2024年9月大流行中「歩く肺炎」マイコプラズマ肺炎に要注意

公開日: 2024/02/01 更新日: 2024/09/06
2024年8月現在、マイコプラズマ肺炎が8年ぶりに大流行しています。 去年8月の感染者数は70人程度でしたが、今年は1000人を超え14倍の報告となっています。 本記事ではマイコプラズマ肺炎の症状や流行の理由、有効な予防策について解説しています。
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マイコプラズマ肺炎の症状

マイコプラズマ肺炎にかかると、いったいどんな症状があらわれるのでしょうか。

その特徴を以下にまとめました。

  • 感染してから2~3週間で症状が出る

  • 発熱・倦怠感・頭痛・のどの痛みなどからはじまる

  • 咳は発症から3~5日後にはじまる

  • コンコンといった乾いた咳が3~4週間続く

  • 場合によっては重症化することも

マイコプラズマ肺炎は、感染してから2〜3週間で症状があらわれます。

37〜38度の発熱・倦怠感・頭痛・のどの痛みなどからはじまり、3〜5日遅れて咳の症状が続きます。

他の感染症と違って鼻水の症状が出ることは少なく、痰が絡まないコンコンという乾いた咳が特徴です。

新型コロナウイルスやインフルエンザとの大きな違いは、長引く頑固な咳。熱が下がった後も咳の症状だけが3〜4週間にわたって続くことがあります。

症状が悪化すると、ゼーゼー・ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)を伴い、呼吸不全を引き起こすことも少なくありません。

症状が軽い場合には薬を飲んで自宅で様子をみますが、重症化すると入院での治療が必要となります。

なお、マイコプラズマに感染してもすべての方が肺炎を引き起こすわけではありません。肺炎を引き起こすのは、感染者の2〜3割といわれています。

軽症であれば軽い風邪のような症状で終わることもありますが、基礎疾患がある方は重症化しやすいため注意が必要です。

関連記事:「マイコプラズマ肺炎は咳だけではない?症状や特徴についてチェック」

関連記事:「マイコプラズマ肺炎の症状は?かぜとの違いを解説 」

マイコプラズマ肺炎が「歩く肺炎」と呼ばれる理由は?

では、どうしてマイコプラズマ肺炎が「歩く肺炎」と呼ばれているのか気になるところですよね。

その理由は、感染に気付かずに出歩いて、多くの方に菌をうつしてしまうケースが非常に多いからです。

マイコプラズマ感染といえば特徴的な症状は「咳」ですが、軽い症状で済む方や自然に治ってしまう方も少なくありません。

新型コロナウイルスで感染者が急激に増加した時も、無症状の感染者が出歩くことによって感染が一気に広がりましたね。

実は、2023年末から起こっているケースも同じような広がり方をしています。そのことから、「歩く肺炎」と呼ばれているのです。

実際、少し咳が出ているくらいでは「ただの風邪かな…」と思って、仕事に出勤してしまったり普段通りに外出してしまったりする方は多いですよね。

それ以外にも、マイコプラズマ肺炎は他の感染症と見分けるのが難しいという点が感染拡大に関係しています。

咳は、普通の風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などでもあらわれる一般的な症状です。

周囲に陽性者がいない限り、初診の段階でマイコプラズマへの感染を疑うのは難しいでしょう。

実際、高熱・倦怠感・咳などで病院を受診しても季節性の感染症が流行っていれば、すぐに「マイコプラズマの検査をしましょう」とはならないのが現状です。

新型コロナウイルスやインフルエンザの検査をして陰性だったら、多くの場合はそのまま家に返されてしまいます。

さらに、マイコプラズマの迅速検査キットは精度が劣るといわれており、確定診断がつきにくいことも診断が難しいといわれる理由のひとつです。[3]

つまり、マイコプラズマ肺炎によって咳が治まらなかったり症状が酷くなったりして再受診しても、陰性となってしまうケースがあるのです。

そのため、マイコプラズマ肺炎は感染に気づかないまま様々な場所へ菌を持ち歩いてしまうリスクが非常に高いといえます。

まるで病原菌自体があちこちへ歩き回っているかのように感染が広がっていくため、「歩く肺炎」と呼ばれるのにも納得できるのではないでしょうか。

関連記事:「マイコプラズマ肺炎は人にうつるの?症状や治療法についても解説 」

日本での流行状況(2024年9月時点)

そこで気になるのは、日本で「歩く肺炎」がどの程度流行しているのかということではないでしょうか。

2024年9月は約1000件の感染報告があり、2023年の8月と比べ14倍の数字となっています。

2024年はマイコプラズマ肺炎が大流行した年として有名な2016年よりも多くの感染者数が報告されており、このまま冬まで増加が続くと考えられます。

「歩く肺炎」マイコプラズマ肺炎にかからないようにするためには?

対策に関しては、インフルエンザや新型コロナウイルスと基本的に変わりはありません。

  • 手洗い・うがい

  • 体調管理

  • マスクの着用

マイコプラズマも新型コロナウイルスやインフルエンザと同様に、菌を体内に入れないことが重要です。

飛沫や接触による感染を防ぐために、手洗い・うがいを行うように心がけましょう。

免疫力があれば軽症で済むことも多い感染症ですので、十分に睡眠をとり、体調管理をしっかりすることも大切です。

そして、もうひとつ意識しておきたいのは「咳エチケット」です。

ご自身が感染しないことはもちろんですが、感染を広げないようにすることも大切です。

もしもご自身がマイコプラズマにかかっていたとしたら、知らず知らずのうちに周りの方にうつしてしまうかもしれません。

マスクを着用したり、体調が悪いと感じるときには外出を控えたり早めに受診したりするようにしましょう。

関連記事:「マイコプラズマ肺炎は咳だけではない?症状や特徴についてチェック」

日本では抗生剤が品薄なので要注意

2023年7月から2024年1月時点に至るまで、日本では抗生剤が品薄状態となっているため注意が必要です。

この状況は、コロナ禍で抗生剤を必要とする感染症にかかる方が大幅に減ったことが背景にあります。

市場に出回る薬の量が少なくなっていたところに感染症が流行し、抗生剤の需要が一気に増えたことにより薬が足りなくなる事態が発生しています。

マイコプラズマに有効なマクロライド系にだけでなく、現在流行している溶連菌感染症に有効なペニシリン系などの抗生剤も手に入りにくい状況です。

抗生剤が処方されて薬局に行ったのに薬がない…という可能性もあります。

スムーズに必要な薬を購入するためにも、処方せんが出たら先に調剤薬局へ在庫の有無を確認するとよいでしょう。

抗生剤が安定して供給されるようになるまでは、しばらく時間がかかりますが、系列店や近くの店舗との調整によって入手できる可能性もあります。[6][7]

まとめ:大流行中のため十分に注意を

「歩く肺炎」ともいわれるマイコプラズマ肺炎。

軽症で済むことも多い感染症とはいえ、感染が拡大しているため手洗い・うがいを徹底し、感染対策を心がけましょう。

また、マイコプラズマは軽症であれば知らず知らずのうちに周囲へ感染を広げてしまうことも考えられます。

ご自身が「歩く肺炎」にかからないことはもちろんですが、感染を広げないように咳エチケットを心がけることも大切です。

体調管理には十分にお気を付けてお過ごしください。

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参考文献

[1]小児の呼吸器疾患の急増について-中国北部

[2]中国で小児を中心に増加が報じられている呼吸器感染症について

[3]マイコプラズマ|名古屋市中村区の内科・小児科|名駅ファミリアクリニック

[4]薬剤耐性(AMR)に関する背景、国際社会の動向及び我が国における現状について(厚生労働省)

[5]マイコプラズマ肺炎の流行状況 | 東京都感染症情報センター

[6]経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼について(厚生労働省)

[7]経口抗菌薬の在庫逼迫に伴う協力依頼

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