悪性リンパ腫の特徴や症状、治療法は?分類や予後まで解説!

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/13
悪性リンパ腫は、血液中に存在する白血球の中でも「リンパ球」と呼ばれる血球ががん化する病気です。 白血球には顆粒球と単球、リンパ球の3種類が存在しますが、悪性リンパ腫はその中で身体の免疫に関わるリンパ球がリンパ節の中で腫瘍となります。 悪性リンパ腫は首や脇、足の付け根など、リンパ節が多く集まっている部位にしこり(以下、腫瘤と記載)を形成する特徴があります。 一般的に、しこりに気付いて悪性リンパ腫を発見することが多いです。 悪性リンパ腫の治療は、病気のステージによって一人ひとりに適した内容が選択されます。 この記事では、悪性リンパ腫の特徴や症状、検査、治療法などについて解説します。
【発熱】の気になる症状について教えてください
症状の重症度と、適切なファストドクターの診療サービスをご案内します
目次

悪性リンパ腫とはどんな病気?

悪性リンパ腫は血液のがんの一つで、白血球中のリンパ球が「がん化」し、腫瘤と呼ばれるかたまりを形成したものです。

リンパ球の大半は、脾臓やリンパ節、扁桃腺などのリンパ組織と呼ばれる部分に存在しています。

悪性リンパ腫はリンパ組織に発生することが多いですが、その他の臓器にも発生することがあります。

「悪性リンパ腫とリンパ性白血病との違いは何?」と疑問に思う方が多いと思いますが、ひとことで表すと腫瘍を作るのが悪性リンパ腫、そうでないのが白血病です。

悪性リンパ腫は、腫瘍細胞がリンパ節などのリンパ組織や皮膚などで増殖し腫瘤を形成します。

一方リンパ性白血病では、血液や骨髄の中で増殖した腫瘍細胞が見られるのが特徴です。

悪性リンパ腫の罹患率は、2019年の時点で人口10万人あたり29.0人となっており、男女別に見ると男性が31.4人、女性が26.8人で年々増加傾向にあります。[1]

悪性リンパ腫は頸部などのリンパ節から発生することが多いですが、胃などリンパ節以外の臓器からも発生することがあります。

悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類され、日本人では前者が5〜10%、後者が90%以上を占めています。

(参考 病気がみえる 血液 p173)

悪性リンパ腫の症状は?

悪性リンパ腫は、初期のしこり(腫瘤)の発見から始まり、進行度によって様々な症状が現れます。

悪性リンパ腫は型によって進行度の遅いもの、早いものに分かれるため、早期に発見・診断し治療に繋げることが重要です。

ここでは悪性リンパ腫を発見するまでの道のりや初期症状、B症状、末期症状について解説します。

悪性リンパ腫の発見までの道のりは?

悪性リンパ腫は脇や首、足の付け根などに多く発生します。

痛みはほとんど無いことから、初めは気付きにくいのが特徴です。

悪性リンパ腫には大きく分けて、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類があります。

通常、ホジキンリンパ腫は、1つまたは複数のリンパ節の腫れがみられます。

悪性リンパ腫の初期症状は?

悪性リンパ腫の初期症状は、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節の多いところに痛みを感じない腫瘤ができることです。

悪性リンパ腫は身体の中でも首や脇の下、足の付け根などリンパ節の多い部位に、しこりとして現れます。

ホジキンリンパ腫においては、飲酒後に肥大したリンパ腫が痛む特徴的な症状が見られます。

悪性リンパ腫のしこりは数週間から数ヶ月かけて大きくなり、縮小する事はほとんどありません。

悪性リンパ腫のB症状は?

悪性リンパ腫の中でも、ホジキンリンパ腫における特徴的な症状として、リンパ節の腫脹とB症状と呼ばれる以下のような全身症状が見られます。

症状

詳細

リンパ節の腫れ

痛みがないのが特徴

全身症状(B症状)

発熱

38℃以上で他に原因が認められないもの

盗汗

下着を取り替えるほどの大量の汗

体重減少

半年で10%以上の減少

参考:病気がみえる 血液 p169

B症状は悪性リンパ腫における特徴的な症状であり、注意が必要です。

悪性リンパ腫の末期症状は?

リンパ節が腫大してくると臓器や血管、神経など様々な部分が圧迫され、それに伴う症状も現れます。

悪性リンパ腫による圧迫症状では、上大静脈圧迫による顔・上肢の浮腫や呼吸困難、下大静脈圧迫による下肢の浮腫などが見られます。

悪性リンパ腫の原因は?

なぜ、リンパ球がガン化してしまうのでしょうか。

悪性リンパ腫の原因については詳しく分かってない点が多いのが現状ですが、非ホジキンリンパ腫においては複数の発生要因が考えられています。

非ホジキンリンパ腫の要因を以下の表にまとめています。

ウイルス

成人T細胞性白血病

リンパ腫(HTLV-1)

EBウイルス関連リンパ腫

免疫力の低下

高齢者

関節リウマチ薬

AIDS

慢性的な炎症が背景にある場合

ヘリコバクターピロリ胃炎

関節リウマチは、治療薬であるメトトレキサートを服用している期間に悪性リンパ腫を発症する例があり、MTX関連リンパ増殖性疾患と呼ばれています。

悪性リンパ腫の分類

悪性リンパ腫は細かく分けると数多くの種類があります。

悪性リンパ腫では、WHO分類が病型分類として広く用いられていますが、増殖のスピードによる違いでの悪性度別分類も存在します。

またホジキンリンパ腫においては、治療方針や予後を判断するためのAnnArbor分類による病期分類も使われているのが現状です。

ここでは、悪性リンパ腫のWHO分類、悪性度別の分類について詳しく解説します。

悪性リンパ腫のホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫におけるWHO分類

悪性リンパ腫は、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに分類されます。

さらにWHO(世界保健機関)の指針により、50種類以上に細かく分類されています。

ホジキンリンパ腫のWHO分類

ホジキンリンパ腫は日本人には発症率が低い疾患で、2014年の統計では5.9%の発生頻度となっています。

ホジキンリンパ腫のWHO分類は以下の通りです。

ホジキンリンパ腫

結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫

古典的ホジキンリンパ腫

リンパ球豊富型

結節硬化型

混合細胞型

リンパ球減少型

リンパ球優位型ホジキンリンパ腫と、4種類の古典的ホジキンリンパ腫の計5つに分けられています。

非ホジキンリンパ腫のWHO分類

非ホジキンリンパ腫では、B細胞性とT・NK細胞性の大きく2つに分けられ、そこから更に細かく分類されています。

ここでは数多く存在する非ホジキンリンパ腫のうち、発生頻度の高いものを紹介します。

 

分類

発生頻度

非ホジキンリンパ腫

B細胞腫瘍

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

45.3%

ろ胞性リンパ腫

13.5%

MALTリンパ腫

7.2%

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫

3.2%

マントル細胞リンパ腫

2.0%

Burkittリンパ腫

1.3%

T・NK細胞腫瘍

18.1%

(参考文献 病気がみえる 血液)

この表からわかるように、非ホジキンリンパ腫の中でも、B細胞腫瘍の「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」が全体の45.3%と約半分を占めています。

悪性リンパ腫の進行度・ステージ別の分類

悪性リンパ腫の進行度やステージ別の分類として、ホジキンリンパ腫のステージを判断するAnnArbor分類や、病気の進行度別の分類方法があります。

Ann Arbor分類ではⅠ〜Ⅳ期まで、悪性度別の分類では低・中・高悪性度の3つに分類されているため、これら2つの分類について解説します。

AnnArbor分類

ホジキンリンパ腫では、悪性リンパ腫の治療方針や病気の予後を判断するためにAnn Arbor分類を用いて病気分類を行います。

病気分類(stage)

Ⅰ期

Ⅱ期

Ⅲ期

Ⅳ期

定義

リンパ節腫脹が1つの領域にとどまっているもの

横隔膜を境とし、同じ側にリンパ節腫脹が2領域以上あるもの

横隔膜を挟んで両側でリンパ節腫脹が2領域以上あるもの

リンパ節以外の臓器にびまん性または多発性の病変があるもの。骨髄浸潤があるもの。

AおよびB分類

  • B症状(発熱、寝汗、体重減少)を1つも伴わない場合はA、1つでも伴えばBをつける

  • 非リンパ性臓器に限局病変がある場合はEをつける

  • 腫瘍径が10cm以上や胸郭の1/3以上を占める巨大腫瘍があればXをつける

    (例:右頸部リンパ節と縦隔リンパ節に病変あり+39度の発熱なら stageⅡB)

Ann Arbor分類における病期を決定するために、診察や胸部X線、CT、MRI、FDG-PET、Gaシンチグラフィなどの画像診断や骨髄穿刺・生検などで病変の広がり具合を調べます。

悪性度別の分類

悪性リンパ腫は細かく分類すると多くの種類があり、がん組織の違いによって進行スピードも異なります。

非ホジキンリンパ腫における悪性度別のがん組織型、進行スピードの分類は以下の通りです。

 

低悪性度

中悪性度

高悪性度

組織型

【B細胞】慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫

リンパ形質細胞性リンパ腫

脾辺縁帯リンパ腫

粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)

節性辺縁帯リンパ腫

濾胞性リンパ腫

マントル細胞リンパ腫

【T細胞】

T細胞大型顆粒リンパ球性白血病

成人T細胞白血病/リンパ腫(くすぶり型,慢性型の一部)

菌状息肉症/セザリー症候群

原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫

【B細胞】

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

【T細胞】

末梢性T細胞リンパ腫・非特定型

腸症関連T細胞リンパ腫

未分化大細胞リンパ腫

肝脾T細胞リンパ腫

成人T細胞白血病/リンパ腫(急性型,リンパ腫型,慢性型の一部)

節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型

血管免疫芽球性T細胞リンパ腫

【B細胞】

バーキットリンパ腫/白血病

【T細胞】

急速進行性NK細胞白血病

進行スピード

年単位で進行

週〜月単位で進行

日〜週単位で進行

表中には代表的な悪性リンパ腫を取り上げています。

低悪性度で腫瘍が少ない場合は経過観察も可能です。

中悪性度では、悪性リンパ腫であると診断された時点で治療を開始します。

高悪性度の悪性リンパ腫では、入院が必要で強力な治療が必要です。

この分類を活用し、どの種類の悪性リンパ腫なのか診断できると、症状の進行スピードも考慮して治療を進めていきます。

悪性リンパ腫の検査と診断はどんなもの?

リンパ節の腫れの原因には良性と悪性、2つのパターンがあります。

ヒトの身体は、風邪や感染症、体内に炎症が起きている場合など病原菌と戦っている時にリンパ節が腫れることがあり、この場合は良性です。

痛みを伴わないリンパ節の腫れや発熱、体重減少、寝汗などの症状がある場合は悪性リンパ腫の可能性があるため検査が必要となります。

悪性リンパ腫の検査の検査は主に以下の通りです。

問診

悪性リンパ腫の問診では以下の項目を確認します。

  • 既往歴(これまでの病歴)
  • 治療中の病気
  • 初発症状や症状の出現時期(どのような症状が出て気付いたのか)
  • 全身症状の有無(発熱や盗汗、体重減少など)
  • 出生地(必要時)

これに加えて、身長や体重、体温、血圧、脈拍、その他に症状がないか医師が診察します。[3]

血液検査

血液検査では、白血球、赤血球、血小板などの数値や、肝臓や腎臓などの数値、ウイルス感染の有無を調べます。

また、血清LDH(乳酸脱水素酵素)や、sIL2R(可溶性インターロイキン2受容体)と呼ばれる数値も悪性リンパ腫になると上昇しやすいことから検査の対象です。[4]

病理組織検査

悪性リンパ腫の確定診断には病理組織検査が必要です。

病理組織検査では腫れているリンパ節の一部を手術や生検で取り出し、そのリンパ節がどのような種類の腫瘍なのか顕微鏡で観察し、診断につなげます。

悪性リンパ腫にはたくさんの種類があるため、生検で検体を取り出すことにより、しこりの正体が悪性リンパ腫なのか、悪性リンパ腫のどの種類に分類されるのかなどを検査します。

手術と聞くと怖いかもしれませんが、場合によっては皮膚から専用の針で生検が可能です。

画像診断

悪性リンパ腫では画像診断を活用して、体の中のどの部分にどのくらいの病変があるのかを確かめます。

胸部X線検査

胸のリンパ節の腫れや肺の病変の有無

腹部超音波検査

エコーにてお腹の中のリンパ節の腫れや肝臓、腎臓などの異常

CT検査

身体の輪切り画像で病変の有無や位置などを確認

PET検査

放射線を含む薬剤を体に投与して、専用のカメラを通して全身の病変の有無を確認
ステージの診断に役立つ

MRI検査

放射線ではなく、磁気を発生させることで身体の様々な方向からの断面で表示

表にあるように悪性リンパ腫の画像検査には5種類あり、全身への広がりの程度や腫瘤の大きさ、位置などを調べます。

骨髄穿刺、骨髄生検

骨髄生検では、病変が骨髄まで及んでいないか検査するために、腸骨と呼ばれる腰の付け根にある骨から骨髄液や骨髄の組織を取り出します。[5]

また、治療による合併症予防のため、心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常の有無、糖尿病の有無、肝炎ウイルス感染の有無など全身の健康状態を確認します。

この章で解説した様々な検査を行った上で、悪性リンパ腫のどの病型なのか、どのステージにいるのか診断し適切な治療に繋げているのです。

悪性リンパ腫の治療は?

悪性リンパ腫では、適切な病理診断や病期分類、悪性度、全身状態を確認したうえで、一人ひとりに適した治療方針を検討します。

悪性リンパ腫の治療において、診断のために手術を行うことはありますが、治療では手術を行いません。

初回治療は通院で薬物治療(抗がん剤を用いた化学療法)を行います。

悪性リンパ腫では、抗がん剤や分子標的治療薬を組み合わせて投与する多剤併用療法が治療の中心です。

また、薬物療法や放射線治療が難しい場合には、造血幹細胞移植を行う場合もあります。

治療法について、一つずつ解説していきます。

薬物療法(抗がん剤による化学療法)

悪性リンパ腫の薬物治療では、抗がん剤、分子標的薬を組み合わせた多剤併用療法を行います。

初回治療は外来通院で行うことがほとんどです。

悪性リンパ腫が再発した場合、初回治療と異なる組み合わせの抗がん剤治療を行います。

ここでは、非ホジキンリンパ腫とホジキンリンパ腫に分けて治療法を解説します。

非ホジキンリンパ腫の薬物療法

非ホジキンリンパ腫の治療法は、病型により異なりますが基本的には多剤併用化学療法と放射線療法で行います。

  • CHOP療法3種類の抗がん剤

C:シクロフォスファミド(Cyclohosphamide)
H:ドキソルビシン(Hydroxydaunorubicin,アリドアマイシンの別名)
O:ビンクリスチン(Oncovin,vincristineの商品名)

P:プレドニゾロン(Prednisolone,副腎皮質ステロイド)
上記薬の併用療法です。

  • R-CHOP療法

R-CHOP療法とは、CHOP療法にリツキシマブを併用する治療法です。
リツキシマブとはB細胞腫瘍に対して効果のある分子標的治療薬で、B細胞腫瘍に対して良い成績をあげています。

  • Pola-R-CHP療法

Pola-R-CHP療法は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に効果があるポライビー(ポラツズマブベドチン)と、リツキシマブ、ドキソルビシン、プレドニゾロンを併用する治療法です。

  • BR療法

BR療法はベンダムスチンと呼ばれる抗がん剤に、リツキシマブを併用する治療法です。再発した際や他の抗がん剤が効かない場合に使用されることがあります。

ホジキンリンパ腫の薬物療法

ホジキンリンパ腫の治療は化学療法と放射線治療が主体となります。

治療内容は、ホジキンリンパ腫のステージや検査結果などから決定されます。

  • ABVD療法
    4種類の抗がん剤を組み合わせる療法です。
    A:アドリアマイシン(adriamycin)
    B:ブレオマイシン(bleomycin)
    V:ビンプラスチン(vinblastine)
    D:ダカルバジン(dacarbazine)

薬物療法は上記の通りですが、悪性リンパ腫の治療は分類や病期(ステージ)、患者さんの希望など様々な要因を考慮して決定されます。

放射線治療

悪性リンパ腫がゆっくりと進行するタイプであることや、病変が身体の中の狭い範囲に存在している場合は、放射線治療のみで治療が可能な場合もあります。

放射線治療では以下のような目的があります。

  • 悪性リンパ腫の治療

  • 一時的に症状を和らげ患者さんの苦痛を緩和

  • 造血幹細胞移植前の放射線治療

放射線治療では、X線でリンパ腫細胞を破壊することで病巣を小さくします。

週に4〜5日、1日1回の照射を3〜5週間続けます。

放射線治療を行うと、治療を行っている部位によって吐き気や食欲低下、疲労感などの症状が出たり、照射部位の皮膚が赤くなってしまうなど様々な副作用(有害反応)が起こります。

造血幹細胞移植

化学療法や放射線治療が難しいと判断された場合は、造血幹細胞移植を行うこともあります。

造血幹細胞移植では移植を行う前に患者に大量の抗がん剤を投与したり、全身への放射線照射をしたり、強力な移植前の処置を行います。

この治療によって骨髄機能は低下し、血球は自分の力で回復できません。

そのため、移植前処置のあとに造血幹細胞移植を行い、患者の体の中にある悪性の腫瘍を死滅させます。

その代わり、正常な造血幹細胞を移植し、悪性リンパ腫の寛解を目指すのです。

寛解(かんかい):病気が完全に治ったという意味ではなく、見かけ上は症状や異常がなくなったこと

造血幹細胞移植では、健常な働きをする造血幹細胞をどこから持ってくるかによって、自家移植と同種移植に分かれます。

造血幹細胞移植

自家移植

寛解期にある患者さん本人の造血幹細胞を採取し、冷凍保存しておいたものを患者さんの身体に戻す治療法

同種移植

提供者(ドナー)から採取した造血幹細胞を患者さんに移植する治療法

悪性リンパ腫で自家移植を行う前には、大量化学療法と呼ばれる強力な抗がん剤治療を行います。

悪性リンパ腫の生存率や予後は?気になる余命をステージ別に解説

悪性リンパ腫の中でも、日本人の約9割が罹患している非ホジキンリンパ腫の平均5年生存率は68.3%です。

また、日本人の約1割が罹患するホジキンリンパ腫では5年生存率が76.0%となっています

この章では悪性リンパ腫の年代別、ステージ別の生存率について解説します。

悪性リンパ腫の余命は?年代別の生存率について調査!

悪性リンパ腫の年代別生存率については国全体の統計は無いため、参考に大阪国際がんセンターの統計情報を引用して解説します。

悪性リンパ腫の10代ごとの生存率の情報はありませんが、大阪国際がんセンターが集計した生存率は以下の通りです。

悪性リンパ腫の生存率は?

悪性リンパ腫の生存率について調査しました。

表には、大阪国際がんセンターの調査結果をまとめています。

 

15-64歳

65-74歳

75-84歳

男性

63.4%

41.7%

29.5%

女性

73.0%

55.7%

35.5%

引用 大阪国際がんセンター

この調査では、15〜64歳、65〜74歳、75〜84歳の3つの階層で悪性リンパ腫の生存率が集計されていました。

この表より、悪性リンパ腫の生存率は男女ともに若年層で高い傾向であることがわかります。

悪性リンパ腫には先に述べているように様々な分類があり、それぞれの型やステージによって症状や予後が異なります。

悪性リンパ腫の生存率は患者さんの健康状態やステージ、治療状況などによって一人ひとり異なるので、こちらの表はあくまで参考程度にご覧ください。

悪性リンパ腫のステージ別生存率は?

悪性リンパ腫全体の5年相対生存率は、2009年から2011年にかけての調査で67.5 %となっています。

男女別にみると男性が66.4 %、女性68.6 %で女性の方が2.2%高いです。

がん情報サービス

また、悪性リンパ腫のステージ別生存率を以下の表にまとめているので参考にしてください。

 

ステージ

5年生存率

ホジキンリンパ腫

Ⅰ期

91.4%

Ⅱ期

84.6%

Ⅲ期

65.3%

Ⅳ期

44.7%

非ホジキンリンパ腫

Ⅰ期

86.7%

Ⅱ期

74.3%

Ⅲ期

64.0%

Ⅳ期

54.6%

 

引用 がん治療.com

悪性リンパ腫は治る病気なの?

悪性リンパ腫に罹患した患者は、年間で10万人に29.0人(2019年)の割合で報告されています。

悪性リンパ腫は、正確な診断に基づき適切な治療を行うと、寛解する可能性のある病気です。

しかし、悪性リンパ腫は再発する可能性もあり、多くは2年以内に発見されています。

悪性リンパ腫の再発は8割以上が症状の出現により発見されているため、治療終了後も定期的に通院して経過観察を行うことが重要です。

悪性リンパ腫は治療しないとどうなるの?

悪性リンパ腫は先述の通り、正確な診断に基づいて適切な治療を行うと寛解する可能性のある病気です。

しかし、悪性リンパ腫は再発する可能性もあり、8割以上が症状の出現により発見されています。

悪性リンパ腫の再発を早期に発見するために、定期的に通院して経過観察をすることが重要です。

Q&A

悪性リンパ腫のよくある質問に答えます。

悪性リンパ腫の原因はカビですか?

悪性リンパ腫の原因はカビとは言えません。

悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫では、発生要因としてウイルスや化学療法、放射線療法、免疫不全状態などが挙げられます。

一方、ホジキンリンパ腫の原因は不明です。

血液やリンパのがんは、がんの症状や薬物療法の作用により、免疫のある健康なヒトでは感染しないような細菌や真菌(カビ)、ウイルスなどに感染しやすくなってしまいます。

こまめに手洗いをし、感染症にかかっている人や場所に近づかないなどの感染対策が必要です。

まとめ

悪性リンパ腫は、血液中に存在する白血球の中でもリンパ球が「がん化」する病気です。

はじめはしこりが出来ても、痛みがないので気付きにくいのが特徴です。

しかし、病気が進行するにつれB症状と呼ばれる発熱や体重減少、下着を取り替えるほどの大量の汗をかくといった症状があらわれます。

悪性リンパ腫は病型によって、症状の進行がゆるやかなものから急速に進行するものまで様々です。

悪性リンパ腫の発見を遅らせないために、少しでも気になる症状があればすぐに受診し検査をしましょう。

【発熱】の気になる症状について教えてください
症状の重症度と、適切なファストドクターの診療サービスをご案内します
FastDoctor
ドクターの往診・オンライン診療アプリ
往診もオンライン診療も
アプリから便利に相談
App Storeからダウンロード
Google Playで手に入れよう
TOP医療コラム悪性リンパ腫の特徴や症状、治療法は?分類や予後まで解説!