妄想はどんな時に起こるの?原因になる疾患や対処の方法について解説

公開日: 2024/01/09 更新日: 2024/05/22
妄想が起こると、人の話を聞かない、思い込みが激しい状態になってしまうことが頻繁に認められます。その結果として、周りの人も、本人もとても苦しい思いをしてしまいます。 妄想はどのような病気が原因で起こるのでしょうか。また、身近な方が妄想にとらわれてしまった際、どのように対応したら良いのでしょうか。 本記事では、これらの疑問について解説を行います。
目次

妄想の定義と分類は?

誰もが、何かの機会に、思い込みをしてしまうことがあります。

例えば、職場で定期入れが見当たらなくなってしまった時、「もしかしたら盗まれたかも」と考えることがあったとしましょう。

後々、落とし物として届けられていれば、考えたことが間違いだったと気づくはずです。

思考した内容が間違っていても、のちに訂正することができれば、それだけでは「妄想」とは言いません。

では、もし見つかった後にも、「誰かが私に嫌がらせをするつもりで盗んで、そこら辺に捨てたんだ」と根拠なく主張し続けていたらどうでしょう。これは明らかに病的です。

間違った考え・意味づけを異常に強く確信し、訂正ができないものを「妄想」と呼びます。

二つの方法で妄想の種類を分けることができます[1]。一つは発生のプロセスによる分類、もう一つは内容による分類です。

妄想の発生のプロセスによる分類

妄想の発生のプロセスによる分類では、一次妄想と二時妄想の2種類に分けられます[1]。

一次妄想

唐突に発生する妄想のことを指します。基本的に妄想が出てきた理由は、他者には理解することはできません。

例えば、「自分は神の生まれ変わりで世界を救う力がある」「さっきから犬が吠えているからもうすぐ隕石が落ちてくる」といった妄想が、なんの脈絡もなく起こってくるのです。

二次妄想

何らかの状況や環境、感情などの反応として妄想が出てくるという理由がわかる妄想です。

例えば、うつ病では自尊心が損なわれたり、思考力が落ちてしまったりすることがあります。

その結果、「お金がないから破産してしまう」「他人に対してすごく悪いことをしてしまった」といった妄想の発生を認めることがあります。

このように、妄想が生じるような背景がある程度理解できるものが、二次妄想です。

妄想の内容による分類

妄想の内容(妄想主題)によって種類分けをすると、被害的内容・誇大妄想・微小的内容の3つに分類されます[1]。以下に、具体的な内容を示します。

被害的内容

自分が何らかの被害を受けていると確信する内容で、統合失調症に多い妄想です。

妄想の内容は以下のようになります。

  • 迫害妄想;自分が迫害を受けていると考えます。
  • 追跡妄想;誰かに追跡されていると確信する妄想です。
  • 関係妄想;あらゆることを自分に関連があると考えます。どんなに無関係なことでも自分に関連づけてしまうのです。
    例えば、「テレビで芸能人が自分の悪口を言っている」と思い込みます。
  • 注察妄想;自分が誰かに見張られていると考えます。
  • 被毒妄想;食事などに毒を盛られていると思い込む妄想です。
  • 嫉妬妄想;根拠なく恋人や配偶者が浮気していると確信します。

誇大妄想

自身に何かしら特別な能力や才能があると確信する内容です。

統合失調症や躁状態の時に多くみられます。

  • 血統妄想;自分は高貴な家系の出自であると思い込む妄想です。
  • 宗教妄想;自分が救世主・神の生まれ変わりなどであると考えます。
  • 発明妄想;自分がとても優れた発明をしたと考えるものです。
  • 恋愛妄想(被愛妄想);特定の誰か(有名人など)に愛されていると考えます。

ストーカー行為の原因になり得る妄想です。

微小的内容

うつ状態に多い妄想です。自尊心の低下から、自分が劣っている・ダメになってしまったという内容の妄想を認めます。

  • 貧困妄想;自分の財産がなくなってしまった、破産した、貧乏だと思い込みます。
  • 罪業妄想;大きな罪を犯してしまったと確信する妄想です。
  • 心気妄想;大きな病気にかかってしまっていると考えます。
  • 虚無妄想;自分の体や世界がなくなってしまったとする妄想です。
    例えば、「自分は死んでしまっていてここには本当は存在しない」などと考えます。

幻覚と妄想 幻視や幻聴が妄想の原因になるの?

幻覚とは本来ないものを知覚することです[1]。幻覚には以下のようなものがあります。

  • 幻視:視覚に生じる幻覚です。本来いないはずの人や動物、虫などが見えます。
  • 幻聴:聴覚に生じる幻覚です。人の声が聞こえるもの(言語性幻聴)と、それ以外の音が聞こえるもの(要素性幻聴)とに分けられます。
    前者は統合失調症に多く認められ、本人への悪口など被害的な内容が多いのが特徴です。
  • 幻臭:とても不愉快で異常な匂いを感じます。
  • 幻味:食べ物などの味が変だと感じる幻覚です。味覚障害との見分けがつきにくいです。
  • 体感幻覚:皮膚の触覚や痛覚・温度覚、内臓感覚、深部感覚(筋肉や骨・関節などの位置を感じて手足位置や動きの方向などを感じる感覚)において認められます。
    「腸を引っ張られている」「脳が溶けている」「皮膚のしたを虫がはっている」など、本来は感じないはずの体の感覚を感じる幻覚です。

幻覚と妄想には密接な関係があります。幻覚が原因になって妄想が生じることは多々あるからです。

例えば、知らない人が自分の部屋にいるという幻視から、「誰かが自分を殺そうとしている」という妄想に繋がることがあるのです。

また、食べ物に関する幻臭や幻味は「毒を守られている」と言う妄想につながります。

妄想の原因となる疾患は?

いくつかの精神疾患や、薬物の乱用などで妄想が起こります。妄想の内容は疾患によりさまざまです。

ここでは、特に妄想の原因となりやすい疾患をお示しします。併せて、その病気で起こりやすい妄想の内容もチェックしていきましょう。

妄想の原因になる疾患 統合失調症;一次妄想が症状の代表

統合失調症は、幻覚妄想を認める疾患の一つです。

統合失調症が起こりやすいリスクのある人(脆弱性を持つ、といいます)に、何らかのストレスが加わることが原因で発症すると考えられています。

この仮説は脆弱性-ストレスモデルと呼ばれているのです。

統合失調症の症状は、異常な心理状態が起こることを表す「陽性症状」と、正常な精神の機能が失われてしまった状態である「陰性症状」が代表的とされています。

このうち、幻覚や妄想は陽性症状に含まれます。

妄想としては了解が不可能な一次妄想が主です。妄想の内容はとても奇妙で、突拍子もないようなものが多く認められるのです。

統合失調症で認められる妄想は、主に下記のようなものから生じます。

  • 妄想気分;周囲の世界が、何となく変わってしまい、新しい意味を帯びていると考えるものです。不気味で、何かが起ころうとしているという不安で緊迫した気持ちになります。
  • 妄想知覚;正常な知覚に対して異常な意味づけがされてしまうものです。
    例えば、ドアが開く音を聞いて、「今、自分を密かにつけ狙っている組織の人間が入ってきた」と思い込んでしまいます。
  • 妄想着想;何の脈絡もなく、突然に異常な考えを思いつき、それを確信してしまうことです。

また、妄想の内容としては、「見張られている」「追いかけられている」「殺される」など、被害的な内容が認められることが多いです。

統合失調症の幻覚も特徴的なものになります。最も頻度が高いのが幻聴で、特に人の声が聞こえてくる言語性幻聴が多いです。

内容も基本的には本人にとって悪意のある内容であることが多く認められます。このため、そのまま被害的な内容の妄想につながりやすいです。

そのほか、身体の異常を感じる幻覚である「体感幻覚」もよくみられます。

「腸が腐っている」「脳が溶けて流れ出てくる」など本来起こっていない奇妙な体の感覚を感じるものです。

妄想の原因になる疾患 妄想性障害;妄想だけが症状?

妄想性障害は成人期、特に50〜60歳代に好発します。この病気のほとんど唯一の症状が妄想です[2]。

基本的には一つの妄想のみ、あるいは内容的に関連のある一連の妄想のみが認められます。

統合失調症の荒唐無稽な妄想とは異なり、ある程度現実的な内容のことが多いです[3]。

妄想性障害では、妄想は長期にわたって持続するのが特徴です。

精神障害の診断・統計マニュアル第5版(DSM−5)では、診断のために妄想がある状態が最低1ヶ月は持続している必要があります[1]。

その他は至って正常で、ほとんどの場合、一見すると健康な方と何も変わりません。社会生活については問題なく、仕事もできているという患者さんが多いのです。

妄想の内容は被害的なものだったり、誇大妄想だったりとさまざまです。

残念ながら、このような状況では患者さんは自分で自分が病気であるということが認識しにくくなってしまいます。

当然、精神科などへの受診にも結びつきづらくなってしまいます。

ただし、妄想が元で強い不安や鬱状態などに陥っている場合、攻撃的になり人に危害を加えようとしている場合は早めの受診が望ましいです。

妄想の原因になる疾患 妄想性パーソナリティ障害;不信感がとても強い

パーソナリティ障害とは、認知や行動の特性が著しく偏っていることを指します[4]。誰しもが多少の偏りがありますが、パーソナリティ障害ではその偏りが非常に大きいのです。

その中でも、「妄想性パーソナリティ障害」は名前の通り妄想をきたしやすいとされています[1]。このパーソナリティ障害の特徴は周りの人々への不信感が強いことです。

周りの人の誠実さを疑い、ちょっとした注意や批判に過剰に反応します。パートナーが裏切って浮気していると根拠なく疑ったりもします。

自分以外は全て敵で、いつも自分に危害を加えたり貶めたりしようとしているのだという被害的な妄想を起こしやすいのです。

なお、妄想性パーソナリティ障害の方は妄想性障害を合併しやすいとされています。

妄想の原因になる疾患 うつ病, 双極性障害

うつ病で気持ちが落ち込んでしまっている時には、微小的内容の妄想が起こりやすい状態です。

例えば、「お金がないので病院受診ができない」「犯罪を犯してしまった」「不治の病にかかってしまったに違いない」といった内容の妄想が認められます[1]。

一方の、双極性障害とはうつ状態と躁状態を繰り返す疾患です。躁状態の際には、自尊心が肥大し、自信過剰となって気分が高揚します。

そのため、誇大妄想を認めることがあります[1]。例えば、「自分には優れた能力がある」「自分は高貴な家の生まれである」などという内容の妄想が認められるのです。

その結果として、問題行動につながり、周囲とのトラブルを引き起こしてしまいます。

妄想の原因になる疾患 認知症;高齢者の妄想の原因の一つ

認知機能とは、本来は物事を理解したり判断したりする知的な機能を指す言葉です。

認知症ではこの認知機能の障害が起こるため、物忘れ、つまり記憶の障害が起こったり、判断したり理解したり物事をやり遂げたりする力が落ちてしまいます。

認知症の症状としても、妄想が認められることがあります。それはなぜでしょうか。

認知症患者さんでは、認知機能の障害である「中核症状」に、さまざまな外的要因や身体・心の要因が合わさり、「周辺症状」と呼ばれる症状が起こります[5]。

周辺症状は落ち着かなくなり徘徊したり、興奮しやすくなったり、気持ちが落ち込んで抑鬱状態になったりというふうに、認知症の「困った症状」として出てくるものです。

この一つに「妄想」が含まれています。

認知症の妄想で多いのは、被害妄想です。代表的なものに、「物盗られ妄想」があります。

貴重品をどこにおいたのかを忘れてしまい、結果、「盗まれたに違いない」と思い込んでしまいます。

不幸なことに、この「犯人」扱いされやすいのは、身近にいる家族や介護職の人々です。

もしも、疑いの目が向けられてしまったら、妄想を頭ごなしに否定することは避けましょう。

妄想は訂正できないため、いくら「どこにおいたか忘れたんでしょ?」といっても、受け入れてはもらえません。

まずは、大切なものをなくしたことに対して共感の気持ちを示しましょう。そして、一緒に探したり、別のことをして気を紛らわすように勧めるのが効果的です。

幻視を伴う妄想の原因かも レビー小体型認知症

我が国の認知症の最多を占めるのは「アルツハイマー型認知症」ですが、3番目に多いとされているのが「レビー小体型認知症」です。

この病気の大きな特徴として、幻視をきたすことがあります[5]。

幻視は「小さな虫がいっぱい飛んでくる」「知らない人が家にいる」などといった、ありありとした鮮明な内容です。

レビー小体型認知症による幻視が元で、妄想や作り話が起こることがあります。

例えば、「たくさん知らない人が家にやってきたので、乗っ取られてしまう」といった、被害的な内容が多いです。

妄想へどうやって対処するの?接し方について

家族や身近な人に妄想が認められるときに、どう接したら良いのでしょう。まず、妄想を頭から否定することは避けましょう。

妄想は基本的にどんなに頑張っても、訂正することができません。本人がただ関係性を悪くしてしまうに過ぎないからです。

だからと言って、無理に肯定をする必要はありません。一番重要なのはご本人の気持ちに共感することです。

妄想により生じている苦しい気持ちや悲しい気持ちを傾聴し、受け止めるスタンスを示してください。

もし、妄想により、二次的に強い不安に陥っている時や、他人に危害を与えようとしている場合には、精神科の医師の診察を受けることが必要です。

診療に対する拒否があり、困っているようであれば、保健所や精神保健福祉センターに相談をしましょう。

また、どうしても妄想内容が酷く、ご自身が攻撃対象になってしまう場合は、頑張ってどうにかしようとせずに、少し距離を置いてください。

何よりも重要なことは、一人で抱え込まないで専門家と相談するということです。

基本的には入院での精神科治療は本人の意思がないとできません。しかし、自分や他人を傷つける行為があると考えられるときは別です。

本人の同意がなくても入院が可能な制度を使います。下記のような制度があります[1]。

  • 医療保護入院:家族などの同意のもとで精神保健指定医の診察により入院させることができる制度
  • 応急入院;医療保護入院と同程度の状況だが、家族の同意が得られない際に、精神保健指定医の診察により72時間を限度として行われる入院の形態
  • 措置入院:自傷他害の危険性が強い時に2名の精神保健指定医の診察により都道府県知事の権限で行われるもの
  • 緊急措置入院:措置入院と同様に自傷他害の危険性が強く、さらに緊急性が高い時に、1名の精神保健指定医の診察により72時間を限度に入院させる制度

Q & A

妄想が強く出る病気は?

特徴的な妄想をきたす疾患の代表は、統合失調症です。脈絡なく突然、奇妙な考え・思い込みに囚われ、訂正をすることはできません。幻聴などを伴うこともあります[1]。

妄想は了解が不可能で突拍子もない内容のことが多いです。主に下記のようなものから生じます。

  • 妄想気分;周囲の世界が、何となく変わってしまい、新しい意味を帯びていると考えます。不気味で、何かが起ころうとしているという不安で緊迫した気持ちになるのです。
  • 妄想知覚;正常な知覚に対して異常な意味づけがされてしまうものです。
    例えば、ドアが開く音を聞いて、「今、自分を密かにつけ狙っている組織の人間が入ってきた」と思い込んでしまいます。
  • 妄想着想;何の脈絡もなく、突然に異常な考えを思いつき、それを確信してしまうことです。

他に妄想が主要な症状として認められる疾患として、妄想性障害があります[1]。ただし、統合失調症とは異なり、現実味のある妄想を認めるケースが多いです。

幻覚などの他の症状もありません。その他は至って正常で、ほとんどの場合、一見すると健常な方と何も変わりません。

大きな支障なく日常生活を送ることができている方も多くいます。その分、病識(自分が病気だという意識)に乏しく、なかなか受診行動に繋げることができません。

また、パーソナリティ障害の一つ、妄想性パーソナリティ障害でも、他人に対する不信感から妄想につながることがあります。

妄想性パーソナリティの方は、後に妄想性障害と診断されることもあるのです。

妄想は精神障害ですか?

妄想があることが何らかの精神障害を見つける糸口になることがあります。例えば、統合失調症や妄想性障害では、妄想が主要な症状です。

特に統合失調症は支離滅裂な妄想が多く、現実味がない妄想を認めることが多い疾患になります。

また、うつ病や双極性障害(うつ状態と躁状態を繰り返す疾患)にも妄想を伴うことがあります。

うつ状態のときは、微小的内容といって、自分がダメになってしまった、悪いことをしたといった内容の妄想が生じやすくなるのです[1]。

一方、躁状態の時は誇大妄想が多くなります。誇大妄想とは、何かしら特別な能力や才能があると確信する内容です[1]。

認知症でも妄想が起こり得ます。

認知症の妄想は周辺症状と位置付けられており、中核症状である認知機能障害に、さまざまな外的要因や身体・心の要因が合わさった結果だと考えられています[5]。

被害的な内容が多いです。例えば、身近な家族や介護者が大切なものをとったと考える「物盗られ妄想」などが認められます。

妄想性障害の初期症状は?

基本的に妄想性障害は妄想がほぼ唯一の症状です[1, 3]。したがって、初期から妄想を認めます。

また、妄想性パーソナリティの方は、妄想性障害をきたしやすいと考えられているのです。疑い深く、人に不信感を抱きがちな人は、妄想性障害を発症する可能性があります。

妄想性障害への接し方、家族はどうしたらいい?

妄想性障害では、患者さん本人が、「自分が病気だ」と認識しづらい状態です[2]。

妄想以外にはほとんど異常はなく、日常生活も問題なく送ることができている方も多いからです。

妄想性障害の患者さん、あるいは疑わしい方が家族にいる場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。このような方への接し方には一工夫する必要があります。

まず、妄想に対しては、基本的には頭ごなしに否定をすることは避けるべきです。妄想は基本的に訂正することができません。

いくらご家族の言うことでも、基本的には聞いてはもらえないため、ただ関係性を悪くしてしまうに過ぎないからです。だからと言って、無理に肯定をする必要はありません。

ただし、妄想に伴い、辛い思いや悲しい思いをされているようであれば、そこに対しては共感的に接するのが良いでしょう。

病気だという認識がないため、精神科への受診も難しいことが多いです。

妄想により、二次的に強い不安・焦燥感や不眠などの困っている症状があれば、そちらに対応するための受診を勧めてみるのは良いかもしれません。

受診を急ぐのは、妄想がエスカレートしてしてしまい、自分や他人を傷つけようとしてしまうときです。

そのような際に受診拒否があるようであれば、保健所や精神保健福祉センターに相談をしましょう。

妄想性障害は治るのか?

基本的に完治は難しい病気です。根気良く付き合っていくしかありません。

もし二次的にうつや不安が生じているのであれば、そちらを改善するための薬物療法などを考慮する必要があります[2]。

他害行為があるようであれば、本人の意思に反してでも入院が必要になる可能性もあるのです。

まとめ

妄想はさまざまな疾患により引き起こされます。一番の解決方法は、原因となっている疾患の治療を行うことが必要です。

ただし、疾患によっては、それが難しく、妄想に伴う焦り・不安などを取り除く治療が主体になることもあります。

大切な人が妄想に悩まされている時、対応に迷うこともあるかもしれませんが、絶対に強く否定をすることは避けてください。

妄想がある状態は、可能ならば精神科の受診が望ましいです。しかし、妄想は本人が強く確信してしまっている思考になります。

外部からの訂正は聞き入れられず、「病的だ」という認識がなかなかできないことも事実です。そのため、受診拒否があることも珍しくありません。

大切な方のためです、最終的にはぜひ受診に繋げてください。

困った時には、保健所や精神保健福祉センターなどさまざまな行政の力を借りましょう。決して一人で悩む必要はありません。

参考文献

[1] 尾崎紀夫, ほか 編. 標準精神医学 第8版. 医学書院. 2021.

[2] 針間博彦, 日本医事新報 (5099): 51-51, 2022.

[3] 山根俊恵. ケアマネジャー 19(7): 68-71, 2017.

[4] 日本精神神経学会 林直樹先生に「パーソナリティ障害」を訊く. (2023年8月13日閲覧).

[5] 認知症疾患診療ガイドライン2017.

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