髄膜炎とは?どんな症状がある?特徴や原因・治療法についても解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/06/24
「髄膜炎とはどんな病気なの?」 「髄膜炎になるとどのような症状があらわれる?」 一度は「髄膜炎」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、実際にどのような病気なのか疑問ですよね。 髄膜炎(ずいまくえん)とは、脳にある硬膜、クモ膜、軟膜で構成される髄膜のうち「クモ膜下腔」に細菌やウイルスが侵入する事で炎症がおこる病気です。 日本では年間約1,500人が細菌性髄膜炎を発症しているとの調査結果があります。[1] 髄膜炎は緊急性が高く、素早く治療に繋げることが重要なため、原因となった菌(以後、起炎菌と記載)が分かる前から治療を開始します。 髄膜炎の原因となるウイルスや菌は、新生児や小児、大人など患者の年齢によっても異なり、ワクチンなどで予防することが大切です。 ここでは、髄膜炎の特徴や症状、分類、治療法などについて詳しく解説しています。 この記事を読むと髄膜炎に関する疑問が解決できますので、ぜひ最後までお読みください。
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目次

髄膜炎の症状は?

髄膜炎は風邪と間違えられやすいですが、種類によっては急速に症状が悪化します。

命の危険もある怖い病気です。

ここで解説している髄膜炎の症状を頭に入れておくと、いざというときに「髄膜炎かも?」と疑うことができます。

ここでは髄膜炎の典型的な症状や初期症状、項部硬直、大人と子供の場合の違いなどについて解説します。

髄膜炎の典型的な症状

髄膜炎を発症すると、「頭蓋内圧亢進症状」や「髄膜刺激症状」などの症状がみられます。

頭蓋内圧亢進とは、髄膜が炎症を起こし脳の中の圧が高くなる状態です。

髄膜炎による頭蓋内圧亢進症状は以下の3つです。

  • 頭痛

  • 悪心

  • 嘔吐

これらの自覚症状に加え、脳が感染することで起こる「炎症」や、出血による「刺激」によって以下の髄膜刺激症状がみられます。

検査

検査方法と異常がある場合の所見

項部硬直

仰向けで頭を前に傾けたときに抵抗や痛みがある場合は陽性と判断

ケルニッヒ徴候

仰向けで足を持ち上げると、抵抗があるため膝を135°以上伸ばせない

ブルジンスキー徴候

仰向けで頭を前方に曲げると、股関節や膝の関節が自動的に曲がる

neck flexion test

直立した状態で頭を前に傾けると、抵抗や痛みがある。

下あごを胸に付けられない

jolt accentuation

頭を横に水平に振ると頭痛がひどくなる

医療情報科学研究所 岡庭豊 メディックメディア 病気がみえる vol.7 脳・神経 2015年 p353を参考に作成

炎症により刺激されている髄膜に対し負荷を加えると、身体が痛みを防御する反応として、髄膜炎では上記の表のような症状がみられます。

髄膜炎の初期症状

髄膜炎の初期症状としては以下のような症状が挙げられます。

  • 頭痛

  • 発熱

  • 嘔吐

はじめはただの風邪と勘違いしてしまうことがあるため、診察では頭痛の有無や項部硬直(首が前に曲がるか、顎が胸につくか)などの症状を確認します。

症状が進むと、頭蓋内圧亢進や脳浮腫による意識障害があらわれます。

脳浮腫は、脳組織に水分が過剰に溜まることで脳が膨張した状態です。[2]

項部硬直については次の章で詳しく解説します。

髄膜炎の首の硬直とはどんなもの?なぜ起こるの?

髄膜炎の特徴的な症状として、項部硬直(首の硬直)が挙げられます。

「項部」とは、うなじのことです。

髄膜炎では、髄膜や首の神経などに浮腫(むくみ)が生じ、痛みを感じやすくなります。

この状態で首を前に倒すと、患者の身体は痛みを防御するために筋肉が緊張するため、抵抗が生まれるのです。[3]

髄膜炎の症状|大人の場合

髄膜炎の大人の症状は、これまで解説してきた通りです。

頭痛や発熱、吐き気、嘔吐に加えて髄膜刺激症状などがみられます。

はじめは風邪と間違われやすいので注意が必要です。

髄膜炎の症状|子供の場合(新生児から小児)

小児の場合、髄膜炎の症状は他の病気と見分けることが難しく、小さい赤ちゃんほど症状が分かりにくい場合が多いです。

子供は大人のように上手く身体の状態を伝えることができません。

気になる症状やいつもと違う様子が見られたら、注意してよく観察しましょう。

以下の3つの徴候は、大人の髄膜炎の症状と同じです。

  • 発熱

  • 頭痛

  • 吐き気、嘔吐

また小児の場合、髄膜炎の症状として特徴的な「項部硬直」では、以下のような症状がみられます。

  • 首を動かすのを嫌がる

  • 首が硬くて曲げられない

  • 下を向かせると痛がる

新生児や小児では、髄膜刺激症状が必ずしもハッキリとあらわれるとは限りません。

このことから、上記の徴候に加えて以下の症状も確認しましょう。

  • 大泉門の膨隆
    (大泉門が閉じていない1歳半までの小児では、脳圧が高くなることで大泉門が膨らむ場合がある。)
  • 易刺激性
  • けいれん
  •  むずかる(ぐずる)
  •  ご飯を食べない
  •  哺乳力の低下
  •  ぐったりしている
  • 意識障害、意識がない

髄膜炎は発熱やけいれんを起こすため、はじめは熱性けいれんと間違えられる場合もあります。

その場合は、髄膜炎の特徴的な症状がみられるかどうかを確認しましょう。

髄膜炎にはどのような分類がある?

髄膜炎は大まかに以下のように分類されます。

原因

経過

分類

感染性

急性

・細菌性髄膜炎

・ウイルス性髄膜炎

亜急性~慢性

(2週間以上を

亜急性という)

・結核性髄膜炎

・真菌性髄膜炎

非感染性

亜急性~慢性

・がん性髄膜炎

・膠原病性髄膜炎

・薬剤性髄膜炎

参考:医療情報科学研究所 メディックメディア 病気がみえる vol.7 脳・神経 2015年7月 p353

髄膜炎は感染性のものと非感染性のものに分けられ、原因によって症状の進行スピードも異なります。

この中でも細菌性髄膜炎は緊急性が高く、早期の治療が必要です。

ここでは表中の細菌性髄膜炎や結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎、無菌性髄膜炎について詳しく解説します。

細菌性髄膜炎(急性化膿性髄膜炎)

細菌性髄膜炎は、別名「急性化膿性髄膜炎」とも呼ばれ、名前の通り細菌が原因となって起こります。

細菌性髄膜炎は1週間程度で急激に症状があらわれます。

放置すると命を落とす可能性が高く、治療しても死亡率が10~30%と怖い病気です。

このことから、細菌性髄膜炎は一刻も早く治療を開始するのが重要です。

細菌性髄膜炎は、患者の年齢によって原因となる菌が異なります。

詳しくは後述の髄膜炎の原因についての章で解説します。

結核性髄膜炎

結核性髄膜炎は結核菌が原因となって起こる病気で、1~6歳の幼児や成人などに多く発症します。

2~4週間の経過で、発熱や頭痛、嘔吐、意識障害などが出現します。

結核性髄膜炎は細菌性髄膜炎よりも遅く進行しますが、未治療の場合は脳底部に炎症が起きます。

水頭症や脳神経麻痺などをきたし、最悪の場合は命を落としてしまう怖い病気です。

造影CTやMRIの検査で、脳底部の異常や水頭症などの所見が認められると結核性髄膜炎を疑います。

真菌性髄膜炎

真菌性髄膜炎とは、クリプトコックスやカンジダ、アスペルギルス、ムーコルなどの真菌が原因となって起こる病気です。

抗菌薬の濫用、副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬使用により近年増加傾向にあります。

真菌性髄膜炎は2~4週間の亜急性の経過をたどり、発熱や頭痛、嘔吐、意識障害などに加えて項部硬直やケルニッヒ兆候もみられます。

真菌性髄膜炎の起炎菌と感染経路、主な症状、特徴について以下の表にまとめました。

クリプトコックス

(クリプトコッカス)

カンジダ

アスペルギルス

ムーコル

感染経路

鳥類、特にハトなどの排泄物に含まれるクリプトコックスが浮遊している空気を吸い込むことで感染し、血液から髄膜まで侵入する

・重度のやけどや血管の中に留置されたカテーテルなどから感染し、細菌が血管内に侵入する

・アスペルギルスは副鼻腔真菌炎の起炎菌で最も多い真菌(カビ)[4]

・副鼻腔などから血液を通して感染したり、直接髄膜まで感染が及んだりする

・口腔内や副鼻腔から体の中に入り、眼窩(頭蓋骨の中で眼球が埋まっている丸い部分)や動脈に菌が侵入する。

これにより血栓が作られ壊死をおこす。

主な症状

・髄膜刺激症状

・脳局所症状

・発熱

・髄膜刺激症状

・脳局所症状

・脳梗塞

・脳出血

・脳膿瘍

・眼球突出

・眼筋麻痺

特徴

・真菌性髄膜炎の起炎菌として最も頻度が高い

・髄液所見は結核性髄膜炎と似ている

何らかの基礎疾患がある患者に神経症状があらわれることで、原因がカンジダによる真菌性髄膜炎ではないかと疑う

・診断はCTやMRIで、副鼻腔の病変の有無を参考にする。

確定診断の際に組織診断や培養を行う

・糖尿病やAIDSなどの免疫力が低下した患者に発症する

表中の起炎菌では、クリプトコックスが最も頻度が高くなっています。

ハトなどの鳥類の排泄物には注意しましょう。

無菌性髄膜炎

無菌性髄膜炎は、髄膜炎の症状があるにも関わらず、髄液検査では何も検出されない場合の診断名です。

無菌性髄膜炎は小児に多く、原因の大半はウイルスです。

夏場に小児の感染症として流行するエンテロウイルスが、無菌性髄膜炎の原因として多くを占めています。

そのため、幼児期や学童期の小児が、エンテロウイルスにより無菌性髄膜炎を発症する場合が多いです。

しかし、無菌性髄膜炎の原因はウイルスだけでなく膠原病や薬剤、造影剤、その他の病原体によって起こるものもあります。

細菌性髄膜炎よりも無菌性髄膜炎の症状の方が軽く、予後は良好です。

無菌性髄膜炎では、1週間以内に急激に症状があらわれます。

発熱や頭痛、嘔吐、羞明(明るい所をまぶしがる)などの症状があり、軽度の項部硬直がみられます。[5]

髄膜炎の原因には何がある?

髄膜炎の原因となる菌やウイルスなどは、患者の年齢によって異なります。

細菌性髄膜炎の章でも少し触れましたが、ここでは髄膜炎の原因について詳しく解説します。

年齢と細菌性髄膜炎の起炎菌

新生児

(~4か月)

乳幼児

(4か月~6歳)

小児~成人

(6歳~50歳)

壮年~老年

(50歳~)

起炎菌

(順位)

➀B群レンサ球菌

➁大腸菌

➂インフルエンザ菌

➀インフルエンザ菌

➁肺炎球菌

➂髄膜炎菌

➀肺炎球菌

➁インフルエンザ菌

➂髄膜炎菌

➀肺炎球菌

➁黄色ブドウ球菌

➂大腸菌

参考:医療情報科学研究所 メディックメディア 病気がみえる vol.7 脳・神経 2015年7月 p354

表のように、細菌性髄膜炎の起炎菌は年齢により異なります。

この章では年代ごとに、髄膜炎の原因や起炎菌について詳しく解説します。

新生児

新生児の細菌性髄膜炎においては以下の起炎菌が挙げられます。

  • B群レンサ球菌

  • 大腸菌( Escherichia coli)

  • インフルエンザ菌

  • リステリア菌(Listeria monocytogenes)

新生児の場合は、分娩時の器具による切り傷や刺し傷などから、原因となる菌が体内に侵入します。

血液の中で細菌が増えて敗血症となり、細菌性髄膜炎を発症する場合があるのです。

B群レンサ球菌は人間の腸や膣に存在しており、分娩の際に母親から新生児へと感染する可能性があります。

敗血症とは:感染症により体内で細菌やウイルスが増殖し、炎症が全身に広がることで様々な臓器障害がおき正常な働きができなくなる状態。

敗血症はすぐに治療しないと命を落とすこともある。

新生児が髄膜炎を発症すると、大泉門が硬くなったり膨らんだりします。

また、けいれん発作や異常な眠気などの症状もあらわれます。[6]

乳幼児

乳幼児は上手に身体の変化を訴えることが出来ない場合もあるため、はじめは症状が分かりにくいことがあります。

髄膜炎の原因は乳幼児の場合、のどや肺など呼吸器系から体内に侵入した菌やウイルスが、血液や臓器などで増殖してウイルス血症を起こし、髄膜へ感染します。

乳幼児の髄膜炎の起炎菌として多いのは髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などです。[7]

また、小児の間で感染が流行しやすい以下のウイルスも髄膜炎を起こす可能性があります。

ウイルス名

詳細

エンテロ

ウイルス類

エンテロウイルス

夏風邪や手足口病、ヘルパンギーナなどを起こすウイルスで、エンテロウイルス類がウイルス性髄膜炎の約80%を占める。

エコーウイルス

コクサッキーウイルス

ムンプスウイルス

おたふくかぜの原因ウイルスで、ウイルス性髄膜炎の原因として約10%と2番目に多い。

ヘルペスウイルス

皮膚や唇、性器などに水疱を作る非常に感染力の強いウイルス。

発熱や嘔吐、頭痛などに加え以下の症状がある場合は髄膜炎を発症している可能性があるため注意深く観察しましょう。

  • 仰向けで寝れない

  • 後頭部や首のあたりを触ると嫌がる

このような症状が見られたら髄膜炎を疑います。

小児~成人

髄膜炎の原因として6歳以上の小児から成人にかけて多いのは、はじめの表にある通りです。

  • 肺炎球菌

  • インフルエンザ

  • 髄炎球菌

これらの菌やウイルスなどに感染し髄膜炎を発症する場合があります。

壮年~老年

髄膜炎の原因として50歳以上の成人や高齢者にかけて多い細菌の例は、以下の通りです。

  • 肺炎球菌

  • 黄色ブドウ球菌

  • 大腸菌

髄膜炎の典型的症状として頭痛や発熱、意識障害があります。

しかし高齢者の場合は典型的な髄膜炎の症状があらわれづらく、なかなか診断がなされない場合もあるため注意が必要です。[8]

髄膜炎の原因はストレスと関係ある?

髄膜炎は、ストレスのみが原因となって発症することは考えにくいでしょう。

この記事で解説している通り、髄膜炎は細菌やウイルスなどが髄液へ侵入することで起こる病気だからです。

ヒトはストレスを感じると、ストレスを解消するために防御反応が働きます。

上手くストレスに対処できなかった場合、以下のような身体的および精神的症状としてあらわれる場合があります。[9]

  • 心身症としての消化性潰瘍

  • 高血圧

  • 気管支喘息

  • 不安

  • 抑うつ

  • 錯乱状

しかし、ストレス自体には菌やウイルスと関連がないため、髄膜炎とストレスの関係性は低いと考えられます。

髄膜炎の診断|血液検査で分かるの?

髄膜炎の診断では全身の状態を確認し、腰椎穿刺による髄液検査や画像診断を行い診断に繋げます。

ここでは、髄膜炎の髄液検査や画像検査の詳細に加えて、髄膜炎が血液検査でも分かるのかどうか解説します。

髄液検査

背中から針を刺して髄液を採取し、病原体を培養する検査です。

ベッドに横向きに寝て、針を刺す部分を突き出すように背中を丸めます。

背中から刺した空洞の針から髄液を採取し、髄液のウイルスDNA検査や細菌培養を行うことで髄膜炎の原因を特定します。

細菌性髄膜炎では、好中球(細菌を貪食し殺菌する)が増加したり、40~41℃の発熱がみられます。

一方、ウイルス性や結核性、真菌性髄膜炎では、リンパ球の細胞数が増加するのが特徴です。

画像検査

髄膜炎の画像検査では、頭部CT検査や脳MRI検査を行います。

画像検査を行うことで、脳内でどのように炎症が起こっているのかなどを確認できます。

血液検査でわかる?

髄膜炎かどうかの診断は、血液検査だけでは分かりません。

血液検査では患者の全身の状態を確認することはできますが、髄膜炎の診断には髄液検査が必要です。

髄膜炎の治療内容は?

髄膜炎の治療は、起炎菌やウイルスに応じた抗菌薬や抗ウイルス薬の大量投与を行います。

また、髄膜炎により生じた炎症や浮腫を軽減するためのステロイドを投与する場合もあります。

原因となる菌が分かるまで数日かかることもあるため、起炎菌が分かる前からすぐに治療を開始するのが急性の髄膜炎の治療法です。

髄膜炎の分類

緊急度や治療方針

治療内容

細菌性髄膜炎(急性化膿性髄膜炎)

早期治療開始が必要(起炎菌の同定を待たず、すぐに治療開始)

・抗菌薬投与(起炎菌が分かっている場合はそれに応じた抗菌薬を投与/検査結果が分からない場合は患者の年齢に応じた抗菌薬を投与し、結果が分かり次第その菌に適した抗菌薬を投与)

・抗菌薬投与の直前または同時に副腎皮質ステロイドを併用

結核性髄膜炎

早期治療が必要

・抗結核薬(INH、RFP、PZA、EB)の併用

・脳浮腫が強くなるとグリセロール点滴

・重症度に関係なく、HIV感染者を除く全ての症例で副腎皮質ステロイドを投与

真菌性髄膜炎

すぐに治療

・アムホテリシンB

静注とフルシトシン(アンコチル)経口の併用療法が基本

無菌性髄膜炎

対症療法

・安静臥床:通常2~3週間で自然治癒・抗脳浮腫薬:髄外内圧亢進が認められる場合は投与

・アシクロビル:単純ヘルペスウイルス(HSV)や水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因の場合に使用

髄膜炎は治る病気?

髄膜炎は治ることもある病気ですが、治療開始までの時間や経過によっては後遺症が残ったり命を落としたりする危険もあります。

ウイルス性より細菌性の方が致死率が高くなっており、すぐに治療に繋げることが重要です。

髄膜炎の入院期間はどれくらい?

髄膜炎は原因となる菌やウイルスに種類があり、症状や治療内容も多岐にわたります。

また、患者の年齢や背景、既往歴などにも左右されるため個人差があり、一概に入院期間が何日とは断言できません。

髄膜炎の後遺症やリハビリについて

髄膜炎を発症すると、後遺症を発症する可能性もゼロではありません。

その後の日常生活に支障が出るような後遺症も残ってしまう場合があります。

ここでは髄膜炎の後遺症とリハビリについて解説します。

細菌性髄膜炎の後遺症は?

ウイルス性(無菌性)髄膜炎では後遺症はほとんど見られません。

しかし細菌性髄膜炎の致死率は20%以上で、医療が進歩した現代でも高くなっています。

また結核菌や真菌による髄膜炎では、脳底部が障害されることで視力障害や難聴などの後遺症が生じることがあります。

  • 高齢者

  • 入院時の意識障害

  • 髄液細胞数低値

  • 起炎菌として肺炎球菌

例えば、以上のような場合に予後が悪くなるとされています。

細菌性髄膜炎のガイドラインによると、“後遺症の発生率は 31%と高く,内訳は 難聴 20.9%,痙攣 6.5%,水頭症 6.8%,痙性麻痺 8.7%,脳神経麻痺 12.2%,視覚障害 2.4%で あった”との報告がありました。

細菌性髄膜炎の生存者の約30%には後遺症が残ることからも、早期発見と早期治療に繋げることが重要です。[10]

髄膜炎の後遺症が出たらどのようなリハビリをする?

髄膜炎の後遺症は、先ほど説明したように例えば難聴や片麻痺、脳神経症状、認知機能障害などです。

小児の場合、難聴になると1歳半までの場合は人工内耳挿入術を行うこともあります。[11]

仮に麻痺が身体に残ると、思うように身体が動かせなくなり日常生活に支障をきたします。

また、認知機能障害では記憶力や理解力、判断力などが低下するため、元通りの生活を送ることが難しいでしょう。

髄膜炎により後遺症が残った場合は、身体や脳の機能維持などを目的にリハビリを行います。

髄膜炎の予防方法を解説

髄膜炎の一部はワクチンで予防可能です。

乳幼児の細菌性髄膜炎の起炎菌となるインフルエンザ菌b型(Hib)や肺炎球菌に対するワクチンを摂取することで、乳幼児の細菌性髄膜炎を予防できます。

これら2つのワクチンは生後2ヶ月を過ぎれば摂取可能となります。

細菌性髄膜炎により、乳幼児が重篤な状態になるのを防ぐためにもワクチンを摂取しましょう。

髄膜炎菌ワクチンは2歳から55歳の間で1回、筋肉注射で接種できます。

髄膜炎菌は集団生活で感染するリスクが高まるため、学生寮や運動部に入る時、また海外留学で寮に入る場合など事前のワクチン接種が推奨されています。

65歳以上の高齢者においては、重篤な髄膜炎や敗血症、肺炎予防のための肺炎球菌ワクチンの摂取が推奨されています。[12]

Q&A

髄膜炎に関するよくある質問についてお答えします。

髄膜炎の初期症状は?

髄膜炎の初期症状は頭痛や発熱、吐き気、嘔吐などです。

はじめはただの風邪と勘違いされやすいですが、特に細菌性の髄膜炎だと急速に症状が進行することもあります。

症状が進むと項部硬直など特徴的な症状が現れ、すぐに治療を開始する必要があるため注意しましょう。

大人の髄膜炎の原因は?

大人の髄膜炎の原因は、肺炎球菌やインフルエンザ菌、髄膜炎菌などの感染が挙げられます。

髄膜炎になるとどんな感じになる?

髄膜炎になると、細菌やウイルスが髄膜まで侵入し髄膜刺激症状が起こります。

具体的には、頭痛や発熱、悪心、嘔吐に加えて髄膜刺激症状と呼ばれる項部硬直やケルニッヒ兆候、ブルジンスキー徴候などです。

場合によっては命を落としたり、助かっても後遺症が残ったりする場合があります。

大人の髄膜炎の症状は?

髄膜炎の大人の症状は、頭痛や発熱、吐き気、嘔吐から始まり、首を前屈させると痛みがあって曲げられなくなる項部硬直や意識障害などがあらわれます。

髄膜炎はうつるの?

髄膜炎菌は、健康な人ののどや鼻に定着しています。

咳をすることで髄膜炎菌を含んだ飛沫を吸い込んだり、髄膜炎菌を持つ人の鼻や喉から出る分泌物に触れる事で体内に取り込まれます。

体内に侵入した髄膜炎菌が血流に乗り髄膜まで到達してしまうと髄膜炎を引き起こしてしまうのです。[10]

まとめ

髄膜炎にはいくつか種類があり、はじめは風邪だと思っていても急激に症状が悪化することがあります。

気になる症状があれば受診して診てもらうことが大切です。

発熱や頭痛、吐き気、嘔吐に加えて項部硬直(首が硬く前に曲がらない)、けいれん、意識障害などの症状がみられたらすぐに救急車を呼びましょう。

髄膜炎の原因となる菌やウイルスはさまざまで、患者の年齢によっても異なります。

場合によっては後遺症が残ったり、命に関わる重篤な状態まで陥る場合もある怖い病気です。

髄膜炎を発症すると致死率や後遺症が残る可能性があるため、ワクチン接種や手洗いうがいなどで予防しましょう。

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参考文献

[1]日本神経学会|1.細菌性髄膜炎の疫学的現況

[2]東京大学|脳浮腫の発生メカニズムを解明~脳内温度の上昇を介した新たなメカニズムの発見~

[3]日本救急医学会|医学用語解説集|項部硬直

[4]日本神経学会|中枢神経系浸潤を示した侵襲性副鼻腔アスペルギルス症の2例-voriconazoleの効果と血管病変について

[5]NIID 国立感染症研究所|無菌性髄膜炎とは

[6]MSDマニュアル家庭版|23.小児の健康上の問題|新生児の感染症|新生児の細菌性髄膜炎

[7]WHO|髄膜炎

[8]国立研究開発法人 科学技術開発機構|<症例報告>意識消失で発症し、細菌性髄膜炎に続発性血管炎を合併した高齢者の1例

[9]厚生労働省|e-ヘルスネット[情報提供]|ストレス

[10]日本神経学会|2.細菌性髄膜炎の転帰・後遺症

[11]埼玉県立小児医療センター|髄膜炎後の難聴症例に対する臨床的検討‐難聴合併のリスクファクター‐

[12]NIID国立感染症研究所|IASR 高齢者の肺炎球菌ワクチンによる定期接種について

[13]厚生労働省|関西空港検疫所|疾患別解説|髄膜炎菌性髄膜炎

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