HSPかも?敏感で疲れやすい方へ|HSPの特徴や診断と対処法を解説

公開日: 2024/01/08 更新日: 2024/05/22
HSPをご存じでしょうか? HSPといえば「繊細な人」とイメージする人が多いでしょう。 HSPの人は感覚が過敏なことが特徴です。 大きな音や明るい光を不快に思ったり、一度にたくさんの仕事をすることが苦手だと感じる人が多いです。 人間関係や周囲の環境に影響されやすく、すぐに疲れてしまうという人はHSPに当てはまるかもしれません。 この記事では、HSPの特徴やセルフチェック方法、心が疲れた時の対処法を解説しています。 また、HSPとうまく付き合っていく方法を紹介していますので、ぜひ記事を最後までお読みください。

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは、「非常に繊細な人」という意味を持ちます。

1996年にアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロンが提唱しました。

アーロンによると全人口の15〜20%、5人に1人がHSPの気質を持っているとされ、男女比率に差はありません。

HSPの原因は何?

HSPは生まれ持った気質で、後天的な原因はありません。

HSPは障害でもなく、繊細で敏感な感覚な「気質」の持ち主だということです。

刺激に対して反射的に働く脳の部分「扁桃体」の機能が過剰に働いて刺激に強く反応し、HSPでない人と比べて不安や恐怖を感じやすいことが分かっています。

そのためHSPを持つ人は疲れやすく、生きづらさを感じやすいと考えられます。

HSPは病気ではないの?

HSPは先天性の気質であるため、病気ではありません。

ただし、繊細で敏感な心を持っているため、精神的に疲れやすいでしょう。

疲れが蓄積して、うまく眠れない・食欲不振など、体に不調が現れた場合は、心療内科や精神科など、早めの受診をおすすめします。

HSPの特徴

HSPの特徴としては、基本的には外部や体内の刺激を過剰に受けてしまうのが特徴です。

環境の変化にもなかなか対応ができず、自分に無理をさせることが疲れやすくなる1つの原因です。

HSPの4つの特徴と男女別や子供の特徴を解説していきます。

HSPの4つの特徴DOES(ダズ)とは

HSPには特徴的な4つのDOES(ダズ)があります。

  • D(Depth of Processing)
    深く処理をする/いろいろな可能性を想定し、物事を過剰に深く考える傾向にあります。

  • O(Overstimulation)
    過剰に刺激を受けやすい/外部からの刺激や、自分の感覚が鋭いため影響を受けやすく疲弊してしまいます。

  • E(Emotional response and empathy)
    感情の反応が高く共感しやすい/周りの人の感情に影響を受けやすい、ドラマにも感情移入しやすい傾向にあります。

  • S(Sensitivity to Subtleties)
    些細なことを察知する/他の人が感じない感覚でも、五感が鋭く刺激を察知します。

HSPの人が苦手なことにも特徴があります。

以下の表に、代表的な具体例を4つあげています。

  1. 大勢の人がいる場所が苦手

  2. 大きな音や、匂いが強い所が苦手

  3. マルチタスクが困難

  4. 怖い映像や格闘技など人が殴られるなど痛みを感じさせる映像 

これらは上記のDOES(ダズ)に書かれているHSPの代表的な4つの特徴が原因で苦手、と感じる人が多いのでしょう。

HSP  女性の特徴

基本的な特徴は男女ともに変わりませんが、女性としての役割から女性特有の悩みがあります。

HSPの人は、マルチタスクが苦手ですので、仕事と家庭の両立に悩むことが多いでしょう。

また、ママ友たちとのランチ会やPTAの集まりなど、あまり知らない人たちとの交流などは疲れを感じることがあります。

HSP  男性の特徴

HSPの男性にも特有の悩みがあります。

特に社会人になると、会社という組織に所属する人が多いと思います。

周囲に気を使いすぎることが、疲弊の原因となりやすいです。

上司や同僚と関わる際に、相手の感情を読み取ってしまうという特性があるためです 職場が辛くなり、仕事を転々とすることで仕事が長続きしないと、経済的にも不安定です。

キャリアアップが難しくなるため、家族を持つ人にとっては、辛い状況になるでしょう。

HSP 子供の特徴

HSPの子供も大人と同じ特性をもっています。

ただ、子供は感情のコントロールをするのは困難であり、感情の起伏が激しくなります。

学校の友人に自分の感情が理解されづらいことも、つらくなる原因です。

不登校につながるケースもあり、早めの対応が必要になります。

HSPの診断

HSPは病気ではないため、診断という概念はありません。

しかし、不安神経症や発達障害と似た性質を持っていることもあり、病院で診察した際にHSPとわかることもあるでしょう。

HSPは気質なので、心療内科や精神科で医師に診断を受けなければならないものではありません。

簡単にセルフチェックもできます。

ただし、日常生活で疲れやすく、生きづらさを感じている人は心療内科や精神科で診断やカウンセリングをおすすめします。

HSPのチェックリスト

HSPのチェックリストを紹介します。

HSPスケール日本版は、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロンが作成したチェックリストを日本語版として短縮しているものです。

このチェックリストは、HSPの傾向をチェックできるものとします。

チェックリストの使用方法:少しでも当てはまったらチェックを入れ、あまり当てはまらない、またはまったく当てはまらない場合はチェックしないようにして下さい。

19項目の約半数10項目以上に該当すれば、HSPな気質を持った傾向にあると考えます。

Highly Sensitive Person Scale 日本版(HSPSー19)

  • 大きな音やざつ然とした光景のような強い刺激がわずらわしいですか?
  • 大きな音で不快になりますか?
  • 一度にたくさんのことが起こっていると不快になりますか?
  • いろいろなことが自分の周りで起きていると、不快な気分が高まりますか?
  • 明るい光や強いにおい、ごわごわした布地、近くのサイレンの音などにゾッとしやすいですか?
  • 忙しい日々が続くと、ベッドや暗くした部屋などプライバシーが得られ、刺激の少ない場所に逃げ込みたくなりますか?
  • 一度にたくさんのことを頼まれるとイライラしますか?
  • 短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?
  • 他人の気分に左右されますか?
  • ビクッとしやすいですか?
  • 競走場面や見られていると、緊張や同様のあまり、いつもの力を発揮できなくなりますか?
  • 強い刺激に圧倒されやすいですか?
  • 痛みに敏感になることがありますか?
  • 子どもの頃親や教師はあなたのことを「敏感だ」とか「内気だ」と見ていましたか?
  • 生活に変化があると混乱しますか?
  • 微細で繊細な香り・味・音・芸術作品などを好みますか?
  • 自分に対して誠実ですか?
  • 美術や音楽に深く感動しますか?
  • 豊かな内面生活を送っていますか?
 

【参考文献】高橋亜希 中京大学大学院心理学研究科 Highly Sensitive Person Scale 日本版(HSPS--19)の作成

アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロンが作成したチェックリストは27項目あり、そのうちの14項目にチェックが入ればHSPの傾向にあることから、上記にあるチェックリストは19項目の約半数10項目以上に該当すれば、HSPな気質を持った傾向にあると考えます。

HSPの診断は病院でできる?

HSPは非常に敏感な気質を持っている人であり、障害や病気ではありません。

HSPを定義づけたのもアメリカの心理学者です。

精神科医が診断や、治療をする領域にないとされています。

しかし、不安神経症と似た症状もあり心が疲れた時には、カウンセリングや診察を行っています。

HSPには4つのタイプがある

HSPを提唱したエレイン・N・アーロンによると、HSPには詳細に分類すると4つのタイプがあるとされています。

  • HSS型HSP 繊細であるが刺激を求めるタイプ

  • 非HSS型HSP 刺激は求めない繊細な内向型なタイプ

  • HSS型HSE 繊細であるが交流と刺激を求めるタイプ

  • 非HSS型HSE 繊細であるが明るく社交的なタイプ

HSPの悩みについて

繊細な感覚を持っているHSPの人には、悩みを抱えている方も多いでしょう。

周りの環境になじむまで時間がかかり、受け入れられないことが多いのも特徴です。

仕事や恋愛についてどのような悩みが多いかまとめました。

HSPの人が仕事で悩むこととは?

HSPの人が社会に出たときに悩むこととは、どんなことが多いでしょうか。

  • 周りの人がおこられていると自分もしんどくなる

  • 新たな環境や知らない人との交流が苦手で疲れやすい

  • 大人数での会議などが苦手

  • 通勤ラッシュの人混みと匂いで気分が悪くなってしまう

以上のような悩みが挙げられます。

新たな環境になじめない特性があり、辛くなることも多いでしょう。

職種によっては、初対面の人と多く接する機会がありますので、自分に合った仕事を探すことが長く務められる秘訣です。

HSPの人が恋愛で悩むこととは?

HSPの恋愛はどのような悩みが多いのでしょうか。

例えば、以下のような悩みが考えられます。

  • 人の感情を深く読み取りやすいので不安やストレスを感じる

  • 信頼関係を築くのに長い時間がかかる

  • 相手が発する少しの言葉で傷ついてしまう

  • 相手にHSPであると言いだしにくく、理解されない可能性もある

相手の言動や自分の態度が気になり、相手の感情に振り回されて疲れることが多いようです。

HSPの対処法

感覚が敏感なHSPの人が穏やかに暮らしていくには、どのように対処していけばいいのでしょうか。

人それぞれ苦手なものや、許容できるものとそうでないものがあります。

まずは、自分を知ることで対処方法を見つけていけるでしょう。

具体的にどのようにすれば、うまく付き合っていけるのか解説します。

HSPとうまく付き合っていく方法 

HSPの人は感じ取る能力が優れています。

特徴を活かし、HSPとうまく付き合っていけるように考えるのも、1つの対処法ではないでしょうか。

①HSPの能力を楽しむ機会をつくる

  • 自然を楽しむ

  • 他に何もせずに考えをめぐらす時間を持つ

  • 体にいいことをする(走る・ダンスする・マッサージを受けるなど)

  • 近くに快楽を与える(いい香りの鼻を買う・おいしいものを食べる・好きな音楽を聴く)

  • 動物と過ごす

  • 日記か詩や本を書く

  • 深い人間関係を築く

HSPの人は、敏感であり五感が鋭い特徴を持っています。

だからこそ、その特徴を活かして楽しみましょう。

②過度に刺激を受けないように対策をする

刺激に敏感なHSPの人は、日常生活で常に刺激を感じて不快な思いをしているでしょう。

敏感に察知する刺激から自分の身を守ることで、生活しやすくなります。

  • 目から入る情報は、黒いサングラスや帽子、傘を使って減らす

  • 音の刺激は耳栓やヘッドホンで音楽を聞き減らす

このように、不要な情報を減らすようにすると、過度な刺激を受けず疲れを軽くできるでしょう。

【参考文献】2016年 discover21 発行 イルセ・サン 鈍感な世界に生きる 敏感な人たち144ページ 

HSPの人でも病院に行った方がいい時がある

疲れや不安から眠れない、仕事に行くことができないなど心配が増えると、心が壊れてしまう可能性もあります。

その前に、診療内科や精神科に受診しカウンセリングを受けてみましょう。

自分では見いだせなかった対処法が見つかることがあります。

疲れた時の対処法

疲れやすいHSPの人ですが、いくつか対処法をお伝えします。

  • SNSはお休みする

  • 1人でのんびり過ごす

  • ハッピーエンドの映画やドラマを見る

  • 信頼できる友人と会う

  • 静かな場所で読書をする

  • 瞑想

とにかく疲れたときは、1人でゆったり好きな場所で好きなことをし、リラックスできるようにするのが最適です。

誰にも気を使わず、好きな事だけをする時間を持つと心が安らぐでしょう。

Q&A

HSPに関するQ&Aを5つ紹介します。

HSPの人に言ってはいけない言葉ってある?

HSPの人は、物事を深く理解する気質を持っています。

HSPでない人にしてみればたいしたことでなくても、HSPの人にすれば不快に思うことがあります。

  • 気にしすぎ、考えすぎ

  • 普通は~

  • 考えを押し付けるような言葉

  • 話すときは声量に注意する

など、考えを否定するような言葉や、感覚に敏感であるため大きい声に気を付けるなどに注意が必要です。

HSPの人の立場になって考え、発言しましょう。

HSPの人はうつ病になりやすい?

HSPの人は、うつになりやすいと言われています。

HSPの人は繊細な特性をもっています。

その特性自体は病気ではありません。

しかし繊細だからこそストレスをためやすく、日々我慢していることが多いのは事実です。

ストレスがきっかけでうつ病を発症する可能性があります。

睡眠不足や食欲不振などの症状があれば、早めに心療内科や精神科を受診するようにしましょう。

HSPってどんな症状?

HSPは、周囲の刺激や体内の刺激をたくさん受けやすい特徴を持っています。

音に敏感で、小さな音や時計の秒針(カチッカチッという音)が気になって眠れないことがあります。

目から入る情報にも過敏に反応してしまうため、人混みが苦手です。

また、周囲の感情に影響されやすく、物事を深く考えてしまう性質を持っています。

そのため、HSPではない人より疲れを感じやすく、生きづらいと感じる人も多いです。

HSPはどんな人がなりやすい?

「どんな人がなりやすい」というものではなく、生まれつき持っている気質で、後天的にHSPになるものではありません。

HSP何型が多い?

HSPを提唱したアーロン博士の研究によれば、HSP気質を持つ人の約30%が、HSS型HSPに該当すると言われています。

HSPは人口の約20%程度と言われているため、HSS型HSPは人口の約6%になります。

かなり少数派であるといえるでしょう。

まとめ

昨今、HSPという言葉が周知されてきています。

もしかしたら自分もHSPかもしれないと、考える方もいるのではないでしょうか。

インターネットやSNSの発達で情報量が多く、日常生活で疲れを感じている人も多いでしょう。

HSPは以下のような特性があります。

  • 物事を過剰に深く考える傾向にある

  • 五感に敏感で、過剰に刺激を受けやすい

  • 他者の感情に反応し、共感しやすい

  • 些細なことを察知する能力が高い

HSPの特徴を活かし、自然を楽しんだり何もしない時間を持つことが休息につながるでしょう。

HSPに立ち向かうより、できる限りの刺激を排除した生活を目指すことで、日々を暮らしやすくします。

自分の苦手なことを知り、自分に合った対処法を探し、心の安定を図りましょう。

睡眠不足や食欲不振など体調に変化が現れた場合は、無理をせず精神科や心療内科に早めの受診を心がけてください。

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