動悸や息切れの原因はストレス!? 動悸が止まらないときの対処法についても解説!

公開日: 2024/01/07 更新日: 2024/05/22
動悸というと、「心臓がドキドキしている状態」をイメージする人が多いのではないでしょうか。 実は動悸には、ドキドキする以外にも様々な随伴症状があり、なおかつ原因も様々です。 動悸を起こす原因の中には、心配しすぎる必要のないものから生命に関わるものまで色々あります。 階段の昇降などの運動後に動悸を感じたり、緊張している時にドキドキするのは健康な人でもよくあることです。 しかし、安静時に異常に脈拍が早かったり、息切れや浮腫みを伴う場合には注意が必要です。 また、胸の痛みを伴う場合はすぐに受診することをおすすめします。 このような動悸が起こる場合は循環器系の疾患が隠れている可能性が高いです。 循環器系の疾患以外の原因として、甲状腺の疾患が関係することもあります。 これらの原因疾患が背景にある場合、適切な診断と治療が必要となります。 放っておくと生命に関わる可能性もあるので必ず受診しましょう。 今回は、ストレスを起因とした動悸についてお話しします。 ・血圧や脈拍は正常なのに動悸がする ・循環器や甲状腺の機能は問題ないといわれた などの場合には、ストレスが原因の可能性があります。 ・ストレスと動悸の関係 ・危険な動悸の見分け方 動悸が止まらない時の対処法 についても解説するので是非最後までご覧ください。
目次

ストレスと動悸の関係

皆さんがストレスを感じるのはどのようなときですか?

例えば、

  • 腹が立った

  • 眠りたいのに眠れないで神経が高ぶっている

  • イライラしている

  • 環境の変化で緊張や不安が続いている

こんな状況を思い浮かべるのでは無いでしょうか。実はこの状態には、自律神経が深く関係しています。

自律神経とは

自律神経系は交感神経と副交感神経からなります。

この2つの自律神経は生活習慣などの外的な要因やホルモンなどの内的な要因を受け、体温や血圧、呼吸数など体内の様々なはたらきを自律的に調節しているのです。

交感神経は、緊張や興奮などで優位となり、副交感神経はリラックスしているときなどに優位となります。

このように相反する機能を持つ2つの神経がうまくバランスをとることで、私たちの心身の健康を保っているのです。

しかし、どちらかの要因が一方的に大きくなったとき、バランスを保つことができなくなり様々な心身の不調を引き起こすのです。

交感神経

副交感神経

役割

闘争・逃走反応の活性化

エネルギーの温存

状態の回復

優位にさせる状況

運動している時

興奮している時

緊張している時

食事中

睡眠時

リラックスしている状態

身体の反応

心拍数増加

血管収縮

気道拡張

瞳孔散大

唾液分泌抑制

汗の産生を刺激

排尿を抑制

心拍数低下

血管拡張

気道収縮

瞳孔縮小

唾液分泌促進

消化機能を刺激

排尿を促進

参考文献 自律神経系の概要 - 07. 神経疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)

この他にも、お酒に含まれるアルコールや煙草に含まれるニコチン、コーヒーなどに含まれるカフェインなども自律神経に関係しています。

ストレス性動悸が起こるメカニズム

このようにストレスとなる因子は緊張や不安、怒りなど、交感神経を優位にさせるものです。交感神経が優位になることで、心拍数の増加や血管収縮が起こります。

中でも冠動脈の収縮や痙攣が起こると息苦しさや動機といった症状が現れます。これがストレス性動悸が起こるメカニズムです。

動悸の原因はストレスだけじゃない! 自己判断はNG

動悸の原因はストレスだけではありません。中には生命に直結する重大な疾患が隠れている場合があるので安易に自己判断をするのはNGです。

動悸が起きる主な疾患として

  • 不整脈

  • 心不全

  • 狭心症

  • 高血圧症

  • 心臓弁膜症

などのいわゆる心臓病といわれるものが挙げられます。

これらの疾患は、心筋梗塞などの重大な疾患を引き起こす病気でもあり、適切な治療を受けなければ生命に関わることもあります。

循環器系の疾患以外には

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

  • 更年期障害

  • 貧血

  • 低血糖

  • 妊娠

  • 嗜好品(カフェインや煙草)の過剰摂取

などの可能性も考えられます。

放置すべきでない動悸

・突然脈が速まり、しばらく続く

・一日中動悸がする(安静にしても数分~数十分おさまらない)

・動悸が頻繁に起きる(何日か続けて出現する)

・負荷がかかると悪化する

・動悸以外の症状が伴う

 → 冷汗が出る

 → 失神やめまいを伴う

 → 浮腫みを伴う

 → 胸の痛みを伴う

 → 息切れやだるさを伴う

心当たりのある人はまず医療機関に受診して、必要な検査を受けましょう。

ストレス性動悸の対処法 落ち着かせる方法3選

動悸が止まらない時の対処法を3つ紹介します。

ストレス性の動悸か、他に原因のある動機かがわからない場合でもまずは以下の順に試してみましょう。

  1. 安静にする

  2. 薬に頼る

  3. 緊急時は迷わず救急車を呼ぶ

ひとつずつ解説していきます。

1.安静にする

動悸は、交感神経が優位になっている状態に起きます。

そのため、多くの場合安静にして副交感神経が優位な状態にすることで落ち着きます。

動悸がする時の対処法としてまず一番に試してほしいのは、リラックスすることです。

リラックスする方法

  1. 楽な姿勢をとる

  2. 深呼吸をする

  3. 目の上や顎回りなどのツボをやさしく押す

  4. ストレッチをする

  5. 冷たい水を飲む

寝つきが悪ければ寝姿勢や寝る場所を変えてみるのも良いです。

焦らず冷静に、落ち着いて対処しましょう。

2.薬に頼る

リラックスしようとしても、動悸が中々おさまらないと焦ってしまいますよね。

焦りは更に動悸を助長させ悪循環に陥ります。

すでに医師から処方されている頓服薬がある場合は、そちらを使用しましょう。

一般に、動悸の原因が循環器系の場合には抗不整脈薬が処方されることが多いです。

ストレス性の場合は、原因疾患によって処方される薬が異なります。

例えば、パニック障害のパニック発作に起因する動悸であれば、抗不安薬などが処方されるでしょう。

医師に処方された頓服薬を使用する際は、必ず用法容量を守って服用してください。

しかし、動悸の原因が循環器系以外の場合には薬が処方されないことも多くあります。そんな時、市販薬を使用しても良いのか?と思う方もいるでしょう。

一般に、動悸を落ち着かせる市販薬には救心薬と言われるものや漢方薬があります。

これらについても詳しくお話ししていきます。

ストレスによる動悸を落ち着かせる薬 1)救心薬とは?

救心薬とは、動悸や息切れを改善するための薬です。

救心薬の主な役割は以下のとおりです。

  • 心筋に作用し、心臓のポンプ機能を高めて血液循環を良くする

  • 自律神経のバランスを整える

  • 体内の余分な水分を排泄し、心臓の負担を軽減する

これらのはたらきで、循環器系のバランスを整えます。

救心製薬株式会社 より抜粋して引用

ストレスによる動悸を落ち着かせる薬 2)市販薬でも良い?

市販薬で良い場合と良くない場合があります。

前述したように、動悸が起こる過程には元になる原因があります。その原因に作用するものでなければ服用しても意味がありません。

しかし、動悸の原因を自己判断するのは難しいことです。

動悸を起こしている原因が明確な場合は、それに合った市販薬を服用するのも良いでしょう。

ストレスによる動悸を落ち着かせる薬 3)漢方薬はある?

漢方薬にも動悸に効く薬は存在します。

以下に、動悸に作用する漢方薬の種類と成分による効果を表にします。

※漢方の種類と作用

成分名

作用

左記の成分が含まれる市販薬名

蟾酥(センソ)

強心作用

求心製薬 求心錠剤

クラシエ薬品 六神丸S 等

牛黄(ゴオウ)

強心作用

血圧降下作用

血液循環を良くする

求心製薬 求心錠剤

クラシエ薬品 六神丸S 等

竜骨(リュウコツ)

牡蛎(ボレイ)

精神の疲れをとる

気持ちを落ち着かせる

クラシエ薬品 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

クラシエ薬品 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう) 等

参考文献

EPARKくすりの窓口【薬剤師が解説】動悸は市販薬で治せる?症状をケアする市販薬も

クラシエ|動悸 - 漢方薬を選ぶ|漢方セラピー

3.緊急時は迷わず救急車を呼ぶ

総務省消防庁 救急受診ガイドにて、

動悸における「直ちに受診が必要/今すぐ救急車等で病院に受診してください」とされている症状(緊急に該当する症状)を表に記します。

□動悸(胸のドキドキ)が30分以上続いている。

□息苦しい。

□胸の圧迫感(押される感じ)がある。

□胸がもやもやする感じがある。または、胸が苦しい。

□胸の痛みが30分以上続いている。

□冷汗をかいている。

□痛みが周りに広がる感じがある。
 または、胸・首・あご・腕のいずれかの痛み、または、変な感じがある。

□尿の量が減ったり、尿の色が濃くなったりしている。

□皮膚や唇が乾いている。

□のどがとても渇く。

□立ちくらみがする。

□胸やけがする。

□脈が極端に速い、または、遅い。

総務省消防庁 救急受診ガイド」より抜粋して引用

ストレス性の動悸と救急車を呼ぶべき症状 1)胸痛

総務省消防庁 救急受診ガイドには、胸の痛みが30分以上続く場合には救急車を呼ぶように記載されています。

他にも注意が必要な症状として

  • 胸に圧迫感がある

  • 胸がもやもやする

  • 胸が苦しい

以上の3点が挙げられます。

これらの症状がある場合は、循環器内科または内科を受診しましょう。

ストレス性の動悸と救急車を呼ぶべき症状 2)血の気が引く

血の気が引くというのは、貧血により意識が遠のく感覚のことを指します。

動悸に伴ってこのような症状がある場合、何らかの不整脈が隠れている可能性があります。心臓から送られる血液が極端に少なくなっているいわゆる貧血の状態です。

血の気が引くだけでなく、冷汗をかいたり、頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れる場合は、血管迷走神経反射による失神を起こす前触れの可能性もあります。

ストレス性の動悸と救急車を呼ぶべき症状 3)安静にしても落ち着かない

総務省消防庁 救急受診ガイドでは、動悸が30分以上落ち着かない場合には救急車を呼ぶように記載されています。

安静にしても落ち着かない時は、自己判断せず迷わず医療機関に頼りましょう。

ストレス性の動悸 病院は何科に受診?

更年期障害や妊娠、睡眠不足や過度なストレスなど思い当たる原因がある場合は少し様子を見てみるのも良いかもしれません。

しかし、安静にしていても動悸が続く場合には心臓の病気が疑われますので早急に受診しましょう。

  • 心臓がバクバクする以外の症状があるとき
    (脈が速い/脈が飛ぶ/血圧が高いなど)

  • 原因がストレスかそれ以外かわからないとき

  • 何科に受診して良いかわからないとき

以上の場合にはまず循環器内科または内科を受診しましょう。

うつ病やパニック障害などの精神疾患によって起こる動悸の場合、それぞれの疾患に合わせた治療と対処が必要です。

動悸の原因が循環器疾患ではなく、ストレスや精神疾患に起因すると考えられる場合は心療内科を受診しましょう。

うつ病やパニック障害以外にも自律神経失調症や過換気症候群もストレスと関係する動悸が起きます。

また動悸とともに手の震えが現れる場合は、パニック障害やバセドウ病の可能性があります。

更にバセドウ病では体重減少・疲労感・息切れ・多汗などの症状もみられるので心当たりのある方はバセドウ病を疑いましょう。

バセドウ病の場合、内分泌科、耳鼻咽喉科、甲状腺専門病院等で診察・治療を受けることができます。

いずれの原因であっても、自分自身で原因を判断するのは難しいです。

どこに受診して良いかわからない時はまず内科に受診してください。

内科での心電図や簡単な血液検査である程度の疾患の目星がつきます。検査の結果から、必要な場合には専門科に紹介してもらうことができます。

ストレスが引き起こす動悸以外の症状と対処法

ストレスというとネガティブな要因をイメージします。

しかし結婚や引越し、昇進など、一見喜ばしい感情を感じている場面でも、実は知らず知らずのうちにストレスとして蓄積されているのです。

ストレスが過剰になると、自律神経のバランスが乱れ様々な心身の不調が現れます。

動悸もその1つですが、他にはどのような症状があるのでしょうか。動悸に限らず、これらの症状は複数同時に出現する場合があります。

どのような症状であっても、原因となるストレスを解消することが一番の解決方法です。

ストレスが引き起こす動悸以外の症状 1.吐き気

ストレスによる吐き気も、自律神経の乱れによるものです。

吐き気以外にも、食欲不振や胃痛など様々な消化器症状が現れる場合があります。胃薬や整腸剤を服用したり、消化の良い食べ物を少しずつ食べるなどの対症療法が良いでしょう。

しかし胃痛や吐き気が長く続く場合、胃潰瘍などを起こしている場合もあります。

なかなか治らない時は受診しましょう。

ストレスが引き起こす動悸以外の症状 2.頭痛

ストレスによる頭痛には、緊張型頭痛といわれるものがあります。

これは筋肉が過度に緊張したり、痛みの調整がうまくできない状態になることで起こります。

リラックスすることが解決方法ですが、痛みが続く場合は我慢せずに鎮痛薬を服用しましょう。

ストレスが引き起こす動悸以外の症状 3.眠れない

不眠も自律神経の乱れが大きく影響しています。

また、眠れないことによって自律神経の乱れをさらに助長させる事にもつながりかねません。睡眠不足は心身の健康を害し、精神疾患の引き金ともなり得ます。

ストレスの元となる問題が自力で解決できない時は、心療内科やカウンセラーなどの医療機関に頼りましょう。

ストレスが引き起こす動悸以外の症状 4.息切れ/息苦しさ(過呼吸)

過呼吸は、過換気症候群といわれます。

過換気症候群とは、不安や緊張などの精神的ストレスが引き金となり、過度な呼吸をすることで生じます。

過換気症候群では、過呼吸状態になることで血液中の二酸化炭素濃度が減少し様々な症状が出現するのです。

一般的に症状が出現しても数時間以内に改善します。

主な症状は

  • 呼吸困難

  • 末梢のしびれ

  • 頭痛/めまい

  • 動悸

  • 胸部圧迫感

  • 吐き気

  • 失神

などが挙げられます。

症状が起きている当人は息苦しく酸素が足りないと感じますが、実際に血液中の酸素が不足しているわけではありません。

また、不安やストレスが原因となる過換気症候群では、リラックスすることで症状は改善します。

そのため、過換気症候群によって生命を脅かすことは無いので安心してください。

Q&A

ストレス性の動悸 続くとどうなる?繰り返すと身体に悪い影響がある?

ストレスが原因の場合、動悸そのものが生命に直結することはありません。

ただし、動悸は心臓に負担がかかります。あまりにも頻繁かつ長期的に続く場合には注意が必要です。

また、循環器系の疾患や甲状腺ホルモンに起因する疾患による動悸を放置すると最悪の場合心不全に陥ります。

ストレス性動悸の治し方は?

ストレスの元となる悩みや心配事などを明確にし解決する。もしくはストレスを解消する手段を見つけることが一番の解決方法です。

自力で解決が困難なときは、周りの人や医療機関に頼りましょう。

また原因がわからないときは、意識して休息をとるように心がけましょう。睡眠時間を確保し、リラックスできる時間を設けてください。

ストレスで動悸が止まらないのはなぜですか?

ストレスにより交感神経が優位になり、自律神経のバランスが乱れていることが原因です。

動悸は精神的なものですか?

動悸の原因は様々です。

主な原因は、心臓病、甲状腺機能亢進症、精神疾患、更年期障害、妊娠などです。

中には生命に関わることもあるため、原因疾患を明らかにし、適切な治療を受ける必要があります。

ストレス性動悸 吐き気がある時の対処法は?

ストレスの原因を解決またはストレスを解消することが一番ですが、難しいときは対症療法に努めましょう。

吐き気がある時は、食事を消化の良いものにしたり、一度の食事量を減らすのも効果的です。

あまりにも症状がひどい場合には、胃薬などの薬に頼るのも良いでしょう。

横になると動悸がする原因は?

不整脈は横になってリラックスしている状態の時に特に自覚しやすいです。

中でも期外収縮と言われる不整脈は、ドクンっと波打つような拍動を感じるため、安静時に動悸として自覚しやすくなります。

他にも、夢を見るような浅い眠り(レム睡眠)のときに悪夢を見たり強い不安を感じると動悸が起きることがあります。

まとめ

動悸には、

  • ストレス/精神疾患によるもの(自律神経失調症、パニック障害、うつ病など)

  • 循環器系の疾患によるもの(不整脈、高血圧、狭心症、心不全など)

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

  • 更年期障害/妊娠によるもの

など様々な原因があることがわかりました。

動悸が頻繁に起き、循環器内科に受診したものの異常がなかったという人はストレスなどの精神的な要因が隠れている場合があります。

ストレスが原因の場合は、原因の除去が特に重要です。

ストレスの内容が自分だけでは解決できない時には、心療内科などの専門機関を頼りましょう。

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