低気圧でうつ病が悪化するのはどうして?原因・症状・対策を解説!

公開日: 2024/01/07 更新日: 2024/05/22
うつ病を患っていると、ただでさえ外出やそのための行動を起こすことが億劫なのに、天気が悪い日はさらにそれが憂鬱になりますよね。 うつ病患者さんが、天候の変化で体調を崩すことは少なくないのですが、それは気のせいではなく、気圧の変化が関係しているんですよ。 この記事では、雨の日に体や心が不調になる理由や、うつによりあらわれやすい症状とその対処法、そして天気うつの方が前もってできる対策もご紹介します。 低気圧の日をできるだけ快適に、そして安心して乗り切るために、ぜひこの記事をご参考にしてくださいね。
目次

低気圧とうつ病の関係とは?

病気を患っていない、健康な人でも低気圧の影響を受けやすい人は多くいます。これは、低気圧不調と呼ばれます。

健康な人の場合は、低気圧が遠ざかるにつれて体調は回復していきます。

しかしうつ病を患っている方の場合、低気圧不調の症状とうつ病の症状が相まって、うつ病の病状を悪化させてしまうことがあるのです。

そもそも低気圧とは?

気圧とは、空気の重さのことです。普段、空気の重さを感じることはありませんが、人は、体の表面積で計算すると、約15トンもの圧力を受けているんです。

これを聞くだけで、体が気圧に影響を受けることは間違いないことがわかるでしょう。

低気圧のときは、空気が軽くなるので、体への圧力が小さくなり、高気圧のときには、空気が重くなるので、体への圧力が大きくなります。

それに対し、私たちの体は、気圧に負けないように内側から同じだけの力で押し返しているのですが、低気圧が近づいてくると内側から押し返そうとする力が弱くなってしまいます。

すると、やる気や活力が無くなったり、痛みやだるさが出てきてしまうのです。また、低気圧とは、周囲に比べて気圧が低い所のことを言います。

低気圧には周りから空気が集まる特徴があり、そこで暖かい空気と冷たい空気がぶつかって雲が発生することにより雨が降ります。そのため、低気圧が近づくと雨になります。

雨の日に体調不良を訴える人が多いのですが、原因は雨そのものではなく雨を降らせている低気圧であることが理解できるでしょう。

低気圧とは関係なく、うつ病が悪化するとどんな症状が出る?

うつ病は脳のエネルギーが欠乏した状態であることを言い、心身の不調に自然治癒力が機能しない病気です。

うつ病の症状の現れ方や重症度は様々で、仕事や日常生活に現れる支障の程度にも、病状により差があります。

うつ病が悪化すると、

  • 食欲が出ない
  • 眠れない
  • 起きられない
  • 頭痛がする
  • めまいや耳鳴り、動悸がする

などの体の症状と

  • だるくて、何もやる気が出ない
  • 悲しい気分になる

などといった心の症状が現れやすくなります。

ひどくなると、仕事や家事、人付き合いなどの社会的機能が働かなくなるだけでなく、日常生活を送ることさえも困難になるのです。

低気圧がうつ病に与える影響は?

うつ病を患っていない健康な人でも、低気圧が近づいてくると、以下のような症状が出ることがあります。

  • 雨が降る前に頭痛がする

  • 雨が降る前に体のだるさ、めまい、むくみを感じる

  • 雨が降ると、頭痛やだるさ、ふらつきがひどく、焦りや苛立ちで自己嫌悪に陥る

  • 気圧の変化が気分の浮き沈みに影響する

  • 台風が近づいてくると、不安感におそわれる

うつ病の症状と、低気圧不調の症状は似ていることがわかるでしょう。

低気圧が近づいてなくても、これらの症状に悩まされているうつ病患者さんにとって、低気圧による頭痛やめまいなどの症状は、心身に追い打ちをかけます。

そして不安感や気分の落ち込みを増強させてしまい、病状が悪化してしまうこともあります。

体調が悪い時には無理せず休み、可能であればかかりつけの病院やクリニックを受診しましょう。次の項目では、低気圧が原因でよく起きる症状とその対処法を解説します。

症状が軽い時には、これらの方法で対処できることもありますので、ぜひ覚えておいてください。

低気圧が原因で起きる症状と対処法を解説!

最近の研究で、低気圧不調は耳の奥にある内耳の気圧センサーが気圧の変化に過剰に反応することが原因であるとわかってきました。

過剰に反応してしまうことで自律神経のバランスが乱れ、様々な不調を引き起こすのです。低気圧=頭痛のイメージがありますが、他にも症状があります。

ここでは、低気圧不調を体の症状と心の症状に分け、それぞれの症状への対処法まで、詳しく解説していきますね。

低気圧が原因で起こる体の症状と対処法

低気圧が原因で起こる体の症状で、代表的なものは以下の5つです。

それぞれの症状がどうして起こるのか、またその対処法もご紹介します。

  • 頭痛がする

  • 肩がこる

  • 胃がもたれる

  • めまいや吐き気がする

  • 息苦しさ・心臓の苦しさを感じる

頭痛がする

体内の水分バランスが崩れると、体は必要以上に水分を増やしてしまいます。体内に水分が溜まりすぎると、血管が拡張する原因になるんです。

脳内の血管が拡張するときに血管を取り巻く神経が圧迫され、炎症を起こすと頭痛が発生します。

頭痛が起きたら鎮痛薬を使って痛みを和らげましょう。痛みを我慢する必要はありません。

また血管を収縮させる作用がある、コーヒーを飲んでみることもおすすめです。その他にも、血管を収縮させるために首の後ろや額を冷やすという方法もあります。

アーモンド、豆乳、バナナなどマグネシウムを含む食品は、血管のむくみを抑える働きがあるため、食事に取り入れると良いでしょう。

肩がこる

自律神経には、交感神経(心身を興奮させたり、緊張させたりする神経)と副交感神経(心身をリラックスさせる神経)があります。

低気圧により自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位に働いてしまうと、心身が常に緊張状態になります。

すると肩や首の筋肉が常に貼っている状態になり、肩こりを引き起こす原因になるのです。

副交感神経を働かせて自律神経のバランスを取るためには、リラックスすることが大切です。

低気圧が近づいてくることがわかったら、休息の時間をなるべく確保するようにしたり、シャワーだけでなく入浴をして血行を促したりすることを意識すると良いでしょう。

マッサージやストレッチも、血行促進に効果があります。

胃がもたれる

自律神経は、胃、小腸、大腸などの様々な臓器も調整しています。低気圧により自律神経のバランスが崩れると、消化活動が停滞し、胃もたれや便秘、下痢の原因となります。

体への負担を軽減するためにも、なるべく消化のよいものを食べることを心がけましょう。やわらかく炊いたご飯やお粥、やわらかく煮たうどんなどがおすすめです。

食物繊維の多い野菜は避け、消化管への負担が少ない大根や白菜、ニンジンやジャガイモを柔らかく煮たものも消化器官の負担を軽減させるためには良いとされています。

めまいや吐き気がする

内耳の気圧センサーが過剰に反応して、自律神経のバランスを崩すため、めまいや吐き気の症状が現れます。

市販の酔い止め薬には、内耳に働きかけて興奮を沈め、めまいや吐き気を和らげてくれる効果があります。

ただ、神経が一旦興奮してしまって、症状が出てからでは、薬の効果は得がたいです。かすかな予兆を感じたら、すぐに内服しましょう。

息苦しさ・心臓が苦しさを感じる

自律神経の乱れによって呼吸が浅くなり、胸あたりの苦しさを感じることがあります。体を締め付ける衣類を緩めて、楽な姿勢をとり、安静にしましょう。

喘息をお持ちの場合、低気圧により発作が出ることもありますので、すぐ使えるよう喘息薬を手元に置いておくとよいです。

低気圧が原因で起こる心の症状と対処法

低気圧が原因で起こる心の症状の中で、代表的なものは以下の3つです。

  • だるい・やる気が出ない

  • 不安を感じやすい

  • 気分が落ち込む

低気圧で自律神経が乱れることにより、心理面にネガティブな影響を及ぼします。

だるい・やる気が出ない

低気圧により自律神経のバランスが乱れ、副交感神経が優位になりすぎると、眠気やだるさ、やる気の低下が生じます。

内耳と自律神経には深い関わりがあるため、耳のマッサージで血流を促進し、自律神経の働きを助けることが効果的です。

やり方は、下記の4つです。

  1. 耳を軽くつまみ、上・下・横に5秒ずつ引っ張る

  2. そのまま軽く引っ張りながら、後ろに向かってゆっくり5回まわす

  3. 耳を包むようにそりまげ、5秒キープ

  4. 耳全体を手のひらで覆って、ゆっくり円を描くように後ろに向かって5回まわす

座っていても、横になっていてもできるマッサージなので、ぜひ日常に取り入れてみてくださいね。

不安を感じやすくなる

自律神経のバランスが乱れ交感神経が異常に興奮すると、心身が緊張状態やストレス状態となり、不安感が生じることがあります。

リラックスする時間をとって耳のマッサージをし、睡眠時間をしっかり確保しましょう。休息を取り、自律神経のバランスを整えることが大切です。

気分が落ち込む

低気圧による雨の影響で日光が遮られると、精神安定剤の役割があるセロトニンというホルモンの分泌が減少します。

それによりストレスや疲労感、意欲低下などが起き、結果的に気分が落ち込むことがあります。

セロトニンを増やすためには、太陽の光を浴びることが一番ですが、適度な運動やバランスのとれた食事を取ることも、セロトニンを増やすのに効果的です。

低気圧で雨の日はどう過ごす?気分を上げるためにできる対策をご紹介

最近の研究によって体調が悪くなる原因は、低気圧そのものではなく、「気圧の変化」だということがわかってきました。

つまり、低気圧が近づいてくる前に対策をとることが必要なのです。

気圧が体調に影響を及ぼすことは気のせいではなく、科学的に証明されてきています。

うつ病患者さんにとって、気圧の変化をいち早く察知し、対策を取ることは病状の悪化を防ぐことにつながります。

ここでは、症状別に対策をご紹介します。「血行」と「予測」が重要なポイントと言えるでしょう。

頭痛への対策は?

頭痛が起きたら、鎮痛薬で対処している方も多いのではないでしょうか。頭痛が起こるかもしれないと知っておけば、頭痛の予兆に気づくことができます。

アプリの活用

天気予報の技術の進歩は目覚ましく、かなり精度の高い予測が行えるようになりました。

最近では、この天気予報技術と、GPS、IOT(モノのインターネット:家電など生活に関わる身近な機械のオンライン化・連携化)技術を組み合わせ、天候に合わせた体調予報を行うサービスも登場しています。

現在地情報から気圧や天候の変化を教えてくれたり、数日間の天気と合わせて、天気痛の発生リスクなどを教えてくれたりする予報サイトをスマートフォンに入れておけば、体調管理の役に立つでしょう。

漢方の内服

気圧の変化による頭痛に対して、漢方薬は効果があるとされています。主に使用される漢方薬として、五苓散(ごれいさん)が有名です。

体内の余分な水分を体外へ排出し、過剰な水分貯留や血管拡張を抑えることで、頭痛の症状が出ないようにします。

しかし、漢方薬の効果が現れるまでには時間がかかるため、継続して飲み続けることが必要です。

低気圧による頭痛に悩んでいる方は、一度受診し、医師に相談してみましょう。

だるさ・めまいへの対策は?

だるさやめまいは、自律神経の乱れによって起きています。気圧の変化を感じ取る内耳の血行をよくすることがポイントです。

耳マッサージ・入浴

前述でご紹介した耳マッサージを日常生活に取り入れることで、常に血行の良い状態が保たれます。血行をよくする手段として、入浴もおすすめです。

漢方の内服

気圧の変化によるめまいやだるさに対しても、漢方薬は効果があるとされています。

ドラッグストアでも販売しているため、病院へ受診する時間がない人は市販の漢方薬を購入するのも一つの方法と言えるでしょう。

イライラ・気分の落ち込みへの対策は?

天気の変化により体調の変化を受けやすい方は、そのストレスに負けないように自律神経を整えていくことが大切です。

日中は活動し、夜はリラックスして過ごすなどメリハリのある生活ができると、自律神経が整うでしょう。

自律神経を整える習慣づくり

  1. 朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる

  2. 朝食をとる

  3. 日中に少しでも体を動かす時間を取る

  4. 夜は、ぬるめのお湯で入浴する

  5. 起床と就寝の時間を一定にして質の良い睡眠をとる

以上の5点を意識できるとよいですね。

もちろん、自律神経を整える習慣作りは、頭痛やだるさ、めまいへの対策にもなります。

Q&A

うつ病の悪化のサインは?

仕事や家事、勉強、人付き合いなどの社会的機能がうまく働かなくなります。重症になると、日常生活を送ることさえも難しくなります。

低気圧とセロトニンの関係は?

低気圧が近づくと、セロトニンの分泌が不安定になります。

セロトニンは精神状態を安定させる効果があるホルモンなので、分泌が不安定になることで平常心が保てなくなるのです。

またセロトニンには血管を収縮させる働きがあり、セロトニンが血管内に大量に出ると脳の血管は収縮しますが、反対にセロトニンが出尽くしてしまうと今度は脳の血管が勢いよく膨張することになります。

その結果、脳血管を取り巻いている神経が興奮し頭痛の原因になるのです。

雨と鬱の関係は?

雨が降ると気圧の影響で内耳の気圧センサーが刺激され、自律神経が乱れます。

すると、気分が落ち込む・やる気が出なくなる・頭痛やめまいがするなどの症状があらわれることがあります。

心が壊れる前兆は?

以下のような症状が現れることがあります。

  • 疲れやすく、やる気が起きない
  • 集中力が低下し、判断力が鈍る
  • 睡眠障害が起こる
  • 不安や恐怖感が増し、パニック発作を起こすことがある
  • 感情が不安定になり、怒りっぽくなる
  • 自己否定や無力感を感じる
  • 引きこもり状態に陥る

気づかないうちに心が疲れている人が増えています。上記の症状がないか、定期的にチェックすることが望ましいです。

メンタルがやばいサインは?

  • 不安や緊張が高まって、イライラしたり怒りっぽくなる
  • ちょっとしたことで驚いたり、急に泣き出したりする
  • 気分が落ち込んで、やる気がなくなる
  • 人づきあいが面倒になって避けるようになる」

の4つが挙げられます。

ストレスサインを知っておくことで、早めに自分のストレスに気づくことができます。気づいた時には適切な休息をとり、それでも回復しない場合は、受診しましょう。

まとめ

低気圧が近づいてくることにより、人の体には負担がかかることがわかりました。低気圧が体に及ぼす悪影響は、うつ病の症状と似ています。

元々うつ病を患っている場合は、より強く症状が出たり低気圧が遠かった後にも症状が残り続けたりすることがあります。

気圧の変化を予測し対策を取ることで不調は軽減し、病状の悪化を防ぐことができますよ。

憂鬱な雨の日を少しでも気分よく過ごせるよう、ぜひこの記事をご参考にしてくださいね。

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