インフルエンザにロキソニンは効く?効かない?使っていい?使用できる解熱鎮痛剤について解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/13
インフルエンザが3年ぶりに流行しはじめています。身近な方でかかっている方もいるのではないでしょうか? インフルエンザにかかると高熱が出ることが多く、関節の痛みや喉の痛み、頭痛なども起こります。 解熱鎮痛剤を飲みたいと思ったとき、数ある解熱鎮痛剤は全て服用していいのでしょうか。 とくにロキソニンは普段から使用されている方が多いため「インフルエンザのときに服用してよいのか」という声をよく耳にします。 この記事では、ロキソニンを含めた解熱鎮痛剤の服用についての注意事項や推奨される薬を解説します。
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目次

インフルエンザで解熱剤は飲まない方がいい?

解熱剤はむやみに飲まない方がいいと聞いたことはありませんか?

発熱は異物から自身を守ろうとする、自身の免疫反応です。微熱で服用する必要はないでしょう。

しかし高熱を放置すると脱水のリスクになったり、体力が消耗しやすくなったりします。熱が高くなったとき(38.5度程度)、体が辛いと感じているときに使用するとよいです。

解熱鎮痛剤はあくまで対処療法薬(原因治療ではなく症状を緩和させるもの)であることを理解しておきましょう。

インフルエンザのときに使用される解熱鎮痛剤は?

インフルエンザで受診すると様々な解熱鎮痛剤が処方されます。処方頻度が最も高いものはカロナール(アセトアミノフェン)でしょう。

カロナールは乳幼児から高齢者まで使用される解熱鎮痛剤です。

他には、ロキソニン(ロキソプロフェン)、ブルフェン(イブプロフェン)などが処方される頻度が高い解熱鎮痛剤となります。

インフルエンザにはロキソニン、カロナール、イブプロフェン、どれがよい?

ロキソニン(ロキソプロフェン)、ブルフェン(イブプロフェン)はNSAIDSという分類の解熱鎮痛剤です。

NSAIDSは痛みや熱や炎症を速やかにおさえる薬です。カロナール(アセトアミノフェン)はNSAIDSではない解熱鎮痛剤です。

カロナールは熱、痛みはおさえますが、炎症をおさえる効果はありません。

一部のNSAIDSは、小児のインフルエンザ脳症や脳炎に関与している可能性が否定できないので、小児のインフルエンザには原則使用を避けるべきです。[1]

インフルエンザにおけるロキソニンの効果について

成人のインフルエンザにロキソニンが処方されることは比較的よくあります。大人であればインフルエンザのときにロキソニンを飲んでも大丈夫なのでしょうか。

ロキソニンの効果や注意事項について解説します。

インフルエンザにロキソニンが処方された。大人なら大丈夫?

インフルエンザの合併症として、インフルエンザ脳症・脳炎という重篤な症状があります。NSAIDSはインフルエンザ脳症・脳炎に関与している可能性があるといわれています。

インフルエンザ脳症・脳炎は小児に起こりやすい合併症です。小児のインフルエンザの発熱にはアセトアミノフェンを使用するべきと、日本小児科学会でも公表されています。[2] 

成人のインフルエンザ脳症・脳炎の罹患率は非常に少なく、ロキソニンはNSAIDSの中でも注意喚起をされている系統の解熱鎮痛剤ではないため、禁忌(使用してはならない)ではありません。

しかしながら、成人でもインフルエンザ罹患時のNSAIDSの服用は慎重にすべきであるとされています。[3]

インフルエンザはロキソニンで熱下がる?

解熱鎮痛剤を服用すれば一時的に熱は下がるでしょう。しかし、原因が治っているわけではありません。あくまで現在の辛い症状と、体力の消耗をおさえているだけです。

インフルエンザと診断されたら、多くの方が解熱鎮痛剤とともに、抗インフルエンザ薬を処方されるでしょう。抗インフルエンザ薬をしっかりと服用してください。

インフルエンザは、発症後3〜7日間ウイルスを排出するといわれています。学校保健法では、発症後5日経過、なおかつ解熱後2日経過するまでは出席停止期間と定めています。

まわりの人にうつさないためにも、熱が下がったからといってすぐに外出したりするのは控えましょう。[4]

インフルエンザの関節痛にロキソニンは効く?どんな症状に効く?

ロキソニンは解熱、鎮痛、抗炎症効果があります。発熱、関節痛、頭痛、咽頭痛などに効果的です。

発熱、疼痛の諸症状に速やかに効果が出ますが、胃痛や腹痛などの内臓痛には効果が低いといわれています。

インフルエンザで処方薬のロキソニンを服用する際に注意することは?

インフルエンザの発熱は、ウイルスを抑えようとする体の防御反応です。微熱で元気であればむやみに服用することは避けましょう。

インフルエンザのときに使用を避けるべき解熱鎮痛剤について

では、インフルエンザのときに使用を避けるべき解熱鎮痛剤にはどんなものがあるのでしょうか。

インフルエンザのときに使用するとインフルエンザ脳症・脳炎、ライ症候群(ウイルス感染症から派生する肝障害を伴う急性脳症)のリスクになる解熱鎮痛剤があります。

どちらも小児〜未成年に起こりやすい合併症ですが、成人でも稀に発生がありますので、インフルエンザにかかったときは注意が必要です。

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)、ポンタール(メフェナム酸)

商品名:ボルタレン(成分名:ジクロフェナクナトリウム)・商品名ポンタール(メフェナム酸)は、インフルエンザ脳症・脳炎の患者の解熱鎮痛に使用して、死亡率が有意に上がったと報告があるため、インフルエンザ脳症・脳炎の患者への投与は禁忌(きんき)とされています。

脳炎・脳症を発症していなくても、インフルエンザの解熱鎮痛で使用するのは避けるべきです。[2] 

ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸は飲み薬は市販薬の販売はありませんが、ジクロフェナクは外用剤として市販薬が販売されています。

インフルエンザに罹患中は外用剤の使用も控えた方がいいでしょう。

サリチル酸系解熱鎮痛剤(アスピリン・アセチルサリチル酸・エテンザミド)

ライ症候群は小児に発生しやすい急性脳症です。インフルエンザや水ぼうそうなどのウイルス感染症の後に発症するといわれています。

ライ症候群はけいれん、意識障害、高熱、嘔吐などの急性脳症の症状に伴い、肝障害が出現するのが特徴です。

サリチル酸系薬品はライ症候群の発症・悪化と因果関係が否定できたいため、15歳未満には禁忌とされています。[5] 

アスピリン、アセチルサリチル酸、エテンザミドなどを配合している市販薬や処方薬の解熱鎮痛剤、総合感冒剤は注意しましょう。

子供のインフルエンザのときは?

子供のインフルエンザは、インフルエンザ脳症・脳炎やライ症候群の脳症に対して十分注意が必要です。

発現率は非常に稀ではあるものの、成人に比べて発症する可能性は高くなります。

日本小児科学会でも、インフルエンザの発熱についてはアセトアミノフェンが適切であり、NSAIDSの使用は慎重にとの見解が示されています。[2]

インフルエンザでカロナールが処方されました。子供は何回まで飲んでよい?

お子さんの年齢や体重、症状によっても異なりますので、服用回数や服用間隔は医師や薬剤師の指示を守って服用ください。

一般的には、服用間隔は5〜6時間以上あけて、服用回数は1日2〜3回までです。

小児の場合は、シロップ、散剤、坐剤など様々な剤形で処方されることがあります。どの剤形のものを使用しても間隔をあけること、合計回数を守るようにしてください。[6]

インフルエンザでカロナールを処方されて服用したが効かない。

カロナールを服用したのに熱が下がらないときはどうしたらいいでしょうか。インフルエンザの発熱は急激に症状が出現し、熱も一気に上がることが多いです。

熱が上がっているタイミングだと、服用しても抑えきれないこともあります。解熱鎮痛剤の追加投与については指示の服用間隔、回数を守って追加服用しましょう。

解熱鎮痛剤を服用したのに熱が高く熱く発汗しているようなときは、首の付け根、ソケイ部(足の付け根)、脇の下を冷やすと効果的です。脱水予防のために水分摂取も心がけましょう。

インフルエンザでロキソニンは、子供は飲んでよい?何歳から飲める?

インフルエンザ以外の解熱鎮痛で使用する場合、市販薬のロキソニンは、成人(15歳以上)の適応となっています。[7] 

処方せん薬の場合は、患者さんの年齢・体重・状況を加味して、医師の判断でそれ以下の年齢で処方されることもあります。

しかし、インフルエンザの場合は、合併症のリスクを考慮して子供の服用は避けるべきです。

異常行動などの報告が10代の未成年にも多く報告されていることを考慮して、20歳未満は控えるべきでしょう。[8]

子供にはインフルエンザでロキソニンは禁忌(きんき)?なぜだめなの?

禁忌とは、「その病気がある人は飲んではいけない薬」「飲み合わせが非常に悪く一緒に飲んではいけない薬」「一定の年齢、状態の人は安全性を考慮して飲んではいけない薬」など、してはいけないことを指す言葉です。

インフルエンザにかかってしまった場合、合併症に注意が必要です。

とくに重症化しやすい脳疾患の合併症は、子供の出現率が高く、そのリスクをなるべく下げるためにもアセトアミノフェンの服用が推奨されています。

インフルエンザのとき市販薬を使用してもよい?

「インフルエンザかもしれないが、症状が軽度で受診するほどではない。」「すぐに受診できない理由があり、受診までの間熱を下げたい」などのとき、市販薬の解熱剤を服用していいのでしょうか。

アセトアミノフェンの成分の解熱鎮痛剤は市販薬でも販売があるため、服用は可能です。

しかし、重症化しやすい子供、高齢者、持病がある人、妊婦などは早めに受診するようにしましょう。

抗インフルエンザ薬は、症状が出現してから48時間以内に服用開始するのが効果的です。早めの受診が推奨されます。[9]

インフルエンザの疑いがあるとき、検査前だけど市販薬のロキソニンを飲んでもよい?

インフルエンザの可能性が高い場合は、早めに受診して診断を受け、処方薬をもらった方がいいでしょう。

事情があり、医療機関にすぐに受診できない場合、成人であれば、一時的な解熱鎮痛に使用可能です。[10]

ロキソニンsプラス、ロキソニンsプレミアムはインフルエンザで服用してもよい?

解熱鎮痛剤は一時的な症状を緩和するもので、根本を治療するものではありません。

しかし、すぐに受診できない場合の一時的な解熱鎮痛剤として、ロキソニンSプラス・ロキソニンSプレミアムともに使用可能です。[11] [12] 

ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンを配合する市販薬にはどのようなものがある?

厚生労働省のサイトに、アセトアミノフェンやNSAIDSを配合する市販薬一覧が掲載されています。

配合剤や単剤もあるので、必要で、安全性の高い成分を選択するとよいでしょう。こちらを参考に店舗の薬剤師にご相談ください。

[13]厚生労働省|市販の解熱鎮痛薬の選び方

Q&A

インフルエンザでロキソニンを飲んでも大丈夫ですか?

未成年はロキソニンの服用を避け、アセトアミノフェンを服用した方がよいでしょう。

成人であればインフルエンザでのロキソニンは服用可能と考えられますが、市販薬を自己判断で服用するのは、すぐに受診が難しいときの一時的な使用にとどめましょう。

インフルエンザの熱はロキソニンで下がりますか?

ロキソニンには解熱効果があります。熱が高い場合は、服用しても下がりきらない場合がありますが、薬は作用しています。

追加で服用する際は、成人であれば最低4時間はあけるようにしましょう。

インフルエンザにかかったら鎮痛剤を飲んでもいいですか?

インフルエンザでの発熱は、ウイルスの増殖を抑えようとする体の反応です。高熱でなく、元気であればむやみに解熱鎮痛剤を服用する必要はありません。

熱が高い状態が続くと、体力も消耗するので、薬を使用して症状を緩和しましょう。

コロナ熱はロキソニンで下がりますか?

2020年、フランスの厚生労働大臣が旧ツイッターに「NSAIDS(ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛剤)が新型コロナウイルス感染症の症状を悪化させるため、服用しないように」とツイートしたのをきっかけに話題になりました。

しかし、その後WHOはNSAIDSの使用が重篤な有害事象、生存率の悪化などを起こす根拠は認められていないと示しています。[14]

まとめ

ロキソニンは痛みや熱を下げてくれる薬であるため、自宅に予備用で置いている方も多く、すぐ手に取って飲む機会も多いでしょう。

しかし、インフルエンザのときは注意してください。とくに未成年のお子さんでインフルエンザの可能性があるときは、自己判断での服用は控えるようにしましょう。

市販薬でも使用できる解熱剤は存在しますが、購入の際には薬剤師や登録販売者に必ず相談してください。

乾燥する季節になると、感染症は流行しやすくなります。基本的な手洗いうがいをしっかりと行うことに加え、インフルエンザの知識を理解しておきましょう。

参考文献 

[1]厚生労働省|市販の解熱鎮痛薬の選び方

[2]厚生労働省|医薬品等安全対策部会|インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤について

[3]福岡県薬剤師会|インフルエンザ脳症とNSAIDSの関連性は?

[4]厚生労働省|令和五年度インフルエンザQ&A

[5]厚生労働省|小児のライ症候群等に関するジクロフェナクナトリウムの使用上の注意の改訂について

[6]国立成育医療研究センター|お薬Q&A|解熱剤について

[7]第一三共ヘルスケア株式会社|ロキソニンS添付文書

[8]厚生労働省|「抗インフルエンザウイルス薬服用時」の異常行動の報告

[9]クラシエ|インフルエンザの研究室|インフルエンザの治療薬とは?その種類や副作用などの注意点も解説

[10]第一三共ヘルスケア株式会社|よくあるご質問|ロキソニンS

[11]第一三共ヘルスケア株式会社|よくあるご質問|ロキソニンSプラス

[12]第一三共ヘルスケア株式会社|よくあるご質問|ロキソニンSプレミアム

 

[13]厚生労働省|市販の解熱鎮痛薬の選び方

[14]WHO|World Health Organization|新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の患者への非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用について

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