熱中症警戒アラートとは?基準や発令されたらどうすればよいかを解説

公開日: 2024/09/02 更新日: 2024/09/13
「毎日熱中症警戒アラートが出たと聞くけど、そもそもどんな状態?」 「熱中症警戒アラートが出たら、どうしたらいいの?」 連日発令される「熱中症警戒アラート」ですが、実際にどのような状況で発令され、どのように対応すべきかを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。 熱中症対策には、熱中症警戒アラートの基準などを知って、上手く活用することが重要です。この記事では、熱中症警戒アラートの発令基準や種類、発令された際にとるべき行動についてくわしく解説します。 これらを知ることで必要なときにすぐ熱中症対策をとれ、自分や家族の健康を守ることにつながります。 熱中症になるリスクを減らすための具体的な対策についてもふれています。安心して夏を過ごせるよう、みなさんのサポートとなれれば幸いです。
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目次

熱中症警戒アラートとは?

熱中症警戒アラートとは、熱中症の危険が高まると予想されるときに、国民に注意を呼びかけるために環境省と気象庁が発表する情報です。

熱中症警戒アラートには「熱中症特別警戒アラート」と「熱中症警戒アラート」の2種類があります。

 

熱中症特別警戒アラート

熱中症警戒アラート

目的

危険な暑さへの注意を呼びかけ、熱中症予防行動をとるよう呼びかける

暑さへの「気づき」を促し熱中症に警戒するよう呼びかける

発令基準の暑さ指数(WBGT)

35以上

33以上

発表者

環境大臣

環境省と気象庁の合同

発表タイミング

前日の14時ごろ

前日の17時ごろおよび当日の5時ごろ

参考:熱中症警戒アラート | 気象庁[1]および「熱中症特別警戒アラート」等の運用を開始します|環境省[2]を参考に作成

それぞれくわしく解説します。

熱中症特別警戒アラート

熱中症特別警戒アラートとは、これまでにない危険な暑さが予測され、熱中症による重大な健康被害の恐れがある場合に発令されるものです。このアラートは2024年4月から運用が開始されました。

都道府県内全ての暑さ指数(WBGT)観測地で、翌日の日最高暑さ指数が35以上と予測された場合に発令されます。

熱中症特別警戒アラートが発令されたら、通常の熱中症対策だけでは不十分な可能性があるため、より徹底した対策をとらなければなりません。

また、自分だけでなく周りの方にも気を配ることが大切です。とくに熱中症になるリスクの高い高齢者や乳幼児などが涼しい室内で過ごせているか確認しましょう。

エアコンがない、または正しく使用できない可能性がある場合は、以下の対策をとるようにしてください。[3]

  • 衣服をゆるめる

  • 皮膚を濡らしてうちわであおぐ

  • 氷やアイスパックを使用してからだを冷やす

自分で対応できない場合は、クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)への避難も検討してください。クーリングシェルターとは、市町村長が指定した暑さをしのげる施設です。[3]

熱中症特別警戒アラートの発令中は、クーリングシェルターが開放されるため、避難が必要な方へ声かけをおこないましょう。

熱中症警戒アラート

熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性が非常に高まると予想される際に発令されるものです。国民に「いつも以上に熱中症対策を講じる必要がある」という注意を促します。[4]

このアラートは、暑さ指数(WBGT)が33以上に達すると予測された場合に、環境省と気象庁が合同で発表します。

発表のタイミングは、前日の17時ごろと当日の5時ごろです。熱中症警戒アラートが発令された際は、通常の熱中症対策にくわえて、こまめな水分補給や適切な休息が必要です。

また、屋外での活動をできるだけ避け、エアコンが効いた涼しい環境で過ごしましょう。とくに高齢者や子ども、持病のある方は、周囲の人が声をかけ、お互いに配慮することが求められます。

熱中症警戒アラートの基準となる暑さ指数(WBGT)とは

熱中症警戒アラートの発令基準である「暑さ指数(WBGT)」とは、人間の熱バランスに影響のある以下の要素を取り入れた温度の指標です。

  • 気温

  • 湿度

  • 日射・輻射熱

たとえば気温が26度であっても、湿度が高ければ暑さ指数は上昇し、熱中症のリスクも同時に高まります。

これは、湿度が高い場所では汗が蒸発しにくく、からだから空気へ熱を放出する力が弱まってしまうためです。結果として、からだの中に熱がこもり、熱中症を発症するリスクが高まります。

暑さ指数が28を超えると、熱中症患者が急激に増えることがわかっています。[5]

気温が低いからと油断せず、日々の暑さ指数を確認し、外出を避けて涼しい室内で過ごしたり、こまめに水分補給をしたりなどの熱中症対策をとりましょう。

熱中症警戒アラートの発令基準や発表のタイミング

熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラートの発令基準や発表タイミングは以下のとおりです。

熱中症警戒アラートの種類

発令基準となる暑さ指数(WBGT)

発表タイミング

熱中症警戒アラート

33以上

前日の17時ごろと当日の5時ごろ

熱中症特別警戒アラート

35以上

前日の14時ごろ

それぞれくわしく解説します。

熱中症警戒アラートの発令基準

熱中症警戒アラートは、暑さ指数(WBGT)が33以上であると予測されるときに発令されます。以下は、暑さ指数の数値に応じた注意事項です。

暑さ指数(WBGT)

危険レベル

注意事項

31度以上

危険

  • 高齢者は安静にしてても発症しやすい

  • 外出は避け涼しい室内で過ごす

28~30度

厳重警戒

  • 外出時は炎天下を避ける

  • 室内では室温の上昇に注意する

25~27度

警戒

  • 運動や激しい作業をおこなうときは、定期的に十分な休息を取り入れる

25度未満

注意

  • 激しい運動や重労働をおこなうときは発生しやすい

  • 一般的に危険性は低い

参考:「日常生活における熱中症予防指針」Ver.4|日本生気象学会[6]

熱中症警戒アラートが発令されたときは、すでに熱中症になるリスクが非常に高い状況です。そのため、アラートが発令される前から熱中症予防に取り組むことが大切です。

熱中症警戒アラートの発表タイミング

熱中症警戒アラートは、前日17時ごろと当日5時ごろに発表されます。熱中症特別警戒アラートは、前日の14時ごろです。

これらの発表は最新の暑さ指数の予測値にもとづいて発表されるもので、発表後に天候が変わっても取り消しや追加の発表はありません。[4]

たとえば前日17時ごろに「第1号」として発令された熱中症警戒アラートが、当日の予測で暑さ指数33未満になった場合でも「第2号」として当日に発表されます。[1]

また前日にアラートが発令されていなくても、当日の予測値が33以上であれば、当日5時に「第1号」として発表されます。[1]

熱中症警戒アラートは前日の17時と当日の5時、熱中症特別警戒アラートは14時に発表されます。日ごろから最新情報を得るよう意識しましょう。

熱中症警戒アラートを受け取るには

熱中症警戒アラートを個人で受け取る方法は、以下の2つです。[7]

  • メール配信サービスに登録する

  • 環境省のLINE公式アカウントを登録する

LINEの通知を登録すると、熱中症警戒アラートだけでなく、暑さ指数の情報も配信されます。

これにより、熱中症対策をすばやく実施できるというメリットがあります。これらのサービスの利用は、無料です。

メール配信サービスの登録の流れは、環境省の公式サイトを参照してください。[8]

環境省のLINE公式アカウント「環境省」を友だち登録すると、熱中症警戒アラートに関する情報や暑さ指数に応じた対応をLINEで受け取れます。

LINEの登録や配信の流れは、環境省の公式サイトで確認できるため確認しておきましょう[9][10]

熱中症警戒アラート発令時の対処法

熱中症警戒アラートが発表されたら、以下の対処法を実践しましょう。[4]

  • エアコンなどを使って室内で涼しく過ごす

  • こまめな水分・塩分の補給をする

  • 周りの人にも声をかけ合う

それぞれくわしく解説します。

エアコンなどを使って室内で涼しく過ごす

熱中症警戒アラートが発表されたら、エアコンや扇風機などを使って涼しい環境で過ごしてください。

エアコンのような冷房器具は、室内の温度と湿度を適切に管理できます。

冷房器具を使うことで体温の上昇や汗の蒸発を妨げることなく、熱中症のリスクを軽減できます。

とくに厳しい暑さが続くときは屋外での作業は控え、積極的にエアコンを使いましょう。

また熱中症警戒アラートが発令された日の夜も、熱中症に注意が必要です。

日中に蓄えられた熱が室内にこもり、外の気温が下がっても室内の気温が高い状態が続く場合があるためです。

この状態で冷房器具を使用せずに寝ると、寝ている間に脱水が進み、熱中症を発症するリスクが高まります。[11]

「室内にいるから」「夜は涼しいから」と油断せず、冷房器具を使用して快適な環境で過ごすことが大切です。

こまめな水分・塩分の補給をする

熱中症警戒アラートが発令されたら、こまめに水分と塩分の補給をしましょう。

暑さ指数31以上の場合、30分に1回は水分と塩分を摂取することが望ましいとされています。[12]

のどが渇いていなくても、こまめに水分と塩分を補給することが熱中症予防のポイントです。

スポーツドリンクや塩分を含む飴、塩分タブレットなどは、手軽に塩分補給ができるためおすすめです。

また、仕事や家事、作業や遊びなどに集中していると、知らぬ間に水分が失われていたり、疲れがたまったりします。[11]

室内で過ごすときも、定期的な水分補給と適度な休息を心がけましょう。

周りの人と声をかけ合う

自分のからだを守りつつ、熱中症になりやすい人への声がけも大切です。とくに以下の方は熱中症になるリスクが高いです。[13]

  • 高齢者

  • 子ども

  • 肥満の方

  • 持病のある方

  • 障害のある方

  • 体調不良がある方

家族や身近な方から声をかけ、お互いが熱中症予防の意識を高めましょう。

日常生活における熱中症の予防策

熱中症警戒アラートの発令に関係なく、熱中症予防策を日常的に実践することでその効果を高められます。具体的な対策は、以下のとおりです。

  • 適切な飲料でこまめに水分補給をする

  • 衣服を調整する

  • 環境を整える

それぞれの対策についてくわしく解説します。

適切な飲料でこまめに水分補給をする

熱中症予防に適した飲みものは、以下のものがあります。[12]

  • 経口補水液

  • スポーツドリンク

  • 冷たい味噌汁

水分補給だけをおこなうと、からだの中の塩分やミネラルの割合が低くなり、かえって体調が悪化する可能性があります。

熱中症予防には、 塩分を適度に含む飲みものを選びましょう。

上記の飲みものは水分とともに塩分を摂取でき、効率よく熱中症を予防できます。

一方、カフェインを含むお茶やコーヒー、アルコールを含む飲みものは熱中症予防に適していません。利尿作用によってからだの水分が失われやすく、熱中症のリスクを高めるためです。

水分はのどが渇く前にこまめに補給することが大切です。熱中症予防に適切な飲みものを選び、効率的に熱中症予防に取り組みましょう。

衣服を調整する

熱がこもらない服装や日よけグッズを適切に使用することで、熱中症を予防できます。おもな対策として、以下があげられます。[14]

  • 麻や綿が使用された通気性のよい服を選ぶ

  • 吸水性や速乾性に優れた衣服や下着を着用する

  • 日差し対策としての帽子や日傘の使用する

汗の蒸発を妨げない通気性や速乾性に優れた衣服は、熱中症予防に効果的です。

また、直射日光を避けるために帽子や日傘の使用をすることで、からだに熱が伝わりにくくなります。

帽子や日傘は日頃から積極的に活用しましょう。

環境を整える

熱中症予防には、体温調節の働きを正常に保つために熱を逃がしやすく、こもりにくい環境を整えることが重要です。

具体的な方法として、以下があげられます。[14][15]

  • 冷房や扇風機を使用して風通しをよくする

  • ブラインドやすだれを使用して日光をさえぎる

  • 外出時は日陰を選んで歩いたり作業したりする

  • 屋外で過ごすときは涼しい場所でこまめに休息をとる

自分のいる環境に応じた対策を講じましょう。

熱中症警戒アラートに関するよくある質問

熱中症警戒アラートに関するよくある質問にお答えします。

熱中症アラートは何度で出ますか?

熱中症警戒アラートは、気温だけで発令を判断されるのではなく、暑さ指数(WBGT)を指標として出されます。

暑さ指数が33以上で熱中症警戒アラート、35以上で熱中症特別警戒アラートが発令されています。

熱中症警戒アラートが発令されたら、 いつもより積極的に熱中症予防に努めましょう。

熱中症警戒アラートはどこで見れますか?

熱中症警戒アラートは、以下の方法で確認できます。[4]

  • ニュース

  • 天気予報

  • 環境省や気象庁の公式サイト

また、環境省のメール配信やLINE通知などからも情報を得られます。自分に合う方法で、最新情報を確認しましょう。

熱中症アラートが出たら外出は控えるべき?

熱中症警戒アラートが発表された場合、不要不急の外出は控えましょう。[4]

熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性が極めて高くなると予測されたときに環境省と気象庁が発表する情報です。

発表された日には、外出を避け、熱中症予防策を積極的におこないましょう。

室温が26度でも熱中症になりますか?

室温が26度でも熱中症になるリスクがあります。熱中症は、温度だけでなく、湿度や日差しの強さなども関係しているためです。

たとえば、気温が26度で湿度が85%であったとき、暑さ指数は27と「警戒レベル」に達します。[6]

とくに運動や激しい作業を屋外でおこなう場合は、熱中症の発症リスクが高くなります。

このように気温が低くても湿度が高い場合は、熱中症になりやすいことを理解しましょう。

まとめ

熱中症警戒アラートが発令されたときは、すでに熱中症になるリスクが非常に高い状態です。アラートが出たら、いつもより積極的な熱中症予防策をおこなわなければなりません。

不要な外出を避け、エアコンが効いた涼しい場所で過ごし、こまめに水分や塩分を補給しましょう。また、周りの人たちとも声をかけ合い、みんなが安全に過ごせるように配慮することが大切です。

日常から暑さ指数を確認し、熱中症警戒アラートが出ていなくても適切な熱中症対策を心がけましょう。

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参考文献

[1]熱中症警戒アラート | 気象庁

[2]「熱中症特別警戒アラート」等の運用を開始します|環境省

[3]環境省熱中症予防情報サイト - 熱中症特別警戒情報とは|環境省

[4]環境省熱中症予防情報サイト - 熱中症警戒アラートが発表されたら|環境省

[5]環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数(WBGT)について学ぼう|環境省

[6]「日常生活における熱中症予防指針」Ver.4|日本生気象学会

[7]環境省熱中症予防情報サイト|環境省

[8]環境省熱中症予防情報サイト-熱中症警戒アラート等のメール配信サービス

[9]環境省 | LINE Official Account

[10]環境省公式LINEアカウントによる情報配信

[11]こんな人は特に注意!「室内で過ごす人 」 | 熱中症ゼロへ |日本気象協会推進

[12]熱中症を防ごう|厚生労働省

[13]熱中症環境保健マニュアル2022|環境省

[14]熱中症の予防・対策 | 熱中症ゼロへ 日本気象協会推進

[15]みんなで熱中症対策!ちょっとした心がけで予防できます|神奈川県ホームページ

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