卵巣機能を低下させ、不妊症のリスクに大きく影響します。

慢性子宮内膜炎は、深い層にまで細菌が入り炎症を起こし継続している状態です。月経が始まり新しい子宮内膜が形成されるからと言って、自然に治ることはありません。

単なる子宮内膜炎とは違い、自然治癒が見込めないので必ず病院に行くことをおすすめします。

妊娠を試みる前に、子宮内膜炎や子宮内膜症、その他の病気に罹患していない事をブライダルチェックしておくと安心です。

病気を知って妊娠するのと知らないで妊娠することは、出産にも関わってくるので、妊娠前にしっかりケアすることも重要です。

子宮内膜炎の治療法は?

子宮内膜炎の治療法は、検査で原因を特定し、その菌に効き目のある抗生物質を服用します。

検査方法は3つあります。

  • 子宮鏡検査

  • 子宮内腔細菌培養検査

  • 組織学的検査

しかし3つの検査には、限界があります。診断結果が月経周期や検査部位により、確実ではなかったり培養が厳しい細菌もあります。

どの検査方法が1番いいのか見解はありせんが、それぞれの病院やタイミングで検査を行う様です。

子宮内膜炎は自然治癒することも

子宮内膜炎は、自然治癒します。急性子宮内膜炎は月経の時に子宮内膜が剥がれ、細菌も一緒に体の外へ排出されるので自然治癒する場合があります。

しかし慢性子宮内膜炎になると、子宮内膜の深い層に細菌が増殖するため自然治癒は難しいです。

子宮内膜の深い層に侵入されると、月経のたびに新しい子宮内膜が出来ても炎症を起こし、病院での治療を余儀なくされます。

Q&A

子宮内膜炎 放っておくとどうなる?

子宮内膜炎を放っておくと、子宮内膜だけでなく卵管にも広がり淋菌性卵管炎を引き起こします。これを発症することにより、不妊症へのリスクが高まる可能性も。

またどんどん症状は進むので、周囲の臓器へ癒着し、月経以外の時でも激しい腹痛に悩まされるようになります。

最悪な場合入院して菌を消滅させるための点滴や手術を受ける可能性もあります。

子宮以外の卵管や骨盤に炎症が広がると、卵管炎や骨盤腹膜炎などの合併症を引き起こすことも少なくはありません。

少なからず症状が見られた場合や検診で発見した場合は、早急に治療することも大切です。

慢性子宮内膜炎の治療中に性行為はしていいのか?

慢性子宮内膜炎の治療中の場合、無理に性行為はしないことが大事です。特に不特定多数との関係を持つことは、控えましょう。

せっかく治療をしていても、新しい細菌が入って大変なことになる可能性があります。

またパートナーに性行痛があることや、その他の症状を伝え無理のないようにしましょう。

慢性子宮内膜炎なのに妊娠した場合は?

慢性子宮内膜炎でも、妊娠することも可能です。慢性子宮内膜炎に罹患している約3割の方が、妊娠している傾向にあります。

しかし慢性子宮内膜炎の影響で、流産のリスクが通常よりも高くなるので注意が必要です。

慢性子宮内膜炎が治らない場合は?

慢性子宮内膜炎が治らない場合は、抗菌剤や整腸剤などの服用する薬が増え、何回も検査することによって、慢性子宮内膜炎が改善しているか確認していきます。

検査は、子宮内膜組織検査と子宮内膜培養検査の2種類を使用します。

月経が始まるたびに検査を行うので、費用も高くなることもあるので確認しておきましょう。

通常は抗菌薬を2週間服用すると、約80%の方が改善します。

まとめ

子宮内膜炎について、原因と治療法を解説しました。子宮内膜炎は、女性特有の病気です。

誰もが子宮内膜炎になり得るわけではなく、自覚症状がないまま自然治癒している場合がほとんどです。

しかし放っておくと悪化し、急性子宮内膜炎から慢性子宮内膜炎に変化します。

慢性子宮内膜炎に罹患したという自覚症状もないので、定期的に検診に行き、しっかり診察してもらいましょう。

また子宮内膜炎は症状が悪化することで、不妊になる可能性も高まってきます。

不妊になると、妊娠しづらく妊娠しても流産するリスクも。将来の為にも、子宮は大事にしていきたいですね。

少しでも、何かしらの症状や違和感があるのなら、病院へ行き検査をしてみましょう。

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