精神疾患の種類を一覧で解説|症状のチェック方法も紹介します

公開日: 2024/01/10 更新日: 2024/05/22
精神疾患という言葉は、多くの人にとって遠い存在のように感じられるかもしれません。 しかし、日常の中で「最近、気分が沈んでいる」「夜、眠れない」といった症状に悩まされている方は少なくありません。 この記事では、そんな疑問や不安を持つあなたのために、精神疾患の種類を一覧でわかりやすく解説します。 さらに、それぞれの症状を自分でチェックする方法も紹介します。 実に30人に1人は何らかの精神疾患を持っていると言われており、決して他人事ではありません。 この記事を読むことで、精神疾患に対する理解が深まり、あなたの疑問や不安を解消し、自分や周りの人の心の健康をサポートする手助けとなります。 精神疾患と勇気を持って向き合い、より良い日常を築いていきましょう。
目次

精神疾患とは

精神疾患とは、心の健康に影響を及ぼす一連の病状のことです。

感情や思考、行動に影響を及ぼし、日常生活や人間関係に困難をもたらす可能性があります。

精神疾患の原因はさまざまであり、例えば遺伝的要素や生物学的要素(身体的要素)、心理的要素、社会的要素などです。

これらの要素は個々により異なり、それぞれが複雑に絡み合って精神疾患を引き起こすと考えられています。

例えば、うつ病は一般的な精神疾患の一つで、主な症状として悲しみ、無気力、興味喪失などがあります。

うつ病の原因は、遺伝的要素や生活環境、ストレスなどが関与していると考えられていますが、完全には解明されていません。

厚生労働省の調査によると、日本では約30人に1人が何らかの精神疾患を持っているとされています。

これは精神疾患が非常に一般的であることを示しており、誰もが自分自身や他人の精神健康に配慮することが重要です。[1]

精神疾患は多くの人が経験する可能性があり、その原因は個々により異なる多くの要素から成り立っています。

これらの疾患は日常生活に影響を及ぼす可能性がありますが、適切な治療とケアにより管理することが可能です。

もし心配な症状がある場合は、専門医に相談することをおすすめします。

精神疾患の原因一覧

精神疾患の原因は多岐にわたり、それぞれの疾患や個々により異なるものです。それぞれの原因が複雑に絡み合って精神疾患を引き起こすと考えられています。

ここでは、一般的に考えられる精神疾患の原因を4つ紹介します。

遺伝

親や兄弟姉妹に精神疾患の既往がある場合、同様の問題を経験するリスクが高まることが示されています。

これは「家族集積」と呼ばれ、特定の疾患が家族内でより頻繁に発生する傾向を指します。

しかし、遺伝は単独で疾患を引き起こすものではありません。周辺の状況や出来事と組み合わさって影響を及ぼします。

生物学的な要因(身体的要素)

脳の機能に影響を与える身体的な疾患や、栄養不足、長期的な睡眠不足なども精神疾患のリスクを高める可能性があります。

とくに、脳が正常に機能するために必要な栄養素の不足は、さまざまな精神疾患の発症に関与することが知られています。

心理的な要因

自己評価の低さや強迫的な性格傾向、適応能力の低さなどの個人的特性も、ストレスに対する脆弱性を高め、精神疾患の発症につながる可能性があります。

また、早い人生の段階での親からの適切な愛情の不足や対人関係の問題も影響します。

社会的な要因

職場のストレスや学校でのいじめ、失業、貧困、家庭内暴力などの社会的・環境的ストレスは、精神疾患を引き起こす重要な要因です。

これらの状況は、個人が絶えず高いストレスレベルにさらされ、精神的な問題を誘発する可能性があります。

精神疾患(精神病)の種類と症状一覧|病名の英語表記も紹介

精神疾患はその性質上、個々の疾患が特異な症状を持つため、それぞれを理解することが重要です。

ここでは、主な精神疾患とその特徴的な症状、英語表記を一覧で紹介します。[2]

うつ病(Major Depressive Disorder)

持続的な深い悲しみや希望を失う感情、日常の活動への関心喪失、食欲不振、睡眠障害、疲労感、自己価値の低下、集中困難、自殺念慮などが特徴です。

重篤な場合、身体的な痛みを伴うこともあります。

統合失調症(Schizophrenia)

現実との区別が困難になり、幻覚や妄想、思考の混乱、動作の不連続、感情の鈍麻、社会的引きこもりなどが見られます。

本人は、しばしば現実と自分の内面世界との間で葛藤するように感じます。

双極性障害(Bipolar Disorder)

極端な気分の変動が特徴で、抑うつ期と躁(そう)期を繰り返します。

躁期では過剰な自信や興奮状態、睡眠の必要性の低下、話し言葉の急速さ、散漫な思考、リスクのある行動が見られます。

強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)

不安を和らげるための反復的な行動(コンパルション)と、執拗な思考(オブセッション)が特徴。

これにより、日常生活が著しく困難になることがあります。

パニック障害(Panic Disorder)

予期せずに突然の恐怖や不安が襲い、動悸、息切れ、胸痛、めまいなどの身体症状を引き起こすパニック発作が発生します。

これにより、再発する恐れから特定の場所や状況を避ける行動が見られることもあります。

社交不安障害(Social Anxiety Disorder)

社会的状況において過度の不安や恐れを感じ、対人関係が困難になることがあります。

とくに注目されていると感じると、恥ずかしさや屈辱を感じ、社会的状況や対人関係を避ける傾向があります。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)(Post-Traumatic Stress Disorder)

トラウマ体験後、その出来事を再体験するフラッシュバックや悪夢、強い不安やイライラ、過敏性、特定の状況を避ける行動などが見られます。

解離性障害(Dissociative Disorders)

現実感の喪失や自己同一性の混乱が起こります。

記憶喪失や多重人格、自己と世界との間の「壁」を感じることがあります。

適応障害(Adjustment Disorders)

ストレスフルな出来事や生活の変化に対応できず、情緒的苦痛や仕事や学業、趣味などのパフォーマンスが低下するなど日常生活の機能不全を引き起こします。

通常、関連する出来事が起こったあと、数ヶ月以内に発症します。

睡眠障害(Sleep Disorders)

睡眠の質やリズム、または持続時間に影響を及ぼす問題が生じます。

不眠症や過眠症、睡眠時無呼吸症候群などがあり、疲労感や集中力の低下、情緒の不安定などを引き起こすことがあります。

認知症(Dementia)

記憶や思考、判断力、言語能力などの認知機能が徐々に衰えます。

日常生活の自立が困難になり、社会的な関係や職業活動にも影響が出ます。

アルツハイマー病は認知症の中でも一般的によく知られている疾患です。

依存症(Substance Use Disorders)

アルコールや薬物への依存が進行し、物質を摂取することに対するコントロールの喪失や身体的な離脱症状、耐性の発達、社会的・職業的機能の障害が生じます。

躁うつ病(Cyclothymic Disorder)

双極性障害に似ていますが、躁病と抑うつの症状が軽度です。

気分の変動が持続し、安定した気分を保つことが難しいでしょう。

妄想性障害(Delusional Disorder)

現実とは異なる強固な信念(妄想)を持ちますが、他の精神疾患の症状はほぼ、または全く見られません。

妄想は、生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

パーソナリティ障害(Personality Disorders)

長期にわたる固定的な行動パターンや内面的な経験が、対人関係や職場、または学校での問題を引き起こします。

パーソナリティ障害の中には境界性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害なども含まれます。

発達障害(Developmental Disorders)

幼児期からの発達の遅れや偏りが見られ、言語や運動、社会性、学習能力などに影響が出ます。

自閉症スペクトラム障害やADHDは発達障害に含まれます。

てんかん(Epilepsy)

脳の異常な電気的活動により、一時的な意識の変化や身体的な痙攣、感覚の変化を引き起こす発作が繰り返し起こります。

摂食障害(Eating Disorders)

食事摂取や体重、体型に対する過度の関心と不安が特徴です。

拒食症や過食症、摂食障害を伴う肥満症などがあります。

摂食障害により、重篤な健康問題を引き起こす可能性があります。

精神科に行った方がいい人とは?チェック方法を紹介

精神科に行った方がいい人とは、日常生活に影響を及ぼすような心の不調を感じている人のことを指します。

「自分は病気ではないか」「悩んではいるけど、病院に行くのは大袈裟かも」と悩む人は珍しくありません。

そのような場合は、ここで紹介する精神疾患に関するセルフチェック方法をまず確認してみましょう。

精神疾患の種類をチェックする方法

精神疾患の有無や程度をチェックする方法は多岐に渡ります。

チェックの結果だけで病気の診断をすることはできないため、気になる場合は専門医への相談をお勧めします。

  • 簡易抑うつ症状尺度(QIDS -J)

    16 項目の自己記入式の評価尺度で、うつ病の重症度を評価できる。[3]

  • 新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト / 新KAST
    アルコール依存症のスクリーニングテストができる。[4]

  • 社交不安障害の重症度評価尺度(LSAS-J)
    社交不安障害の重症度を評価できる。[5]

  • 自己記入式 YALE-BROWN 強迫観念・強迫行為評価スケール (Y-BOCS)日本語版
    強迫性障害のタイプを知ることができる。[6]

  • PTSD評価尺度(IES-R)
    PTSDの症状評価ができる。[7]

AIを活用した精神疾患のチェック方法

症状に関連する病名についてAIで無料で調べられます。

例えば、質問に答えていくことで現在の精神状態や、症状と関連性のある精神疾患を抽出するといったことができます。

精神疾患以外の疾患にも対応しているため、困っている症状でどの診療科を受診したらよいかを判断することにも活用できます。

自宅で簡単に気になる症状を調べることができますが、病気の診断をすることはできません。

AIでチェックした結果は参考程度にとどめておき、気になる場合は専門医への相談をお勧めします。

Q&A

精神疾患と精神障害の違いとは?

「精神疾患」は思考や感情、行動に関連する症状を持つ、脳の機能の障害や異常に起因する疾患のことを指します。

「精神障害」は、日常生活や社会生活を営む上での機能的な制約や障害を伴う状態を指すことが多いです。

例えば、うつ病の場合での精神疾患と精神障害については以下のように表されます。

  • 精神疾患としての側面:気分が持続的に沈んでいる状態やエネルギーの低下などの症状が見られる。

  • 精神障害としての側面:日常生活の中での仕事や学業、人間関係などにおける機能的な制約や障害が生じる。

 

精神疾患は主に病的な状態や症状を指し、精神障害は機能的な制約や障害を中心に考えるとよいでしょう。

精神障害者ってどんな人?

「精神障害者」とは、統合失調症や薬物による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者を指します。[9]

精神障害者との接し方はどうすればいいの?

精神障害者は、精神的な問題を抱えているため、周囲からの理解と支援が必要です。

その人を尊重し、理解して支えることが大切です。また、その人が抱えている病気や症状について理解を深め、適切な対応を心掛けることも重要です。

精神障害者も健常者と同じく、独自の感情や考え、希望、夢を持っています。

一律の接し方ではなく、個人としてのニーズや希望を尊重することが重要です。

精神疾患の治し方にはどんな方法があるの?

精神疾患の治療方法は主に3つあります。

薬物療法・心理療法・行動療法です。

精神疾患は、心の問題を抱えている人々を対象とした医学の一分野であり、その治療方法は多岐にわたります。

以下に、主な治療方法を説明します。

  • 薬物療法:医師が処方する薬を使用して症状を管理する方法です。薬物療法は、うつ病や統合失調症などの精神疾患の主な治療法となります。

  • 心理療法:専門家と話すことで心の問題を解決する方法です。カウンセラーが担当することもあります。

  • 行動療法:適応行動を学習しつつ、それまでの不適応行動の習慣を消すことができるように考案されたいくつかの介入を行います。
 

また、他にも電気けいれん療法や経頭蓋磁気刺激療法、迷走神経刺激療法などの身体的な治療法があります。

さらに、認知行動療法や対人関係療法、精神分析、支持的精神療法などの精神療法的な治療法もあります。

これらの情報は一般的なものであり、具体的な診断や治療は専門医によるものです。

もし心配な症状がある場合は、専門医に相談することをおすすめします。

精神疾患にランキングや重い順番ってあるの?

精神疾患のランキングや重さの順番は存在しません。

精神疾患は個々の症状や影響度、及び患者の生活への影響によって病状の種類や程度が異なります。

そのため、一概に比較することは困難です。

精神疾患は非常に多種多様で、それぞれが異なる症状と影響を持ちます。

例えば、うつ病や統合失調症、気分障害、てんかん、依存症などはそれぞれ異なる特性と症状を持ちます。

これらの疾患はそれぞれが個々の生活にどの程度影響を及ぼすかによって評価されます。

また、厚生労働省が行った患者調査では、精神疾患の種類やその数についてのデータが提供されていますが、ランキングや重さの順番については明示的に言及されていません。

まとめ

ここまで解説してきました精神疾患についてまとめました。

  • 精神疾患の原因は遺伝、生物学的要因、心理的・社会的要因などが複雑に関連している。

  • 精神疾患は個々の疾患が特異な症状を持つため、それぞれを理解することが重要。

  • うつ病は精神疾患の一例で、多くの人が経験する可能性がある。

  • 日本では約30人に1人が何らかの精神疾患を持っている。

  • 精神疾患のチェック方法は多岐にわたり、気になる結果の場合は専門医を受診する。

  • 精神疾患のランキングや重さの順番は存在しない。

  • 適切な診断と治療が必要で、専門医の相談が推奨される。

精神疾患は誰もが経験する可能性があります。

心配だと感じられた方は、まずは専門医へ相談してみましょう。

参考文献

[1]厚生労働省|第13回地域で安心して暮らせる精神保険医療福祉体制の実現に向けた討論会 参考資料

[2]厚生労働省|精神障害(精神疾患)の特性(代表例)

[3]厚生労働省|うつ病チェック

[4]e-ヘルスネット[情報提供]|新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト / 新KAST

[5]あすか製薬株式会社|社交不安障害

[6]日本不安症学会|自己記入式 YALE-BROWN 強迫観念・強迫行為評価スケール (Y-BOCS)日本語版

[7]日本トラウマティック・ストレス学会|【資料】 PTSD評価尺度(IES-R)の公開について

[8]Ubie株式会社|症状検索エンジン ユビー

[9]厚生労働省|障害者の範囲

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