高血圧の薬に不安がある方必見!降圧薬一覧を作用別に紹介

公開日: 2024/01/04 更新日: 2024/05/22
高血圧と診断されたけど降圧剤を飲むのが怖い……薬を飲み始めたらやめられなくなったり体に負担がかかりすぎたりして良くない気がする……といった悩みでお困りではないでしょうか? 高血圧の薬は種類が多く、作用もさまざまです。 自分が飲んでいる薬がどうやって血圧を下げるのかわからないので、降圧剤への恐怖感があるのでしょう。 例えば、初めてなのに2種類の薬を処方された場合、急にこんなに飲んで大丈夫なのか不安になりますよね。 この記事では、降圧剤の作用や使い分けについて詳しく紹介しています。 降圧剤の作用を確認し、不安を解消していきましょう。
目次

血圧を調整する仕組み

血圧を調整する機構は以下の5つです。

  • 交感神経と副交感神経による調整
  • 心臓の働きの調整
  • 血管の伸び縮みによる調整
  • 循環中枢による調整
  • 腎臓による調整

交感神経と副交感神経は自律神経です。自律神経は自分の意図に関わらず、刺激に反応して身体の調整をおこないます。

血圧においては交感神経の刺激興奮は血圧上昇を、副交感神経の刺激興奮は血圧低下を引き起こします。

 

交感神経

副交感神経

心拍数

心収縮力

↓(軽度)

血管

収縮

 

血圧

上昇

低下

心臓では、心拍数や心収縮力(全身に血液を送り出す力)を調整しています。心臓にある交感神経の受容体は主にβ11受容体です。

副交感神経の受容体としてムスカリン(M2)受容体が分布していますが、心伸筋にあまり分布していないため、心収縮力にはあまり影響しません。

血管に作用して血管の収縮をおこなうことも血圧の調整に繋がります。

水が流れるホースと一緒で、ホース(血管)が狭くなると圧(血圧)が高くなる仕組みです。

血圧を調整する中枢は延髄にあり、体の全体から情報を受け取り、って適切に調整をおこないます。

受け取る情報は、血中の二酸化炭素や、首の動脈の圧の変化、体の中が酸性かどうか等です。

延髄の中枢が受け取った情報から、排尿を促したり、心拍数の調整、血管の収縮・拡張を促したりして循環調整をおこないます。

腎臓に作用して尿量を調整したりするものもあります。尿の量を増やすと体内の水分量がへり、血圧が下がる仕組みです。

尿量を減らすには、ホルモンが形を変えて作用をしていきます。ホルモンに狙いを定めて作用しないように薬で調整をします。

高血圧の薬一覧!作用別分類で紹介

高血圧の薬は、血圧を下げる作用がそれぞれ違います。

血圧をさげる機構を理解した上で、薬ごとに作用を確認していきましょう。

 

Ca拮抗薬|血管収縮させるカルシウムの流入防ぐ

参考文献:2017 株式会社メディックメディア 岡庭豊 病気が見えるVo2循環器第4版 p326

心臓や血管が収縮するとき、血管細胞内にカルシウムイオンが入ってきます。細胞内の中にカルシウムイオンが増えると血管が収縮し、血圧が上がります。

Ca拮抗薬は血管についているCaチャネル(カルシウムイオンをとりこむ入口)を阻害することでカルシウムイオンの流入を防ぎます。

代表薬はアムロジピン、ニカルジピン、ニフェジピンです。

 

Ca拮抗薬の種類                

特徴

商品名

ジェネリック

最も長時間作用する 

副作用が少ない 

心不全合併例にも使用可能

ノルバスク

 

アムロジン

アムロジピン(製薬社名)

頻脈を起こしにくい

ランデル

 

アテレック

シルニジピン

脳血管に作用しやすい

ぺルジピン

ニカルジピン

中程度の持続時間、降圧作用は緩やか

バイロテンシン

ニトレンジピン

短時間作用

降圧作用は強い

副作用もあり

 

セパミット

 

ニフェジピン

セパミット

ニフェジピンL

一日一回持続

アダラートCR

ニフェジピンCR

脳、心臓周りの血管へ作用が強い

ニバジール

ニルバジピン

 

ヒポカ

 

血管のみに作用する力が強い

スプレンジール

フェロジピン

蛋白尿の改善

コニール

ペニジピン

 

カルスロット

マニジピン

頻脈を起こしにくい

カルブロック

アゼルニジピン

 

サプレスタ

 

 

ベック

 

服薬回数が少ない

カデュエット

アマルエット

降圧効果は強いが徐脈作用も強い

ヘルベッサー

ジルチアゼム

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p635-640

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)|血管収縮させるアンジオテンシンⅡをブロック

参考文献:2017 株式会社メディックメディア 岡庭豊 病気が見えるVo2循環器第4版 p326 

アンジオテンシンⅡが血管にある受容体と結合すると、血管が収縮します。血管と結合する受容体はAT1受容体です。

ARBはAT1受容体をブロックしてアンジオテンシンⅡの作用である血管収縮作用を抑制し、血圧を下げます。

アンジオテンシンⅡには腎臓でのナトリウムや水分を排出する作用もあります。

ARBは副腎から腎臓を刺激するアルドステロンを抑制し、水分の排出を促進、体内の循環量を減らすことで血圧を下げます。

代表薬はオルメテック、ミカルディス、アジルバです。                       

特徴

商品名

ジェネリック

降圧はやや弱い

試験データが多く安全性が高い

初回に処方される

ニューロタン

ロサルタンK

適当な降圧効果と持続性

心不全に適応

ブロプレス

カンデサルタン

体に残りにくい

ディオバン

バルサルタン

長時間作用しやすい

ミカルディス

テルミサルタン

降圧作用が強い

オルメテック

オルメサルタン

腎疾患を持っている人への安全性が高い

イルベタン

イルベサルタン

アバプロ

強い降圧作用

長時間作用

夜間高血圧にも有効

アジルバ

アジルサルタン

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p644-647

ACE(アンジオテンシン変換要素)阻害薬|アンジオテンシンⅡを作らせない

参考文献:2017 株式会社メディックメディア 岡庭豊 病気が見えるVo2循環器第4版 p326 

ACE阻害薬は血管収縮作用のあるアンジオテンシンⅠ(肝臓で生成されるホルモン)をアンジオテンシンⅡに変換させないようにします。

アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡに変化するにはACE(アンギオテンシン変換酵素)が必要です。ACEを阻害すると血圧が下がります。

アンジオテンシンⅠは特に身体に影響する作用は持ちません。

代表薬はレニベース、タナトリルです。                        

特徴

商品名

ジェネリック

短時間作用

カプトリル

カプトプリル

試験データが多く安全性が高い

心不全に適応

レニベース

エナラプリルマレイン酸

持続時間長い

セタプリル

アラセプリル

アデカット

 

ロンゲス

リシノプリル

ゼストリル

 

併用した試験データが多く

多剤投与での安全性が高い

チバセン

ベナゼプリル

空咳の副作用が少ない

タナトリル

イミダプリル

 

エースコール

テモカプリル

 

オドリック

トランドラプリル

血管を再構築して改善する作用

コバシル

ペリンドプリル

 

 

ぺリンドプリルエルブミン

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p641-644

利尿薬|体内の循環量をへらす

利尿薬は腎臓で塩分や水分を体の外に出し、血圧を下げる薬です。体の中の循環量を減らして血圧を下げます。塩分制限と同様の効果があると言われている薬です。

代表薬はラシックス、トリテレンです。                         

特徴

商品名

ジェネリック

副作用抑制のため少量投与

 

ヒドロクロロチアジド

 

フルイトラン

トリクロルメチアジド

 

ラシックス

フロセミド

 

ベハイド

 

脂質への悪化作用が少ない

ナトリックス

 

 

テナキシル

 

 

ノルモナール

 

 

バイカロン

メフルシド

カリウムを保持して副作用を減らすが

降圧作用も低い

トリテレン

 

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p624-626

 

α遮断薬|ノルアドレナリンをブロックして血管拡張

参考文献:2017 株式会社メディックメディア 岡庭豊 病気が見えるVo2循環器第4版 p326 

血管を収縮させるノルアドレナリンを、血管のα1受容体に届けないようにするのがα遮断薬です。血圧を収縮する効能を抑えるため血圧が下がります。

代表薬はバソメット、カルデナリンです。                      

特徴

商品名

ジェネリック

選択制が高い

エブランチル

 

 

バソメット

 

長時間作用 副作用少ない

カルデナリン

ドキサゾシン

選択制が高い

デタントール

 

 

レギチーン

 

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p632-633

β遮断薬|ノルアドレナリンをブロックして心機能抑制

心臓に作用して心拍出量をあげるノルアドレナリンを、β受容体に届けないようにするのがβ遮断薬です。心拍数や拍出量を減らすため血圧が下がります。

代表薬はメインテート、ロプレソールです。 

特徴

商品名

ジェネリック

作用が多い

テノーミン

アテノロール

心不全 頻脈にも効果あり

メインテート

ビソプロロール

経口不能な場合に使用可能

ビソノテープ(テープ製剤)

 

心不全の予後改善効果

ケルロング

ベタキソロール

ロプレソール

 

セロケン

メトプロロール

 

セレクトール

セリプロロール

 

ハイパジール

 

 

インデラル

プロプラノロール

 

ナディック

 

徐脈の作用低い

ミケラン

カルテオロール

 

カルビスケン

 

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p626-630

※αβ遮断薬:β遮断薬として使用されることが多いのでご紹介します。

特徴

商品名

ジェネリック

 

ローガン

 

 

アロチノロールDSP

アロチノロール

優位な血管拡張

抗酸化作用

糖脂質代謝を悪化させない

アーチスト

カルベジロール

妊娠高血圧に使用可

トランデート

ラベタロール

Ca拮抗作用も有する

カルバン

 

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p631-632

中枢性α2アゴニスト|神経を興奮させない中枢性交感神経抑制

参考文献:2017 株式会社メディックメディア 岡庭豊 病気が見えるVo2循環器第4版 p326 

ノルアドレナリンの生成を抑制するのが中枢性交感神経抑制薬です。

交感神経にあるα2受容体(ノルアドレナリンを抑制する作用がある)を刺激し、ノルアドレナリンを作らせないことで血圧を上げる要因を減らし、血圧を下げます。

代表薬はクロニジン、カタプレスです。                         

特徴

商品名

ジェネリック

神経・精神性の副作用あり

カタプレス

 

 

ワイテンス

 

妊娠高血圧に対して使用

アルドメット

 

メチルドパ

 

参考文献:参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p634

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRB)|カリウムは減らさないで利尿する

利尿薬の一種で、カリウムを下げることなく利尿を行い、血圧を下げます。原発性アルドステロン症に使われる薬です。

肥満だとアルドステロンが高値となることが多く、アルドステロンが多いと効果が高まります。

代表薬はアルダクトン(ジェネリック:スピロノラクトン)です。                       

特徴

商品名

ジェネリック

原発性アルドステロン症の診断・症状の改善

アルダクトン

スピロノラクトン

女性化乳房などホルモン関係の副作用が少ない

セララ

 

 

ミネブロ

 

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p649-650

直接的レニン阻害薬|アンジオテンシンⅠの産生促すレニンを減らす

血管を収縮させるアンジオテンシンⅡは、アンジオテンシンⅠとレニンから生成されます。

レニンを阻害してアンジオテンシンⅡを減らし、血圧低下につなげるのが直接的レニン阻害薬です。

現在販売されている薬はラジレスのみです。腎機能保護作用という特徴があります。

ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)|様々な効果を併せ持つ

ARBやACE阻害薬による血管拡張作用や、利尿作用による循環量減量によって血圧を下げるのがARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)です。

長期目線で心臓の負担を軽減していく場合に使われます。ARBやACE阻害薬から切り替えて使うことが多い薬です。現在販売されている薬はエンレストのみです。

飲む錠剤が少なくて済む配合薬

血圧が下がりにくい状態が続く場合、いろいろな効能をもつ薬を組み合わせて飲みます。効果が一緒になった配合薬を処方されるケースも多いです。

飲む薬が減ることで、飲み忘れを防ぎやすくなります。代表薬はプレミネントです。

特徴

特徴

商品名

ジェネリック

ARB

利尿薬

配合薬

降圧と持続性に優れる

プレミネント

ロサルヒド

 

 

コディオ

バルヒディオ

 

 

エカード

カデチア

 

 

ミコンビ

テルチア

 

 

イルトラ

 

ARB

Ca拮抗薬

配合

高い安全性で強力な降圧作用 

ハイリスク例に使用可

エックスフォージ

アムバロ

 

 

レザルタス

 

 

 

ユニシア

カムシア

 

 

ミカムロ

テラムロ

 

 

アイミクス

イルアミクス

 

 

アテディオ

 

 

治療が効きにくい場合に試みる

ザクラス

ジルムロ

ARB

Ca拮抗薬

利尿薬

配合

難治性の高血圧に対して使用

唯一の3剤配合薬

ミカトリオ

 

高血圧の予防に効果のある薬はあるの?

高血圧の予防に効果のある薬はありません。非薬物療法(食事療法や運動療法)でも血圧が下がる効果や予防効果が示されているので、実施していきましょう。

カテキンの含まれるお茶や、玉ねぎには血圧を下げる効果も示されています。また、一日20分程度の有酸素運動は優位に血圧を下げる効果があり、推奨されています。

参考文献:降圧効果を持つ機能性食品の薬理作用~血圧コントロールが期待される食品~

     研究 軽症高血圧における習慣的運動の降圧効果

代表的な降圧剤の副作用

降圧剤は薬ごとに血圧を下げる理由が違うため、副作用も異なります。また、同じ分類の薬でも、薬剤ごとに副作用は異なります。

副作用が気になる方はチェックしておきましょう。そして気になる副作用について、医療機関で相談すると良いでしょう。

Ca拮抗薬

Ca拮抗薬には主に、動悸や頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉増生、便秘などの副作用があります。血管を広げる作用が強いためです。

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

ARBには軽い動機やめまいの副作用があります。重大な副作用は血管浮腫や高カリウム血症です。

ACE阻害薬(アンジオテンシン変換要素阻害薬)

ACE阻害薬の副作用は空咳、のどの違和感、浮腫です。

ACE阻害薬がブラジキニン(ホルモンの一種)の分解を抑制する作用が強まり、肺胞への刺激が強くなるため咳がおこりやすい状態になります。

利尿薬

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を除く、利尿薬には低カリウム血症や高血糖病、高尿酸血症があります。

腎臓に作用し、腎機能の低下を招く危険性があるため、少量の投与から開始するのが基本です。

参考文献:2023 株式会社メディックメディア 岡庭豊 病気が見えるvol.2 循環器第4版     p327

α遮断薬

α遮断薬は、起立性低血圧による立ちくらみやめまい、動悸、失神等の副作用があります。

交感神経長期投与ではめまい、頭痛、眠気、脱力感、動機、尿漏れなどの副作用が報告されているため注意が必要です。

参考文献:2023 南江堂 川合眞一/伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/北村正樹/寺田智祐 今日の治療薬2023 p617

β遮断薬

β遮断薬の一般的な副作用は徐脈、喘息様症状、心不全の誘発です。急な中止で離脱症状の可能性があります。

そのほかの薬の副作用

中枢性交感神経抑制薬の副作用は倦怠感や立ちくらみ、眠気、口の渇きです。中枢に刺激をうけるため、神経・精神性への影響があります。

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の副作用は女性化乳房、勃起不全です。また、カリウムを排出しないようにするため、高カリウム血症のリスクがあります。

知っておきたい降圧剤の知識

降圧剤において、知っておくと便利な知識をまとめておきました。参考にしてみてください。

降圧剤を飲む基準!140/90以上は注意!

降圧剤を開始する基準は、140/90の血圧が持続している状態です。脳血管疾患の約50%が120/80を超える血圧高値に起因するものと推定されています。

高血圧だからといって、必ず降圧剤を飲む必要はありません。食生活や運動習慣を見直して様子を見る場合もあります。

しかし、日常生活の改善のみで目標を達成できる方は少ないので降圧剤を使用することが多いです。

とくに高齢であったり、合併症や既往の影響で脳卒中や心不全が起きやすい場合はリスクを考慮し、早期から降圧剤を使用します。

参考文献:高血圧治療ガイドライン2019 p4

 

診察室で測定している血圧に基づいた脳血管病のリスク

 

高値血圧

130~139

/80~89

Ⅰ度高血圧

140~159

/90~99

Ⅱ度高血圧

160~179

/100~109

Ⅲ度高血圧

180以上

/110以上

リスク第一層

(予後影響因子がない)

低リスク

低リスク

中等リスク

高リスク

リスク第二層

(年齢65歳以上、男性、脂質異常症、喫煙のいずれかがある)

中等リスク

中等リスク

高リスク

高リスク

リスク第三層

(脳血管病既往、非弁膜症心房細動、糖尿病、蛋白尿がある慢性腎不全、もしくは第二層の危険因子が3つ以上)

高リスク

高リスク

高リスク

高リスク

引用:高血圧ガイドライン2019

軽い降圧剤ってあるの?第一選択で使われる薬とは

第一選択で使われるのは,Ca 拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン(AII)受容体拮抗薬、利尿薬です。

禁忌や副作用が少ないため利用頻度が高いです。脳心血管病のリスクが高い場合は初めから2剤を投与されることもあります。

降圧剤で血圧が下がりすぎ?数値目標は?

75歳未満の成人では、130/80未満を目標にします。75歳以上で脳血管障害や蛋白尿陰性の腎疾患患者では血圧を下げすぎると良くないため、140/90未満が目標です。

みんなアムロジンを飲んでいる?降圧剤処方数ランキング10位

医療情報サービスを手掛けるメディカル・データ・ビジョン(MDV)とDeSCヘルスケアのデータを基にダイヤモンド編集部が作成した処方患者数ランキングがあります。

その結果は1位アムロジピン、2位オルメサルタン、3位ビソプロロールです。トップ10にARBが5剤含まれています。

 

商品名

作用機序

1位

ノルバスク、アムロジン

Ca拮抗薬

2位

オルメテック

ARB

3位

メインテート

β遮断薬

4位

ブロプレス

ARB

5位

アダラート

Ca拮抗薬

6位

ミカルディス

ARB

7位

ラシックス

利尿薬

8位

アジルバ

ARB

9位

アーチスト

αβ遮断薬

10位

ディオバン

ARB

出典:DIAMOND online 高血圧で処方患者数の多い「人気薬」ランキング!トップ10にARBが5剤、1位は?

※処方数のランキングであり、薬の強さには関係していません。

降圧剤の飲み合わせについて

降圧剤には飲み合わせで血圧が下がりすぎたり、脈が上がりすぎたりする場合があります。注意してください。

グレープフルーツジュースに含まれる成分でCa拮抗薬が効きやすくなる

グレープフルーツに含まれる成分が一部のCa拮抗薬の代謝を妨げてしまいます。

ジュースになると成分が濃縮されて効果がよりでやすくなり、2〜3日は影響をうけることもあるでしょう。薬が体内に残りやすくなり、血圧が過剰に下がる可能性があります。

一部のCa拮抗薬を服用期間中は、グレープフルーツジュースの飲用を避けましょう。

同じ柑橘系であるオレンジ、ミカン、レモン、ザボン、ボンタン、夏ミカンには含まれておらず、グレープフルーツと近縁果実であるフルーティに は含まれているので注意が必要です。

オレンジジュースはグレープフルーツジュースと同様の薬物相互作用の報告が現在までありません。

キウイやパパイン、イチジクはACE阻害性を向上させ、血圧を下げる可能性があるとされています。

しかし薬との飲み合わせについては詳しい研究はされていないようです。

降圧剤を服用しているときに納豆は食べちゃダメ?

納豆と降圧剤はとくに一緒に摂取しても問題ありません。血液をサラサラにするワーファリンを内服している場合は納豆は食べてはいけません。

サプリメントと降圧剤の飲み合わせで注意することは?

血圧が高めの方に向けた食品やサプリメントと、降圧剤の飲み合わせは注意しないといけない場合もあります。

血圧を下げる効果のあるサプリメントはセサミンやGABAが含まれる種類です。

サプリメントを飲んでいる場合は必ず医師や薬剤師に申告をして、服用している降圧剤との飲み合わせを確認しましょう。

参考文献:降圧効果を持つ機能性食品の薬理効果~血圧コントロールが期待される食品~

血圧の薬は飲まない方がよい?

血圧の薬はなるべく飲まないで過ごした方がいい……始めたらやめられないから降圧剤は飲みたくない!という方も一定数いるのではないでしょうか。

降圧剤は高血圧症の人にとって脳心血管の病気リスクを大きく下げるとても重要なものです。なぜ、そのように考える人がいるのでしょうか。

降圧剤を飲むなといわれていた時代がある?

血圧の薬ができたのは1950年代頃です。そもそも昔は血圧計というものはなく、血圧が高いという認識がなかったため、血圧を下げることが治療だと思われていませんでした。

しかし、次第に研究や調査が進んだことで、さまざまな病気、とくに脳疾患系の病気は高血圧が大きく関わっていることが分かりました。

血圧は下げた方が良いという結果が得られ、降圧剤を積極的に使用するようになりました。

適正な血圧も研究により変わってきています。

これくらいの血圧なら問題ない、自覚症状がないから薬なんて飲まなくても良いといった意見を持っている人もいるかもしれません。

疾患によっては血圧の薬は飲まないほうが良い場合がある

妊婦や重篤な心不全がある患者は副作用によって身体に悪影響を及ぼす可能性があるので、降圧剤を服用しない方がいい場合もあります。

例えば妊婦にとって、ACE阻害薬、ARB、直接的レニン阻害薬は禁忌です。

薬の添付資料で禁忌となっている場合でも、医師が治療で必要だと判断する場合もあります。主治医とよく相談しましょう。

引用:妊婦における高血圧治療薬について

 

降圧剤を飲み続けるとどうなるの?血管がボロボロになるの?

高血圧の状態が続くと血管が降圧に耐えるために硬くなり、ボロボロになりやすくなります。降圧剤の影響ではありません。

高血圧の薬を飲まないとどうなる?

高血圧の薬を飲まないと、血管や心臓の負担が変わらないため、脳血管疾患や心不全のリスクが高くなります。

高血圧の期間が高いほど、リスクは高くなりやすいため、早めの服用が必要となってきます。

降圧剤はやめられるの?

血管がボロボロになった状態では、高血圧の薬が必須となり、やめられない場合があります。

早めに降圧剤を使用し、食事療法や運動療法を継続して生活習慣を変えることで降圧剤がやめられる可能性があるでしょう。

血圧が下がっているからといって急に降圧剤を自己判断でやめてしまうと急激に血圧が上昇し、脳神経疾患のリスクが急激に上がるため注意しましょう。

降圧剤をやめる際は自己判断せず、必ず医師と相談してください。

降圧剤をやめる基準

降圧剤をやめる明確な基準はありません。血圧が下がってくると降圧の効果が低いものに変えたり、持続が短いものに変えたりして様子をみます。

血圧が下がっているからといって必ず降圧剤をやめる方向にはなりません。降圧剤は脳心血管病の予防にもるなるため、飲み続けることで予防する側面もあるためです。

降圧剤をやめた人がやっていたこと

降圧剤をやめたり、降圧剤が減量となった人は生活習慣の見直しで改善がされる方も多いです。

食事療法では塩分を一日6g以下にするなどの工夫が必要でしょう。運動療法では一日30分以上毎日散歩をするなど、生活に高血圧の治療の意識づけが重要です。

血圧の変動に一喜一憂することなく継続していきましょう。

Q&A

高血圧の薬について多く寄せられる質問に対して回答します。

高血圧の代表的な薬は?

高血圧の薬はCa拮抗薬であるアムロジピンが代表的な薬で、一番多く処方されています。

血管を収縮させるカルシウムを血管に作用させないようにして、血圧を下げる仕組みです。

主な副作用は頭痛、動悸、顔のほてり感、浮腫などがあります。

一番安全な血圧の薬は何ですか?

万人に一番安全な血圧の薬というものはありません。初回投与時には血圧を下げる効き目が良好で禁忌や副作用が少ないCa拮抗薬、ARBが使用されることが多いです。

高血圧で薬を飲むのは数値がいくつからですか?

収縮期血圧は140、拡張期血圧は90以上あると脳血管疾患のリスクが急激に上昇するため、140/90が高血圧の薬物療法での目安になります。

年齢が75歳以上だったり、もともと脳血管や心疾患の既往がある方は130/80異常で服薬を開始する可能性もあるでしょう。

180/110以上は早急に血圧を下げる必要があるので降圧剤を使用します。

高血圧で飲んではいけない薬は?相互作用について紹介

高血圧の薬と飲み合わせると作用が弱くなったり強くなったりする薬があります。使用する際は注意しましょう。

一部の代表的な相互作用をまとめました。以下の表を参考にしてください。

組み合わせ

相互作用

アムロジン

(Ca拮抗薬)

エリスロマイシン

(抗生剤)

降圧効果増強

リファンピシン

(抗生剤)

降圧効果減弱

シンバスタチン

(脂質異常症薬)

シンバスタチンのAUC上昇

タクロリムス

(免疫抑制剤)

タクロリムスの効果増強

オルメテック

(ARB)

 

 

 

スピロノラクトン

(MRB)

血清カリウム値の上昇

フロセミド

(利尿薬)

一過性の急激な降圧作用

ラジレス

(レニン阻害薬)

降圧効果増強→併用禁忌

NSAIDs

(抗炎症・鎮痛剤)

降圧効果減弱

腎機能悪化

メインテート

(β遮断薬))

インスリン

(糖尿病)

インスリンの作用増強

低血糖症状をマスク

 

ベラパミル

ジルチアゼム

(Ca拮抗薬)

心電図異常

 

ジゴキシン

(心筋収縮)

ジゴキシンの血中濃度上昇

 

インドメタシン

(抗炎症・鎮痛)

降圧作用減弱

参考:各薬剤添付文書 相互作用

まとめ

高血圧の薬にはたくさんの種類があり、作用機序もさまざまです。血管を広げたり、利尿を促して体内循環量を減らして血圧を下げます。

降圧剤は作用機序によって副作用も異なるので、確認しておきましょう。

降圧剤の服薬開始は140/90以上の血圧が目安です。血圧が140/90以上になると、脳血管疾患のリスクが上がるためです。

年齢や既往歴によって140/90以下でも高血圧の薬を開始する場合もあります。降圧剤の服用と平行して、食生活や運動習慣による日常生活の改善が必要です。

降圧剤を急にやめると急に血圧が上がって脳血管疾患を引き起こす危険性があるのでやめてください。降圧剤は脳や心臓の病気を予防する側面が強いです。

高血圧の薬はグレープフルーツジュースで作用が強くなる種類があります。サプリメントや痛み止めの服用も相互作用で増強や減弱を招くため、使用前に医師や薬剤師に相談してください。

上手に高血圧の薬と付き合い、健康的な体づくりにつなげていきましょう。

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