ヘルパンギーナは兄弟間ではうつりやすい?家庭での対応方法を紹介

公開日: 2024/01/04 更新日: 2024/09/13
兄弟の誰かがヘルパンギーナになってしまったとき、ほかの子どもにうつるのか心配になる親御さんも多いのではないでしょうか。 ヘルパンギーナは兄弟間だとどのくらいの確率でうつるのかどうか気になる方もいるでしょう。 この記事ではヘルパンギーナは兄弟間ではうつるのかどうか、どうやったらうつってしまうのかについて解説します。 ほかにも家庭での対応方法や保育園・学校に行ってもよいのかをお伝えします。 ぜひ参考にしてください。
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ヘルパンギーナが兄弟にうつる確率は?

結論からいうと、ヘルパンギーナが兄弟でうつる確率は高いです。

なぜならヘルパンギーナは、熱やのどの痛みがあらわれているときに一番感染力が強くなるためです。

そのため熱が出た子どもがヘルパンギーナと診断された地点で、すでに兄弟にうつってしまっている可能性があります。[1]

またヘルパンギーナは便からウイルスが2〜4週間排出されるため、熱が下がっても1か月ほどはトイレやおむつの便から兄弟にうつる可能性があります。

熱が下がっても安心はできません。うつってしまう機会が多い、やっかいなウイルスと言えるでしょう。

ヘルパンギーナとは

ここでヘルパンギーナについて基本的な内容をおさらいしましょう。

ヘルパンギーナはウイルスが原因で起こる風邪の一種です。

ウイルスに感染してから症状があらわれるまでの潜伏期は2〜4日ほどで、報告される患者の90%以上が5歳以下であるという報告がされています。

流行するのは毎年5〜10月で、感染のピークは7月頃です。

ヘルパンギーナは下の3種類の方法でうつります。

  • 接触感染(せっしょくかんせん):感染した子どもの唾(つば)、鼻水などを触った手で口や目、鼻を触る

  • 糞口感染(ふんこうかんせん):感染した子どもの便中のウイルスが手や食べ物につき、口に入る

  • 飛沫感染(ひまつかんせん):感染した子どもの咳や鼻水が口に入ったり目や鼻にくっついたりする

ウイルスが原因であるため、細菌をやっつける抗生物質は効果がありません。

特効薬(とっこうやく)やワクチンもなく、基本的には本人の免疫がウイルスに勝つのを待つことになります。

関連記事:ヘルパンギーナについて知っておきましょう

ヘルパンギーナの症状

ヘルパンギーナの代表的な症状は、以下の2つです。

  • 突然の高熱(38~40度)

  • 口の中のぶつぶつ

その他に、だるさや吐き気、全身の痛みなどが出る場合もあります。

口の中にぶつぶつができて痛いため、食事や水がとれなくなる子どもも珍しくありません。

水分がとれない場合は、点滴治療が必要になることもあります。また38度以上の発熱が起こることにより、熱性けいれんを起こす子どももいます。

もし子どもがけいれんを起こした場合は、落ち着いてけいれんの時間や様子を確認し、5分以上けいれんが続く場合は救急車を呼びましょう。[2]

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兄弟がヘルパンギーナになったときの家庭での対応

兄弟がヘルパンギーナになったときは、うつらないように以下のことをおこないましょう。

  • 兄弟がいっしょに過ごさないようにする(特に発熱時)

  • おむつ替えのあとは丁寧に石鹸で手を洗う

  • 部屋の換気を行う

  • 手洗い・うがいをこまめにおこなう

ヘルパンギーナは感染した子どもの咳や鼻水からうつります。

特にうつりやすい発熱時は、兄弟が過ごす部屋をできるだけ分け、食事のタイミングもずらすのがよいでしょう。

また小さい子どもがかかっている時はおむつ替えにも注意が必要です。

ウイルスを含む便のついた手から感染が広まらないように、おむつ替えのあとはしっかりと手を洗いましょう。

その他にも部屋の換気やこまめな手洗いうがいなどの基本的な感染予防法も効果があります。

ヘルパンギーナのウイルスは家庭にある手指専用のアルコールでは消毒できません。

薄めた塩素系漂白剤は効果がありますが、全ての物を塩素消毒することは現実的に不可能です。[3]

兄弟へうつるのを防ぐには、できる限り子どもどうしの距離をとり、手洗いうがいをこまめにおこなってください。

ヘルパンギーナになったら保育園や学校は出席停止?

ヘルパンギーナはインフルエンザや新型コロナウイルスなどとは異なり、法律で決められた出席停止期間はありません。

回復後4週間ほどは便にウイルスが排出されるため、1週間ほど出席停止にしてもあまり意味はないです。

しかし保育園や学校によっては、感染拡大を防ぐために一定期間の欠席を求められるケースもあります。

いつから登園・登校できるかは主治医の意見を聞いたうえで、通っている保育園や学校に確認するのが確実です。

なおヘルパンギーナに濃厚接触者の制度はないため、症状がなくヘルパンギーナにかかっていない兄弟の出席については問題ありません。

保育園や学校には必ず報告しましょう

ヘルパンギーナは感染力の強い病気であるため、かかったら必ず保育園や学校には報告しましょう。

報告を受けることで保育園や学校はヘルパンギーナの流行が分かり、以下のような措置をとることができます。

  • 消毒や換気の強化

  • 学級閉鎖・休園の指示(欠席者が多い場合)

消毒や換気を強化することにより、室内に溜まってしまったウイルスをできるだけ吸い込まない、子どもの体に付着させないことが大切です。

ヘルパンギーナに感染してしまった子供が多い場合だと学級閉鎖や救援などの措置をとる必要も出てきます。

その際は学校や保育園の指示に従うようにしてください。

ほかの子どもへの感染拡大を防ぐために、協力をお願いします。

まとめ:兄弟同士ではうつる機会が多々あるので注意

ヘルパンギーナは感染力の強いウイルスであるため、兄弟でうつる可能性は非常に高いです。

一番うつりやすいのは熱やのどの痛みが出ているときですが、熱が下がっても便にウイルスが含まれるため、1か月ほどは注意が必要となります。

兄弟での感染を防ぐためにはこまめな手洗いうがいをおこない、部屋の換気もおこなうようにしてください。できるだけ兄弟が一緒にいないように注意しましょう。

この記事の内容を参考に、できることをやってみてくださいね。

参考文献

[1]国立感染症研究所:ヘルパンギーナとは

[2]熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023

[3]日本環境感染学会:小児のエンテロウイルス感染症

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