不眠症は改善できる?原因や治療方法について解説

公開日: 2024/06/20 更新日: 2024/06/25
「最近眠りが浅くて、日中とても眠い」 「夜中に何度も目覚めてしまって辛い」 「悩みごとが多くて寝付けない」 睡眠に関してこのような悩みをお持ちではないですか? 夜に満足した睡眠が取れずに日常生活にも支障が出ているのなら、不眠症になっているかもしれません。 現在、満足に眠れないという悩みをもつ成人は30〜40%もいると言われています。 そのうちの10%が、3ヶ月以上の間、満足な睡眠が取れずに日中の生活にも支障が出ている「慢性不眠症」の状態です。[1] 多くの人が悩んでいる不眠症は、医師の判断により、オンライン診療でも治療することが可能です。 この記事では、不眠症の原因や治療方法について解説します。 また、自宅からビデオ通話等で気軽に診察が受けられるオンライン診療についても解説します。

不眠症とは?


不眠症とは、満足に眠れない状態が続いて、日中生活に支障が出ている状態です。

原因は、ストレスや精神疾患、眠ることへの緊張・不安感などさまざまで、多くの人が不眠症に悩まされています。

不眠症の特徴

「夜間に不眠の症状が継続してある」ことと「日中の生活でこころや体に不調が生じ、生活の質が低下している」ことの両方が認められると不眠症と診断されます。

不眠の症状には、大きく分けると次の3つのタイプがあります。

人によっては複数のタイプをあわせ持っていることもあるでしょう。

 

不眠症のタイプ症状の特徴
入眠障害寝つきが悪く、眠るのに時間がかかる
中途覚醒眠りが浅く、途中で何度も目が覚める
早朝覚醒起床時間より早く目覚めてしまい、その後眠れない
熟眠障害睡眠時間は取れているが、眠りが浅い


このような不眠症状がしばらく続いてしまうと、満足な睡眠が取れないために次のような症状が出てきます。

  • 日中のだるさ・憂うつ感
  • 日中の集中力低下
  • 食欲の低下
  • 頭痛・めまい

不眠の症状と日常生活の支障が週に3日以上ある状態が3ヶ月以上続くと「慢性不眠症」、3ヶ月未満だと「短期不眠症」と診断されます。[1]

睡眠障害との違い

不眠症とよく間違われる病気に睡眠障害があります。

この2つは厳密には違う言葉で、簡単には「睡眠障害の一つに不眠症がある」と考えると良いでしょう。

 

睡眠障害とは睡眠に関連するあらゆる障害のことです。

眠れない(不眠症)・寝すぎる(過眠症)・睡眠中の行動に異常がある(無呼吸やいびき、足のむずむずなど)といった症状全てを指します。

睡眠障害はそれぞれ症状によって原因や治療方法が異なってくるので、改善させるためには適切な診療科への受診が必要です。

睡眠障害について詳しく知りたい方はこちら

もし、夜しっかりと眠れているにもかかわらず日中に強い眠気を感じる場合は、睡眠時の脳波検査など専門的な検査を受けて薬による治療をすることで劇的に改善する可能性があります。

睡眠障害を専門に治療してもらえる睡眠外来を受診すると良いでしょう。

不眠症状や睡眠中の行動異常で日常生活に支障がでて困っている場合は、まず精神科や心療内科の受診がおすすめです。

不眠症の原因とは?

不眠症の原因は、ストレスや緊張、こころや身体の病気、服用中の薬などさまざまです。

厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針 2014」によると、不眠症は下の表のように原因ごとに分けることもできます。[2]

 

原因別にみた不眠症の種類原因
原発性不眠症病気や薬が原因ではなく「眠れるか心配」といった不安や緊張からくる不眠。不眠症の中で最も多い原因と言われている。
薬原性不眠服用中の薬が原因の不眠。ステロイドの飲み薬やパーキンソン病治療薬のレボドパ、高血圧治療薬のプロプラノノールなどの副作用に不眠がある。
身体疾患における不眠皮膚疾患によるかゆみや腰痛による痛み、膀胱炎による頻尿などが原因で起こる不眠。
精神疾患における不眠うつ病や適応障害などの精神疾患による不眠。うつ病の初期はこころの症状よりも先に不眠の症状が出ることもある。
脳器質性疾患における不眠認知症やパーキンソン病、脳腫瘍などの脳の病気で起こる不眠。


注意してほしい点として、不眠症の原因に睡眠時間の短さはあまり関係がないということです。

十分な睡眠時間は人によって差があり、3〜4時間ほどの睡眠でも問題ない人もいれば、毎日10時間ほど眠らないと生活に支障が出る人もいます。

不眠症の特徴でも解説したように「日中の生活でこころや身体に不調が生じている」かどうかが診断のポイントとなります。[1]

不眠症は改善できる?

不眠症は適切な治療を行えば徐々に改善していきます。

ここでは不眠症の治療方法とオンライン診療でできることについて解説します。

不眠症の治療方法

不眠症の治療方法には睡眠衛生指導と薬物療法の2種類があります。

睡眠衛生指導

睡眠衛生指導は、生活習慣や睡眠するときの環境を整えて眠りにつきやすい状況をつくるために行います。

具体的には医師から次のような指導をされるでしょう。[3]

適度な有酸素運動を行い、寝つきの良さや深い睡眠を促しましょう。

音を減らす・光を減らす・湿度や温度を調整するなどして寝室環境を整えましょう。

規則正しい食生活を心がけましょう。空腹は睡眠の妨げとなるため、睡眠前に炭水化物の軽食をとると良いでしょう。

水分をとりすぎるとトイレの回数が増え不眠の原因となります。

睡眠の質を高めるために、就寝の4時間前からはカフェインの摂取を避けましょう。

睡眠の質を高めるための寝酒は逆効果なので控えましょう。

タバコに含まれるニコチンは神経を興奮させるため、就寝前は控えましょう。

心配ごとや考えごとは翌日の朝考えるようにしましょう。

薬物療法

薬物療法では、不眠のタイプや程度に応じて睡眠薬を服用していきます。

睡眠薬には脳の興奮を抑える薬や体内時計を整える薬、不安や不眠を解消する漢方薬など、非常に多くの種類があります。

また、寝つきが悪い場合には短時間で作用する薬、朝早く目が覚めてしまう場合には効果が長続きする薬、といったように薬を使い分けることが特徴です。

この記事を読んでいる方の中には「睡眠薬は依存するイメージがあるから飲みたくない」という方もいるかもしれません。

実は、睡眠薬の中には依存性がほとんどない薬もあります。

薬の使用で不安なことがある方は診察時に医師に相談してみましょう。

薬の服用が不安な方へ

不眠症でお悩みの方の中には「睡眠薬は怖い」「一度飲んだらやめられない」と不安に感じている方もいるでしょう。不眠症を改善する薬の種類は非常に多く、最近では依存性の心配が全くない薬もあります。また、どの薬も正しく服用していけば、量を減らして自然な形で薬を手放していけます。「薬の服用で心配なことがある」「なるべく薬は使いたくない」といった心配ごとがあれば、診察前の事前問診や診察時に相談してみましょう。

 

オンライン診療でできること


不眠症はオンライン診療でも治療できます。

基本的には、不眠の症状や生活への支障などについてカウンセリングし、睡眠衛生指導を行います。

不眠症の原因にこころの病気が隠れている場合には、不眠症とこころの病気を同時に治療していきます。

このときには、認知行動療法のような精神療法(カウンセリング)も行うことがあります。

 

症状を総合的に判断して、不眠症ではなくいびきや無呼吸などの睡眠障害の可能性が高いとわかった場合には、睡眠外来への受診や対面診療での検査を紹介されることもあるでしょう。

オンライン診療では、睡眠外来や対面診療への紹介状を発行することも可能です。

オンライン診療のメリット・デメリット

不眠症は毎日の生活に影響するだけでなく、放っておくと症状が悪化して改善しにくくなってしまいます。質の良い睡眠をして日中を快適に過ごすためにも、きちんと医療機関で治療していきましょう。

精神科・心療内科のオンライン診療では、不眠症の診察と治療ができます。

ここでは、オンライン診療のメリット・デメリットを解説します。

オンライン診療のメリット

心療内科・精神科のオンライン診療で不眠症の治療をするとき、メリットと感じられるのは次のような特徴でしょう。

  • スマホやパソコンがあれば診察予約・診察・会計までオンラインで完結できる
  • 土日祝や夜間でも受診できる
  • 自宅のようなリラックスした環境で診察してもらえる

ほとんどのオンライン診療では、受診の予約から診断書や会計まで、すべてオンラインで完結します。

スマホアプリやWebサイトから24時間いつでも予約でき、予約の枠が空いていれば当日でも診察可能です。

また、ファストドクターメンタルクリニック(オンライン診療)では、土・日・祝でも受診可能です。

平日昼間は仕事や学校の授業を受けているという方も多いですよね。

毎日忙しくて病院へいく時間がないという方は、オンライン診療を検討してみると良いでしょう。

オンライン診療では、自宅のようなリラックスした環境で受診できることが大きなメリットです。

症状について自分のペースで話すことができますよ。

オンライン診療のデメリット

一方で、心療内科・精神科のオンライン診療では次の点がデメリットと感じるかもしれません。

  • 顔を見せながら落ち着いてビデオ通話できる環境が必要

  • 対面診療を勧められる場合がある

オンライン診療では、患者さんの話す内容に加えて、顔色や表情も見たうえで病状を判断していきます。

そのため、患者さんの顔が見えない状態でのオンライン診療はできないため注意しましょう。

 

また、心療内科・精神科でも、身体の状態を把握するため患者さんの体に触れる「触診(しょくしん)」や、心音や呼吸の音を聴く「聴診(ちょうしん)」など、身体の病気がないか調べるための検査をすることがあります。

オンライン診療ではその場でこのような検査ができないため、必要に応じて対面診療を勧める場合があります。

オンライン診療の流れ

ここでは、ファストドクターのメンタルクリニックを例に、心療内科・精神科のオンライン診療を受ける流れについて解説します。

 

①予約

予約サイトにある「診察予約する」または「予約する」を押して、画面の表示にしたがって必要情報を入力します。入力後に届く仮予約メール到着後、30分以内にURLをクリックすると予約が完了します。

 

②事前問診

予約完了画面に問診ボタンが表示されるので、画面の表示にしたがって保険証やお薬手帳の画像をアップロードしていきましょう。

 

③診察

診察時間の30分前にビデオ通話用URLがメールで届きます。診察時間になったらURLをクリックして入室します。

まずは診療前相談をした後、診察がスタートします。

※診察前相談の結果、オンライン診療を行わない場合は診療費用は発生しません。

 

④お会計

診察の翌日以降、お会計についてのメールが届きます。クレジットカードで支払いをします。

※クレジットカードを持っていない場合は、口座振込での支払いも可能です。相談してみると良いでしょう。

 

当院指定書式の診断書を希望された方にはご診察後3日以内を目安に【PDFファイル形式(メール添付)】にてお送りします。ご希望の場合は事前問診および診察時にその旨をお知らせください。



※当院指定書式以外の診断書を希望される場合には、診察希望日の7日以上前までにinfo_mental@fastdoctor.jpにPDFファイル形式で当該のフォーマットをお送りください。事前相談なく診察当日に依頼いただいても対応できかねますのでご留意ください。

 

※最終的な発行可否は医師の医療的判断によります。書類によっては継続的な診察を通して発行可否を判断するものもございますため、初診時に発行できない場合もございますことをご了承ください。

まとめ

この記事では、不眠症の特徴・原因・治療方法について解説しました。

不眠症は夜に満足に眠れない不眠症状に加えて、日常生活に支障が出たときに診断されます。

生活習慣を整えるといった睡眠衛生指導と薬物療法によって治療していきます。

睡眠を満足にすることは、快適に生活していくためには欠かせません。

睡眠に関しての悩みは早めに医師へ相談して、適切な治療のうえで良い睡眠を目指していきましょう。

 

参考資料

[1]厚生労働省『e-ヘルスネット』不眠症
[2]厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針 2014 』56〜57ページ
[3]一般社団法人日本睡眠学会『睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン』8〜9ページ

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